迫られる“選択”。『私だけに見える探偵』① | コワれるまで ALLORA

迫られる“選択”。『私だけに見える探偵』①


既に弟は、毒入りコーラを飲んで死んでいます。

残る2本は父親と娘。
両方に毒が入っていて、父親は家族3人で心中を図ろうとしているはず。

しかし、もしかすると父親は自分だけ助かるように、自分のコーラには毒を入れていないかもしれません。

娘がコーラを入れ替えると、父親だけが死にました。

2週間後、2つの腐乱死体とともに娘が救出されますが、病院で彼女は飛び降り自殺を図ります。


時は流れ・・・


愛する者を生かすために自分が死ぬか、愛する者に死んでもらって自分は生き残るか。

一番愛した父親に対して行った、娘の “選択” 。

娘は人々にこの “選択” を迫り、「あなたも自分が生き残ることを選択するよね。私は間違っていないよね」と問い続ける鬼神(
(クィシン )
悪霊)となったのでした。

『私だけに見える探偵』(原題:今日の
(オヌルウィ)
探偵 2
(タンヂョン)
018年)。

雰囲気がとても重暗い、ホラー・サスペンスなドラマです。

毎回映される刃物、血、死。
敵は 微笑むだけで人の心を操り、人に人を殺させる悪魔です。

ヒロイン チョン・ヨウル(パク・ウンビン)の妹や仲間らが、次々に鬼神ソ
(クィシン )
ンウ・ヘ(イ・ジア)に言葉巧みに “選択” を迫られ、操られ、傷つけられ、殺されていきます。

ヨウルの心は壊れんばかり。

そんなヨウルがすがれるのは、生きている人間ではなく、既に殺されて鬼神と
(クィシン)
なった探偵イ・ダイル(チェ・ダニエル)だけでした。

人と幽霊となんて、そんな恋が成就するはずもなく、なんとも哀しいラブストーリーではないでしょうか。

追い詰められた愛。
このドラマ、登場人物らの笑顔まで寂しいです。



               



後半あたりからのエンディングが、毎回心に ずしんときます。

毎回の最後の OST がとてもいいんです。

特にこのシーンは曲もセリフも最高 に悲しいです。

最期のイ・ダイルのなんともやるせない表情は、アレと同じです。
『IRIS』(2009年)で、北のソンファ(キム・ソヨン)がチェ・スンヒ(キム・テヒ)の生存を隠していたことがキム・ヒョンジュン(イ・ビョンホン)にバレたのですが、涙するソンファを理解できるだけに、夜空を見上げるヒョンジュン。

あの表情、あのシチュエーションと同じですねっ。


この曲はガールズグループ「Red Velvet」の조이
(ジョイ)
と、男性アイドルグループ「NCT」の마크
(マーク)
によるデュエットで、曲名が「私という夢
(ナラヌンクム)
」 。

このドラマに張り詰める緊張感にピッタリです。