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いよいよ実際にお弁当を手配せねばならない日を迎えた。
あたしは朝から鳴り止まない動悸と闘いながら時計を見つめて過ごした。
土壇場になって、
『やっぱりお前がやれ。』
なんて言われたらどうしようと不安だった。
注文する弁当の個数が多い為、直前の注文ではお店側に迷惑が掛かることがある。
なのであたしは数日前からお店に『◯日に◯個のお弁当を◯時受取でお願いすることは出来ますか?』のように打診を入れるようにしていた。
その猶予もなく土壇場で『やれ。』と言われても非常に困る。
あたしは他人に迷惑を掛けることが好きではないのだ。
モン活に対しての苦手意識もこの辺りのあたしの性質が大きく影響しているように思う。
しかし、あたしの不安を他所にそれは杞憂に終わることとなった。
弁当を受け取りに行くらしい夫がバタバタと慌てて車で出て行く姿を見て、あたしは胸を撫で下ろした。
「よかった。取り越し苦労だったな。」と自分の中にある夫への信用の無さを笑った。
何度も言うようだが、あれだけあたしに向かって啖呵を切ったのだ。
意地でも夫自身でやり遂げるだろう。
そしてきっと得意げに言うのだ。
『弁当の手配なんて大したことじゃない。』
と。
何なら、
『ほらな、KITSUIのしてたことなんてこんなもんだ。』
みたいなことまで言うかも知れない。
これまでのモン活についても夫は「KITSUIは何もしていない。」と文句を言っていた。
しかしそれも甘んじて受け入れようと思えた。
善良な市民の皆様を欺いて義父のモンスター活動を支えなくてはならないことに比べたら、そんなこと些細なことだ。
義父のモン活で弁当を用意しなくてはならない期間は1ヶ月近くある。
詰まるところ、30日×昼夜2回、計60回の弁当手配が必要になるということだ。
その期間は12時前後と18時前後をお弁当の受取や運搬により拘束される。
そしてそれ以外の時間で翌日以降の弁当の注文に頭を悩ませるのだ。
考えただけで頭が痛くなる。
どれだけ心を砕いて懸命に取り組んだところで、義父や夫から感謝されることもなく終わったこれまでのモン活繁忙期のことを思い返した。
自分の阿呆さに笑いが込み上げてくる。
キッチンで子ども達用の食事を作りながら、あたしは声を上げて笑った。
久し振りに聞いた自分の笑い声だった。
末娘が、
『なになにー?ママなんで笑ってるの?』
と笑顔で近付いて来る。
そんな末娘をあたしはギュッと抱き締めた。
天気のいい日によく干された布団からするお日様の匂いがした。
次男からの末娘への誕生日プレゼントはこれ。
長男はリファのコーム、次男はリファのミラー。
リファセットの出来上がり♡

