今こそ観るべき映画。 『地球の静止する日』 | コワれるまで ALLORA

今こそ観るべき映画。 『地球の静止する日』


生きてるうちに一度は観ておきたい旧作映画、第2弾は米映画 『地球の静止する日』(原題:The Day the Earth Stood Still 1951年)。

SF映画だから、このタイトルの意味は「もし地球の自転が停止したら」というパニック映画なのかと思っていたのですが、違いました。

宇宙人のクラトゥ(マイケル・レニー)が全世界の電気を30分止めた、という部分からつけられたタイトルでした。

自転停止は、列車のような地底船の中での悲劇が印象深い米映画『ザ・コア』(原題:The Core 2003年)でしたね。
あれもいい映画です。

この映画、『禁断の惑星』(原題:
Forbidden Planet 1956年)よりも古くて、出てくるロボットの造形がこれまた年代を感じさせます。

このロボット「ゴート」がSF系メディアで拡散されて、映画を観てない私とかには前述のパニックモノに加えて “スペースオペラ” や “スペクタクル” 的な作品かと思ってました。

ですが本作は 戦闘シーンなどは無く、人間の愚かさをしっとりと描いた メッセージ性の高い作品なのです。

本作が製作された1950年初頭と言えば、朝鮮戦争(韓国戦争)の(ハングクチョンヂェン)真っただ中。
世界は東西ブロックの冷戦構造が固着した時代でした。

そんな時代背景の中、空飛ぶ円盤が4億キロのかなたから飛来して、アメリカへ、その首都ワシントンD.C.に着陸。
宇宙人クラトゥが全人類に向けて用意したあるメッセージ(「原子力を兵器利用して地球内外に戦火をまき散らそうものなら、宇宙の警察によって地球は滅ぼされるだろう」)を伝えようとします。

しかし護衛のロボット「ゴート」に怯えた陸兵が、クラトゥに向けて銃撃一発。

病院に軟禁されたクラトゥは米大統領の使いの者に「全世界の指導者に同時にメッセージを伝えたいから会議を招集してほしい」と言うのですが、受け入れられません。

「地球各国の関係は緊迫していて、疑念に満ちています。このような状況で世界の首脳が一堂に会することは不可能です」

実に、地球人はおろかですねぇ。

クラトゥは病院を脱出し、人間に紛れつつ、より多くの国の主要人物に語り掛ける手段を模索します。

そんな中で出会った女性ヘレン・ベンソン(パトリシア・ニール)と共に、科学者の会議を開催しようとするのですが、危機感を持ってもらおうと(全世界規模の)停電事件(医療機関と飛行機だけは対象外)を起こしたところ、逆に警察・軍部に狙われるような事態へ。

そしてクラトゥは地球人への警告を伝えることもできずに射殺されるのでした。

ホントに、人間って愚かなんですねぇ。

そしてクラトゥ、ゴート、ヘレンはどうするのか(あれ、クラトゥは死んでないの?)

それはネタバレになるので書きませんけど。




本作公開時から70数年を経た今、あろうことか世界は未だに分断され、核戦争の危惧すら生じています。

今こそ多くの人に観てもらいたい映画です。

地球外の力で、地球を静止させてくれないかな~。
核兵器は使ってはいけないのです。