時代に抗い、愛に生きる女性。『武神』② | コワれるまで ALLORA

時代に抗い、愛に生きる女性。『武神』②

もう、いい加減書いとかないと、内容を忘れそうです。
『武神』
( ムシン )
(2012年)。

前項は13世紀の高麗
(コリョ)
の武臣政権期において、都房
( トバン)
を率いる閤下が
(ハッパ )

(チェ)
忠献  
(チュンホン)

(チュ・ヒョン)であった時代でした。

当時のコリョは政変が起きたりして政権が次々と交代する混乱期でしたが、
1196年にチェ・チュンホンが政権を掌握して、崔씨政権としての初代独裁者となります。

1219年にハッパのチェ・チュンホンが死去し、長男のチェ・ウ(チョン・ボソク)が第6代ハッパとなり、以降30年間にわたって執権しました。

本項は、チェ・ウの一人娘チェ・ソンイ(キム・ギュリ)に焦点を当ててみます。

なぜか私、ソンイ嬢( アガシ )を演じるキム・ギュリが気に入ってます。
なんだか年齢不詳な
童顔美女。(トンアンミニョ)

本作の放映時は
32歳でしたが、
けっこう
若く見えたり、
時々加工が
外れたかのように
そうでもなかったり
と、面白い容貌です。

『王の(ワンウィ)顔』((オルグル)2014~
15年)での仁嬪キ(インビン )ム씨
(養和堂)(ヤンファダン )は34歳の頃。

こちらは母親役として、
齢相応の演技をしています。


ドラマ冒頭、まだチェ・チュンホンが現役ハッパの頃から、ソンイ嬢は主人公 金俊(キ(キム・ジュン )ム・ジュヒョク)の運命に関わっています。

彼女としては興味本位でしたが、奴婢
(ノビ)
出身のキム・ジュンの命を救って(拾って)あげたのでした。

ジュンは強制労働場に送致され、そこで「撃毬と( キョック)いう過酷な国営競技で優勝すれば希望をかなえてもらえる」と知らされ、自分同様に奴隷として働かされている初恋相手のウォラ(ホン・アルム)の解放のために出場することにしました。

絶対死ぬと分かっている「撃毬」に臨むジュンに、ソンイはいよいよ強く興味を持ちます。

ソンイには父が決めた政略結婚の相手として、柔和な金若先(( キム・ヤクソン)イ・ジュヒョン)という許婚がいましたが、「強い男でないと好きになれない」と父に言い放っていました。

そして撃毬の(キョック )第1日目。
誰もが予想しなかったことですが、ジュンが勝利しました。

我を忘れて ソンイは大興奮
しかしジュンは深手を負っていて、再出場は無理な状態でした。

「お前は期待以上だ。もう出場してはいけない。もっと軽い労働の部門に異動させてやる」
そんなソンイに対してジュンは、大声で懇願しました。
「出場させてください。奴婢
(ノビ)
として卑屈に生きるより、人間として男らしくいきたいのです

野生的で、あまりにも荒々しく真っ直ぐな気迫にソンイは強い感動を覚え、彼のために医師を呼び、また軽量の杖匙を( チャンシ )用意するのでした。

ソンイの数々の支援の甲斐あって、ジュンは最終戦を勝ち残りました。

そして大衆の前で、主催者の閤下後継者チェ・ウに「ウォラを自由にしてほしい」と、自分の望みを上申しました。
自分のためではなかったのか、とショックを受けるソンイ。

もちろんその夜、ソンイはジュンの宿舎に行って彼を問い詰めました。
しかしソンイは、自分の心の中のジュンの存在が理解できないでいるのでした。

許婚との結婚が迫るなか、第15話、ソンイはジュンを呼び出し「ウォラとの結婚は許さない。これは私の希望だ。私は遠くへ行きたい。一緒に行ってくれ」と迫りますが、ジュンに拒否されます。

全てが順風満帆かという矢先、ウォラは暴漢によって死に至らしめられました。

第18話、ソンイはジュンを船着き場に呼び出し、駆け落ちしようと迫ります。
「受け入れられない感情だが、もう隠せない。私が好いた男はヤクソンではなくお前だ。ただ隣にいてほしい」

しかし父の追手は、ソンイを連れ戻すのでした。

その後、ジュンは重責に就いていき、ソンイは二児の母となっていくのでした。

しかし、ソンイのジュンへの愛は冷めてはいません。
この語もジュンの危機に対して、色々な支援をし続けるのでした。

そしてついに、ジュンを助けるために、ソンイは夫ヤクソンに冤罪をかけるという、狂気じみた行動に走ります。

結局それは発覚し、第41話、父ハッパより毒薬が賜れました。

ジュンの腕の中での、ソンイの最後の言葉は「幸せだった」でした。

若い頃からジュンを助け続けてくれたソンイに対して、ジュンは何も応えていないのです。

ソンイの死、ソンイの生き様、自分の至らなさに、ジュンは号泣するのでした。



               



本作はおよそ800年前が舞台。
もちろん女性に人権の無かった封建時代です。

こんな時代に、儒教的な道徳に抗って自己の思いを優先する女性なんていなかったはずでしょうけど、本作はあえてそんな女性が描かれました。

教養高いソンイは、ジュンに許嫁のウォラがいることを承知して、ウォラの存命中には最後の一歩を踏み出しませんでしたし、その後に安心((アンシム )ホン・アルム 一人二役)が登場しますが、自分が既婚で母親だという現実から逃避はしていません。

その思慮深さが、ソンイというキャラに強い魅力を与えています。
でも、愛し(かな )い登場人物でした



そんなソンイを演じたキム・ギュリ、私が観た限りでは映画 美人図(ミインド) (2008年)に主演。

あと『On Air』(온에어(オネオ) 2008年)の第1話のレッドカーペットのシーンに、本人役で1秒だけ出ていました。

ドレス姿だと、また印象が変わりますね。
当時の韓国風アイメイクの強いこと、大御所感 満載です