いよいよ明日からJリーグ2013年シーズンがスタートします。
私は毎年、スカパーのJリーグ中継に実況という形で携わらせていただいています。
開幕に先駆けて、先週の金曜日に東京で中継の全体ミーティングがありました。
中継に携わる放送局のプロデューサーをはじめ、解説者、実況者、リポーターが一堂に会し、今年の中継方針などを確認します。
J1 J2全国40クラブの放送関係者が集まるため、100人を超える人数になります。
年に一度だけの会合なので、過去に中継でご一緒させていただいた方々との久々の再会も楽しみの一つです。
全体ミーティングの前には、サッカーのルール講習会と、Jリーグ競技指針についての講演がありました。
この講演がとても勉強になりました。今回はその辺りのことを少しお話させていただきます。
まず、ルール講習会の講師は日本サッカー協会審判委員長の上川徹氏。
講演の中で、実際に昨年のゲームの中で起こったシーンについてのクイズが出されました。
映像を見て、どちら側のファウルなのか。あるいはノーファウルなのか。
また、ファウルの場合は、イエローカードやレッドカードが必要なものなのかを選ぶというもの。
これが本当に難しい!
スロー映像も流れるのですが、判断が微妙なものが集まっていて、なかなか瞬時に判断できません。
会場内から「はぁ~」とため息が聞こえてくることもしばしば。全20問の回答を終えると、その解説をしていただきました。
ルールブック上である程度知識を持っていても、それが実際のプレーではどれに該当するのか、どう適用されるのかを勉強できる機会は意外と少ないもの。
自分の認識と実際の判定をすり合わせることのできる貴重な時間でした。
また問題の中には、実際のゲームの中でレフェリーも判定を誤ってしまったものも含まれていたのですが、とてもその過ちを責められるものではありません。
スロー映像で何度見せてもらってでも判断できないようなプレーもたくさんあり、それをレフェリーは瞬時に見極めて判断しなければならないのです。
人間がやっているゆえの限界は必ずあります。
そんな中でも、より正確な判定をするために努力を続けているレフェリーの方々に最大限の敬意を表したいと思いました。
続くJリーグ競技指針の講演では、今年どこに重点に置いてJリーグが行われるのかについて話がありました。
一昨年2011年にJリーグの総観客動員数が前年比14%と激減しました。
これには東日本大震災の影響も間違いなくありましたが、分析の結果それだけではなく、「Jリーグの試合が面白くなくなった」との理由で離れて行ったファンが多かったことが事実としてあったようです。
それを受けて、Jリーグに「+Quality(プラスクオリティ)プロジェクト」が昨年発足し、ファンをスタジアムへ呼び戻すべく対策を講じています。
その中で、掲げられているのはアクチュアルプレーイングタイム(以下APT)の改善です。
APTとは、「1試合90分間の中で実質どれだけゲームをやっているか」という時間。
ピッチからボールが出てボールデッドになっている時間や、ファウルがあって試合が一旦止まってから再び動き出すまでの時間を90分から引いた時間がAPTとなります。
90分のうち60分ボールが動いているのと、50分しか動いていないのでは、前者の方が当然見ていて楽しいですよね。
昨年からJリーグは試合ごとのAPTを公表していますが、見に来た観客の満足度にも結びつく指標となります。
ちなみに、昨年のJ1平均は55分37秒単、J2平均は52分25秒で、前年比でJ1は+58秒、J2では+29秒と少し改善が見らました。
これは昨年、見苦しい異議行為と遅延行為についての罰則を強化したことが一因としてあり、さらに今年もそれを続けていくとのことでした。
世界レベルのゲームではAPTは58~60分位ということですから、これに近づければよりJリーグは魅力あるサッカーになっていくのではないでしょうか。
そして、更なる改善のため、今年は特に「シミュレーションの根絶」に向けての強化を図るという話がありました。
シミュレーションとは審判を欺く行為のこと。例えば、足が引っかかっていないのに、引っかかったように見せかけて転び、相手側のファウルやカードなど自分たちに有利な判定を貰おうとするものです。
審判だけではなくスタジアムに詰めかけたファンをも騙す卑劣な行為で、子供たちがそれを真似するというのも、日本サッカー界の将来へ向けても良くないことです。
プレーが途切れ、サッカーの魅力を削ぐこのシミュレーションについては、今年はより一層厳しい態度で臨むとのことでした。
日本人は、世界のプレーヤーと比べると体格や身体能力で劣るのは仕方ないところ。今すぐ変わるものでもありません。
しかし、転んでもすぐに起きてプレーをする、リスタートを早くするなどは、心掛け次第ですぐに変えていける部分です。
高校サッカーや女子サッカーが面白いと感じるのはひたむきなプレーもそうですが、無駄に止まっている時間が少ない、つまりAPTが長いということもあるようです。
より魅力あるJリーグになっていくように、今回の講演から学んだことを今年も実況者の立場から伝えていきたいと思っています。