湖北省武漢市から広まった今回の新型肺炎の感染拡大は今のところ、日々数百人規模で患者数、数十人規模で死亡者数が増えています。
感染拡大がどこで食い止められるのか、我々日本人も日々気をもみながら事態の推移を注視している人が多いと思います。
今回の感染拡大に対する中国政府の情報開示は、1月20日に習近平主席がTVを通じて「断固拡大を抑える」という重要指示を出して以降、積極姿勢に180度転換し時間単位で発表が出されるようになりました。
それも患者数・死亡者数のみならず、感染した人が乗っていた高速鉄道の列車番号、乗車号車を発表し注意喚起を促すなど、具体的な感染拡大防止に勤めようとする内容もあり、習主席の”重要指示”を国を挙げて守ろうとする姿勢が見受けられます。
さらに昨日(25日)あたりからは、12月初旬ごろの湖北省政府、武漢市政府などの初動対応(事態を軽く見過ぎていた、隠蔽工作に走ったなどなど)を批判する記事もオープンにし始めるなど、中央政府の姿勢に変化が見て取れます。
中国政府としては中国の立場が2003年のSARS感染拡大のころと大きく変わっていることを認識し、国際社会での責任をある程度果たそうとする意識があるのだと思います。
また、習主席に権力が集中することにより、主席の命令一下すべての役人がそれに従って動く体制が確立されていることも言えるかと思います。
一方、地方政府の役人(省の党書記レベル)は減点方式の共産党内の権力争いで失点を重ねることを恐れて、新型肺炎患者がまだ二けた程度であった初動時には隠蔽に走って、内々に処理しようと考えたのでしょう。
この中央政府と地方政府の意識レベルの差は、共産党一党独裁であるから生じる側面と権力を欲する人たちであれば政治体制問わず起こりうる側面と両面あると考えます。
共産党内での権力闘争は予てから色々言われているように凄まじいものがあり、どれだけ失敗をしないか、成果をあげるかとは別に、複雑な人間関係、派閥関係をうまく泳ぎ渡りつつ、ライバルを蹴落とし這い上がる、より上席の権力者に引っ張り上げてもらうバトルが日々繰り返されていると聞きます。
もちろんこういった権力闘争は日本でもアメリカでもどこの国でもあることですが、闘争の熾烈さ中国共産党の右に並ぶ国はないでしょう。
こういった国際社会にも大きな影響を与える事態になった時に、大きく失点し人生を暗転させてしまう人が、逆にここで大いに活躍を示して権力の階段を登る人が現れてくるのでしょう。
共産党内の権力闘争はこのような事態の中でも日々絶えることなく続いているのでしょうが、中央政府の国際社会を意識した姿勢~これは将来中国が世界の覇権を取りたいという目標を踏まえたもの~はかつてと大きく変化を遂げており、1月20日以降に限って言えば他の先進国では不可能な決断力とスピードを伴っています。
想像するに、このような騒動が日本(例えば大阪府)で起こったとして、下記のようなことを短期間で決断実行できる政治家、役人はいるでしょうか?
1.大阪府あるいは関西圏を封鎖(関西空港、伊丹空港、新幹線)することはできる?
2.日本人の海外渡航を禁止することはできる?
3.感染源となった食品などを今後一切飼育、捕獲、販売することを法的に禁じることができる?
(おそらく今回の事態が収束した後に、中国政府は感染源となった野生動物の販売などを禁止すると思われます)
中国政府がこの新型肺炎をうまく抑え込むことができるかとは全く関係のない視点ではありますが、こんなことを思った次第です。