夫とあたしは今で言う『交際0日婚』というやつによく似た形態である。交際を始める前に結婚が決まっていた。

夫とあたしは幼少期からの友人であり、夫の初恋の相手はあたしだったというオチまでついている。ではあたしの方はどうかと言うと、夫を異性として好きだったことはそれまで1度もなかった。友人としては勿論嫌いではなかったけど。


結婚のご挨拶をしに義実家に初めて訪れた時、義母が『本当にあのKITSUIちゃんなのね!?』と歓迎してくれた。嬉しかった。

その時に義父が言った台詞を今でも覚えている。結婚期間中、義父関連で苦しいことがあった時に繰り返し思い出していたので、何年経っても色褪せない。

『僕はお嫁さんを貰うつもりはないよ。

 息子が他所のお嬢さんと結婚した、

 それだけのこと。

 だから結納も無しで。』


当時のあたしはこの義父の発言をポジティブに受け止めた。

長男の嫁たるもの…とか

◯◯家の嫁になったからには…とか

そういうドラマや漫画にありそうな昔ながらの関係性は求めてませんよという通達だと解釈した。

あたしはひとりっ子な為、両親と疎遠になるようなところに嫁に行くつもりなど毛頭なかった。

なのでこの日の義父の発言には若干の違和感を一瞬感じたものの、それ以上深掘りすることもなく通り過ぎた。

これからこのブログで色々書いていく予定だが、この時の義父の発言は虚言である。

あたしはそこから18年間ありとあらゆることを嫁の仕事、嫁なのだから当然、家族なのだから、姻族なのだから、というスタンスで押し付けられて生きていくことになるのだから。

唯一嘘ではなかったのは、結納は無し、この一点だけである。


後々あの時の一瞬感じた違和感は何だったのかと考えたが、おそらくあちら側から『結納は無しで』と言ってきたことへの違和感だったのかも知れない。

嫁に行くあたし家側から『結納は無しで』と言うなら分かるが、嫁に貰う側である夫家側から『結納は無しで』と言うのはどうなのだろうか。

プレゼントやお祝い等に置き換えて想像すると、受け取る側が辞退するものであって、贈る側が『渡しません』と先頭切って口にするのはよろしくないんじゃないかと思ってしまう。

結果的にあたしの両親も結納は求めてなかったので、義父の発言がなかったところで結納は無しになったであろうが。