実家で母とお茶をしていたお昼過ぎ、お客様がいらっしゃいました。



父が定年後も継続して勤務していた養護学校で最後に受けもった生徒さんとお母様でした。


現在は施設に入居されて、そこからお仕事に通っていらっしゃる男性でもう40代ぐらいの方でしょうか。



お母様が通院されていた病院でたまたま別の卒業生の親御さんにお会いになり、父の話を聞いてビックリしたと。


年賀状の住所を見て訪問して下さったようです。

電話番号が分からず、直接の訪問で

「突然すみません。」を繰り返され恐縮していらっしゃいました。



お2人で仏壇に手を合わせくださってから、母がお母様と話をしていたら、男性が父の遺影に手を伸ばし、優しく優しく父の頭の辺りを撫でるようにして笑いかけて、お母様に「先生!先生!」と写真を指差し、また優しく撫でて……。



その何とも言えない光景に久しぶりに涙がでました。



「説明をして連れて来たけれど、分かっていなかったのかもしれません。

先生のお写真を見て、思い出したんですね。

3年間可愛がってもらったから」と。




少年のように笑う男性の、その笑顔に父がちょっとでも貢献できていたのだとしたら

父の教師生活は◎かなと思います。




お2人を見送り、指紋がついたら遺影を拭くのを躊躇う夜でした。