前編では、父のことをお話しました。

海の上で船員たちのために
厨房を守り続けた父のこと。

今日は、そんな父の背中が
どのように私の今につながっているのかを
お話しさせてください。


■ 遠回りした、私の道


私は工業化学系の大学院を卒業してから、
大手ゼネコンに就職しました。

でも、何となく合わなくて。
1年で辞めてしまいました。

「自分には何が向いているんだろう」

そう思いながらアルバイトをしながら、
通っていたのが書道教室でした。

特に深い理由があったわけじゃない。
ただ、筆を持っているときだけ、
何も考えずに集中できた。

そんな日々を送っていたある日、
書道の先生が高校の同窓会で
私のことを話してくださっていたんです。

食品メーカーの役員クラスの方に。


■ 食の道へ


その縁で、食品メーカーに勤めることになりました。

最初は「縁があったから」という、
それだけの理由でした。

でも働いてみると、
自分でも驚くほど仕事が楽しかった。

食品開発の仕事は、
素材の科学を深く理解しながら、
同時に「食べる人の気持ち」を想像し続ける仕事だと思ってます。

気づいたときには、
「これが自分の天職だ」と思っていました。


■ 父とのつながりに気づいた日


そしてある日、ふと気づいたんです。

私は父と、同じ道を歩んでいると。

父は船の厨房から、船員たちに力を与えていた。
私は食品開発の現場から、食べる人に喜びを届けていた。

場所も形も違うけれど、
「食を通じて、誰かを支えたい」という想いは
きっと同じだったんだと思います。

父から受け継いだものが、
ちゃんと私の中に流れていた。

そう気づいたとき、
胸の奥がじんと温かくなりました。


■ 月と太陽の台所へ


父が大切にしていたのは、
船のキッチンという「場所」でした。

船員たちが食事を通じて語らい、
笑い、明日への力を蓄える場所。

私が大切にしたいのも、
同じことだと気づきました。

あなたの家のキッチンも、
家族が集い、エネルギーが満ちる場所であってほしい。

毎日の料理が「こなす作業」じゃなくて、
愛情とエネルギーが流れる時間であってほしい。

そんな想いから、
「月と太陽の台所」をはじめました。


父はもういないけれど、
キッチンに立つたびに父のことを思います。

世界のどこかの海の上で、
今日も誰かのために献立を考えている父の姿を。

そして私も、あなたのキッチンが
心地よく、エネルギーに満ちた場所であるように、
これからも発信し続けていきたいと思っています。

いつも読んでくださって、ありがとうございます。

 

世界に愛とよろこびを。 

月と太陽の台所 店長 WATARU

 

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