「計画停電で会社に電気が来ないことを理由に休業した場合、休業手当は必要か?」

 過去の資料を見ていたら、計画停電の場合の休業手当についてのこういう質疑があった。
 東日本大震災で首都圏中心に電力不足に陥っていた頃のものである。

 今改めてgoogleで検索すると、
 「今夏の計画停電に関しては、事業場に電力が供給されないことを理由として、計画停電の時間帯、すなわち電力が供給されない時間帯を休業とする場合は、原則として、労働基準法第26条に定める使用者の責に帰すべき事由による休業には該当せず、休業手当を支払わなくても労働基準法違反にならないと考えられます。」
と表示された。

 大要こんなものだろう、というのは、厚労省の「節電に向けた労働時間の見直しなどに関するQ&A」(*1)を見ると、こちらはgoogle検索の中の「原則」の例外が詳しく記載されているものの、一言で言えばこういうことになるとしても大きくは外れていない、と読めたからである。
 当時はこのQ&Aを読み込んで、ピリピリしていた。
 たまには復習するのもいいものだ。

 ところで、休業手当に関しては、民法536条2項「債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。この場合において、・・・」という規定がある。
 一方、労基法26条には「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。」という規定がある。

 これについてgoogleで検索すると、
 「民法536条2項と労働基準法第26条の休業手当は、「使用者の責めに帰すべき事由」がある休業の場合に適用されるという点で共通するが、労働者が請求できる賃金額に違いがある・・・民法536条2項は「債権者(使用者)の責めに帰すべき事由」で労働者が労務を提供できない場合、労働者は賃金全額の請求権を失わないと定めています。一方、労働基準法第26条は、同様のケースで最低6割の休業手当の支払いを義務付ける強行法規です。」とあり、
 また、「労使間の特約(労働協約や就業規則)で民法536条2項の適用を排除し、賃金全額の支払いをしない旨を定めることが可能です。」
と出てくる。

 なお、両条の「責めに帰すべき事由」の内容は異なる、ということは既知のとおりである。
 例えばこれについてgoogleで検索すると、
 「民法536条2項の「債権者の責めに帰すべき事由」は、債務者の故意・過失が該当する事由を指し、労働者が賃金全額を請求できるのに対し、労働基準法26条の「使用者の責めに帰すべき事由」は、会社側の経営・管理上の障害を含むより広い概念であり、休業手当(平均賃金の6割以上)の支払いが義務付けられています。両者の主な違いは、その「責に帰すべき事由」の範囲と、その結果生じる支払い義務の程度です。」
と出てくる。
 また、ある書物には、労基法26条の「責めに帰すべき事由」とは、使用者の故意・過失または信義則上これと同視すべき事由に基づく休業よりも広く解されるが、不可抗力によるものは含まれない」とあり、「休業」とは、「労働者が労働契約に従って、労働の意思を持っているにもかかわらず、労働をなしえなくなること・・・」という通達がある(昭和27.8.7基収3445号)ということである。
 コロナ流行の頃は、この二つの規定を巡って、休業の場合に平均賃金の6割でいいのか10割必要なのか、揉めることが少なくなかったと聞く。

 そこで、google検索の後者のように、例えば就業規則で「会社の責に帰すべき事由により従業員を休業させた場合の賃金は、民法第536 条 2 項の規定にかかわらず、平均賃金の 100 分の 60 とする。」などと定める規定を置いておけば、このような紛争は防ぐことができる、ということは、昨年受けたセミナーでも説明があった。

 なお、休業手当は労基法上の賃金に該当するため、賃金支払い5原則が適用される。

 就業規則に関しては様々な検討箇所が出てくる場合があるが、これもそのうちの一つ、ということである。

*1 https://www.mhlw.go.jp/shinsai_jouhou/faq.html