日米で感じが違う合作映画 『ガンマー第3号 宇宙大作戦』 | コワれるまで ALLORA

日米で感じが違う合作映画 『ガンマー第3号 宇宙大作戦』

前項で書いたSF特撮モノのプラモデル、そのメーカーの雄と言えば、「緑商会」。
残念ながら1978年に廃業しています。

当時の子供たちの心をわしづかみにする、非常に魅力的な製品を出しまくっていました。

右の製品なんか私、たぶん買ってたと思います。
(「ロケット戦車」は買ってなかったかもしれない。これ買うなら、サンダーバードの「ジェットモグラ」だよね)

ということで、「生きてるうちに一度は観ておきたい旧作映画」シリーズです。

今回は日米合作のSF特撮映画
『ガンマー第3号 宇宙大作戦』(米題:The Green Slime 1968年)。

ガンマー3号というのはドーナツ型宇宙ステーションのこと。

地球へ衝突するコースを辿る小惑星を爆破するべく、ガンマー3からロケット戦車が発進。
小惑星に降り立ち、地表に爆発物をセットします。

おおぅ、米映画『アルマゲドン』(1998年)ですねぇ。

本作では『アルマゲドン』と違い、あっさり爆破に成功します。
というか、このミッションをあっさり成功させないようにしたのが『アルマゲドン』でしょうか。

でも、小惑星には怪しい緑色のネバネバ(これが米題の Green Slime)がいて、こいつが乗組員の服にくっついて、ガンマー3に持ち込まれたのでした。

で、そのネバネバはガンマー3の中で増殖。
こんなヤツらになりました。

どうする、主人公 ってのが本作なのでした。



               



本作は日米合作で、監督は巨匠深作欣二。
特撮は日本のスタッフが担当しました。
俳優陣は全員、外国人です。

私は日本向け版と米国版の両方を観ました。
けっこう違うものですね。

日本版の上映時間が77分なのに対して、米国版は90分。
この差が何かというと、主人公らの三角関係を描いたシーンの有無です。

本作の主人公はランキン中佐(左:ロバート・ホートン)とエリオット少佐(中央:リチャード・ジャッケル)。

なんですが、右に、本作全編を通じてなんか2人に熱い視線を送り続ける色っぽい女医さんがいます。

日本版は「東映ちびっ子まつり」として上映されましたので、男女の剣呑な関係なんか ばっさりカット。
と言うか、ちょこちょこ小まめにカットされています。

米国版を見ますと、女医さんはエリオット少佐の婚約者です。
ところがランキン中佐は女医さんの元カレで、今でも「本当はオレのことが好きなはずだ」としつこく言い寄ります。

女医さんもランキン中佐との過去を引きずっていて、冷たくなれない・・・という、米国ドラマにありがちな葛藤が描かれているのです。

なので米国版の中心人物は3人いるのですね。

SF特撮なんだけど人間関係も描くし、だから船内も特撮セットであるばかりでなく、ちゃんと人間たちが生活している場として、活き活きと描かれます。

こういうドラマ作りが、『STAR TREK』シリーズなどに受け継がれていったのでしょうね。

また、日本版はBGM自体がイケイケの怪獣映画調なのに対して、米国版はもっとホラー系っぽいBGMを使っていて、不気味な生物が迫りくる感じです。



なので、『ガンマー第3号 宇宙大作戦』を観るときは、米国バージョンをお勧めします




おまけ。

ガンマー3から発進する この名も無い宇宙船、カッコイイですね。