https://www.phileweb.com/news/d-av/202205/11/55379.html
iPodシリーズの生産は縮小を続けていたようですが、ついにiPodtouchの生産が終了し、iPodは舞台から姿を消すようです。
自分としてはiPodからイヤホンオーディオを始め、ヘッドホンオーディオに移り、スピーカーを使い始めたので、正直寂しいところではありますが、確かにiPodは今は全く使っておらず、周囲にも使っている人はほとんどいないので生産終了は時代の流れかもしれません。

20年前のものということで時代の早さは気後れしそうですが、当時の携帯音楽プレーヤーは一般層が使用するMDプレーヤーとマニア層が使うMP3プレーヤーに分かれていました。
mp3プレーヤーは小型ではありましたが、入る曲数も少なく使いこなしが大変で、マニアックな商品という位置づけの知る人ぞ知るガジェットでした。

据え置き型としてはその当時はPCに音楽を溜め込むという音楽の聴き方がPC好きの中でブームになっており、確かにそれは革命的なアクセスのよさではあったのですが、ポータブルプレーヤーとの連携にCDに焼きだしてからMDにダビングするというのは不便と言わざるを得ないものでした。

iPodはiTunesという専用のPC音楽再生ソフトと緊密に連携することと、HDDを搭載して膨大な曲数を収録できるようにして、PCの音楽ライブラリを気軽に外に持ち出すというコンセプトを打ち出しました。
そのコンセプトにより使い勝手が別次元に向上し、夢中になったのを覚えています。

ただ今は一般層がガジェットで音楽を聴く際は配信が主流であり、モバイル回線が使えないiPodは時代遅れな聴き方と言われても仕方ないのかもしれません。

一時代を築き、今は過去の物となったiPodですが、あれがなければiPhoneは生まれなかったであろうし、スマートフォンも生まれるかは分からなかったと考えると、人類史の中でもそれなりの意味があるガジェットなのではないかと思うところではあります。
 今後リスニングルームを新しく作るとしたらどんなものが良いか、現時点での近日中の予定はないからこそ自由にじっくり考察できるので、それを考えてみようと始めたのが2020/06/19だった。2年近くが経過しようとしている。
 断続的に考察しつつその中身は紆余曲折を経てきた。様々な視点から重視すべき点があるため最適解というのが簡単には見えてこないので面白いとは思っている。最初は特性的にどうすると良いのだろうというところから悩み始め、次第に調節性であったり視覚効果であったり居住性であったりなど考察する部分も変化しつつ、ある程度煮詰まってきたかなと思えてきたのでここらでその情報をまとめてみる。

3D外観





 部屋の性質としては1人で居住することを想定したセカンドハウスである。
そのタイプとしたのは、まず家族も居住する家の一角をリスニングルームとしようとすると、同一建物内での音漏れを完全に防ぐ必要があり防音コストがかなり大変というのが理由のひとつである。
そして高度な防音自体が室内の居住性にマイナスの影響を及ぼしてしまうことも踏まえてリスニングルームは1棟独立の方が良いと考えた。
 1棟独立型とはいえ、独居を想定したセカンドハウスというコンセプトとしたのには理由があり、オーディオのリスニングをする場合1人で誰にも邪魔されないという視聴スタイルが結局は一番の基本になるだろうというのがその根拠である。他の人と一緒に音楽を聴くスタイルを否定する訳ではないが、そういったスタイルではハイファイオーディオのクオリティを可及的に追求する意義はそこまで大きくない。
 高いクオリティでの音楽再生ができるようにするのであれば、1人でじっくり聴ける環境は少なくとも必要であるように思われる。母屋の一角にリスニングルームを作ったという場合、アルバム1枚分を室外の事は何も気にせず1人でじっくり聴けるかは各家庭環境には依るが、個人的にはやや疑問である。
 ただの「離れの建物」ではなく、その建物内ですべての生活行動を送ることが可能なセカンドハウスとしたのも理由があり、音楽鑑賞だけの用途としてではなくオーナーが1人で好きなことをしたいときに活用できるからである。
 逆に言えば、母屋の一角にリスニングルームがあるとすれば音楽鑑賞以外にはあまり使わない部屋となり、使い勝手の悪い滅多に使わない部屋になりかねない。敷地内の離れにリスニングルームを作るにしても音楽鑑賞以外のことをしようとした際に母屋に戻る必要があるのであれば、音楽鑑賞以外には使わない空間となってしまう。
 母屋の敷地外にセカンドハウスを造ってリスニングルームとした場合は、セカンドハウス内でもひととおりの生活ができるので音楽鑑賞以外の日常生活行動をしたいときにも活用できるし、食事や睡眠などの際にもリスニングルームから離れる必要が無い。極論を言ってしまえばオーディオに飽きたとしても存在価値が十分にある部屋になる。
 またセカンドハウスは居住実態が認められればファーストハウスと同じような固定資産税の優遇措置を受けられるのでそういった意味でも同一敷地内の離れとして作るよりもメリットがある(ライフラインの基本料金は個別にかかってしまうデメリットもあるが)。
 マイホーム建築の際に夫が書斎を希望し、室内面積の取り合いが新築住宅のよくあるパターンであるように、趣味を持つ男性というのは自分専用の空間を欲するケースが多いのが事実である。そして専用の部屋があったとしても不十分で、隔絶された空間がより望ましいというのが自分の実感である。つまるところセカンドハウスとしてのリスニングルームという構想は別にオーディオが趣味でなくても、他の趣味に目移りしたとしても活用価値が十分にある構想となる。

内面間取り図


 セカンドハウスの生活のためのアメニティは基本的に最低限のものでいいと考えている。要はワンルームマンションと同じようなコンセプトである。リスニングルームがメインなのでリスニングルームから仕切れた空間は狭くして余分なコストをつぎ込むべきではないし、独居を想定したものなので広く取る必要もなければ豪華なものにする必要もない。そういった趣のアメニティは母屋で家族とともに使用するものに用意すべきである。
 逆に小さな空間の中にアメニティが全て揃っているというのは独居の場合はメリットにもなる。そしてリスニングルーム内で音楽を聴きながら色々なことができるというコンセプトにもつながる。リスニングルームのアメニティはあえてコンパクトな方が良い感じになる。当然ワンルームマンションと同じようなアメニティであればコストの面でも有利である。

リスニングルーム格子区切りイメージ


 室内の構成はリスニングルームとアメニティスペースに分かれるが、リスニングルーム内もリスニング専用スペースと生活空間スペースを格子で区切っている。格子はスペースとして2つに区切る効果があるが、音響透過性があるため室内音響としては同一空間として扱えるという性質を活かしたものだ。若干の拡散効果も期待できる。 
 音響的なスイートスポットはリスニング専用エリア内にあり、真剣なリスニング時にはそちらを用いる。
 PC見ながら、寝転がりながら、お茶を飲みながら、食事をしながらなど、あまり真剣なリスニングをしないときは生活空間エリアで音楽を聴く。音響的にはベストな位置ではないが、ながら聴きなので音質的な有利さよりも居心地よい生活と音楽鑑賞が密着できれば良いと考えてのエリアである。
 1つの部屋を2つのエリアに区切るのではなく、2つの部屋を用意してカジュアルに鑑賞するときはサブリスニングルームでサブシステムを用いて聴くという方が一般的な考え方かもしれないが、それをやると結局メインルームでの鑑賞が面倒になり足が遠のきがちなので、あえてワンルーム・ツーエリアの構想とした。

棚エリアの間取り図


壁面棚+格子戸イメージ




 リスニング専用スペースの壁は手の届く高さは殆どの面で棚を設け、その表面を着脱式もしくは扉の格子で覆う設計となっている。格子や棚自体が若干の拡散効果を持たせつつ、棚の中に響きの調整を行う物体(吸音材や拡散体など)を設置して響きを整えるというコンセプトになっている。
 格子はそれ自体に拡散効果があるだけでなく、大部分が透過することによりその奥にある音響調整材の効果を発揮させることができる。そして見栄えが悪くなりがちな音響調整材を目立ちにくくするための視覚的な遮蔽効果も期待できる。

格子戸を外した状態の棚


 音響調整材を置くための内部の棚は、音響に変化を与える材料を「置く」ことができるという点で利点がある。一般的な壁面の音響調整は壁掛け式のものであるが、「掛ける」より「置く」方が調節がしやすく、安全性が高く、壁掛け出来ないような素材や形状のものも使用できる。そしてある程度は音響調整だけでなく収納スペースとしても使用できるので居住性の改善につながる。

 格子の音響拡散性と音響透過性と視覚遮蔽性のために用いているが、和室風のイメージも与える。それをデメリットと考えずにモダン和風のリスニングルームを意識してデザインしている(実際に和風と感じられるかは別問題だが)。正面の棚はあえて格子を取り付けず、床の間のデザインを意識した飾り棚として、飾りとして利用できつつ、音響的にもある程度調整効果のあるものを飾れるようにしている。また一部はオーディオコンポーネントの収納スペースにも利用できるようにしている。

高所部分イメージ




 リスニング専用スペースの高所は高所作業用の通路を四方に設置しつつルーバー天井としている。一般的な高所作業用通路と同じように高所の採光用の窓のメンテナンスの役割も果たしてはいるのだが、格子の廊下と格子の手すりにより多少の拡散効果を期待している。
 そして一番のミソは、その廊下に音響調整材を「置く」ことによって高所の音響調整をできることにある。ルーバー天井にもルーバーの上に音響調整材を「置く」ことができる。
 高所の音響調整はかなりの困難を伴う上にそれを調整するために試行錯誤しようとなると相当に厳しい上に落下の危険も伴う。しかも高天井だとさらに難易度が上がる。そういった困難さがあるため無対策もしくは決め打ちにならざるを得なかった高所や天井部分の音響調整が安全かつ簡易にできるというのがこの構造の最大のメリットである。

 窓はあまり音響的にメリットはないが、最低限ながらも目的をしっかり決めて付けるようにしている。窓を潰した防音室を利用していると、やはり外の情報が分からない、太陽光による時間の感覚が分からない部屋というのはあまり好ましくない、面白くない、快適でないと感じる。
 高所に採光用の窓を設置しつつリスニングポジションの正面に景観用の窓を設置している。どちらも必要ない時には音響的に好ましい1DのQRDのようなものを扉にして開閉できるよう考えている。音響的に多少の妥協をできる時は採光や景観を優先し、音響最優先の時は窓を閉じるという切り替えができれば窓があってもデメリットは少ないのではないだろうか。

 照明は太陽光の採光のように自然で落ち着くような建築化照明をメインとしつつ、高所作業用通路の手すりに補助の照明を設置する形を考えている。メインの照明は落ち着く柔らかい光をメインにしつつ、補助の照明は演出的なものとし、補助は気が向いたときだけ付けられると良いのではないか。
 照明もなかなか決め打ちが難しいので補助のものは壁埋め込みではなく交換や調整が容易になるよう手すりに固定するくらいのものが良いと考えている。

生活空間スペースのイメージ


 後方の生活空間スペースはリスニング専用スペースとは格子および格子扉で区切られているが、境界が格子のみなのでこのスペースでも音楽鑑賞自体は可能である。
 PC操作や読書などができるデスクはスイートスポットから外れてはいるものの、ステレオイメージを損ないにくいポジションになっている。快適にデスクワークや読書をしながら良い音楽が聴ける場所があると素晴らしいのだが、ガチガチのリスニングルームだとそういうことはしづらくなるのだがエリアを区切ってできるようにした。
 生活空間スペースの後方の壁には他の壁と同じように棚を設置している。ここは積極的に音響調整材を入れてもいいのだが、主に生活用品の収納をするスペースとしても想定している。衣類などは吸音効果があるので、日用品で調整しようというコンセプトだ。後方の反射音はある程度不明瞭化してくれた方が良いと考えているので、日用品収納の棚は後方の壁で採用することになった。
 後方にはソファとベッドを用意している。ソファでくつろぎながらでも、ベッドで寝転がりながらでもメインシステムの音楽を楽しめるようにしたいというコンセプトである。このあたりのエリアは音響的に優れたスポットとは言い難いが、間接音の割合が多くなり、あまり神経使わずに聴く分にはそういう音の方が気楽で良いのかもしれないと思っている。
 生活空間スペースにはミニキッチンも設置している。居室にキッチンがあるのはワンルームマンションみたいだが、居室にキッチンがあることによって、お茶を入れるとか軽食を用意するくらいであれば音楽を聴きながらできるというのがメリットだ。(冷蔵庫は騒音の元になるので隔絶しなければならないが。)
 作業や仕事をやりたいから、疲れたから、眠いから、飲食をしたいからリスニングルームで音楽鑑賞はできないということがないよう、せっかく良い音楽の再生環境が作れたなら可及的に使いやすくして活用できるようにすべきというコンセプトとなっている。
様々な観点からより良いリスニングルームを目指して試行錯誤しながら設計している仮想のリスニングルームだが、勾配天井を一部採用してみることにした。
勾配天井は床と天井が並行にならないので音響的に有利ではあるが、今まで組み込んでいなかった。

横から見た平面図はこんな感じで、居室部分は一般的な天井高としつつ高天井のリスニングスペースを二寸勾配に変更している。



今まで勾配を組み込んでいなかった理由としては、中2階が勾配天井により一部の高さが1.4mを越えると居室面積とカウントされ固定資産税的に不利になるかもしれないからという理由があった。だが、そもそも中二階の構想もあった高所部分は現在は完全に居住用と見なされない作業用通路になったので無理に天井高を意識する必要がなくなったのだ。

高所のみカリモクのシミュレーターで別個に再現(3D視点の高さ調節機能がないため高所のシミュレーションは別に作った方が分かりやすい。)



勾配天井を採用すると採光用の高所窓や間接照明などの設置部分の自由度があがるので採用した方が良さそうだというメリットもある。
さらに建物自体の高さも低く出来そうだというメリットもある。勾配天井を採用していなかった時の設計では天井高は3.9mで設計していたが、同条件の天井高3.5m程度でも勾配天井にすると同等の容積を得ることができる。

ある程度煮詰まってきたのでここらへんで仮想ルームのコンセプトの現時点でのまとめ記事を作っていこうと思案している。
今までどのような室内音響処理がいいのかと考えることが多かったが、今の音をこうしたいと言うときにどのようにすべきか、という観点でまとめたことはなかった。
考え方の整理として、備忘録として、早見表として今回の機会に記事にしてみる。
理屈的な観点からもある程度妥当性があるだろうというというもののみを扱うので実践でどこまで効果があるかは断言できないところはある。
今回言述するものは全てステレオ再生のみのケースが前提となる。

●音像を明確にしたい
 →間接音の不整を改善する。直接音の割合を増やす。
・室内を左右対称にする
・できなければ吸音を多くする
・スピーカーをリスニングポジションに近づける
・ホーンスピーカーを採用する

●音像に奥行きを付けたい
 →ITDGを増大させる。早期反射音の割合を減らす。
・スピーカーと壁との距離を離す
・スピーカーとリスニングポジションとの距離を離す
・大きな部屋に設置する
・拡散体を設置する(特に早期反射面)

○音像を近づけたい(ボーカル等を前に出したい)
 →ITDGを縮小する。早期反射音の割合を増やす。
・スピーカーを壁に近づける
・スピーカーとリスニングポジションの距離を近づける
・小さい部屋に設置する
・反射板を設置する

●音像をワイドにしたい(横に広げたい)
 →ASWを増大させる。早期反射音の入射角を大きくする。
・スピーカーと側面の壁との距離を広げる
・側面の壁を拡散させる
・大きな部屋に設置する

●音像を大きくしたい(縦に広げたい)
 →音源を縦に大きい物にする。下方からの反射音を減少させて合成音像が下方に移動する要因を除去する。
・スピーカーとリスニングポジションを近づける
・床を吸音させる(特に早期反射面)
・アレイスピーカーを採用する
・仮想同軸のスピーカーを採用する
・ホーンスピーカーを採用する

●音場感を出したい
 →LEVを確保する。
・後壁と側壁と天井を拡散させる。
・天井高を確保する

考えがまとまり次第適宜加筆予定。
ピュアオーディオ関連の値上げはここ数年ではオーディオ業界のニュースの大半を占めるくらいの日常茶飯事だが、コロナ禍とウクライナ情勢の影響でそこに拍車がかかった様相を呈している。
ソニーやヤマハやパナソニックやオーディオテクニカなど大手も耐えきれずに値上げを発表している。


https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00112/033000069/


記事の無料部分にもあるように家電製品の中でオーディオの値上げが顕著のようである。
ハイエンドオーディオのように独自かつマイナーすぎる市場で値上げをされても他の要因を疑う余地があるが、
ゼネラルオーディオのメーカーが相次いで値上がりしつつ、それがニュースとしても取り上げられるくらいなのだから、オーディオ製品の製造コストの大幅上昇は否定しがたい確固たる事実となりつつある。

なぜオーディオ製品でコスト上昇が顕著なのかと考えてみると、
・そもそも市場が縮小中であり規模拡大によるコスト低減を生み出しにくい。
・技術進歩によるコスト低減が期待できない。(CPUやメモリの場合プロセスルールが微細化すれば従来機のハイエンドと同等の性能の廉価モデルを作れるが、オーディオに関して同様の事例はほとんどない)
・物量や重量を要求されるため材料費や輸送費の高騰の影響を受けやすい。
・半導体や金属など高騰が著しい分野の使用量が多い。
・材料に輸入品が多く、海外ブランドも多いため円安の影響を受けやすい。

この辺りが原因となってくるのだろうか。
そもそもプロ用はまだしもコンシューマー用途の高品質のオーディオシステムは必需品化と言われれば全くそんなことはない。いわゆる贅沢品である。

・疫病の大流行で供給や物流が滞っている。
・戦争の影響で物資が少ない。
・現在の我が国の中央銀行が極度なハト派であり円の価値が毀損されている。

この辺りの要因が重なっている中であえてオーディオシステムを買い進めるという時期ではないのかもしれない。
来年の2023年以降にそれぞれの要因が和らいでくるとは思われるので、それ以降に大きな買い物は検討してみようとは考えている。
俯瞰してみると今の時代は世界的に見ても豊かとは言いづらい状態にはなってきている。ピュアオーディオのような贅沢な趣味はその時代には逆風なのは仕方ないように感じる。
音響心理学の本について一度読んでみたいと思い標題の本を読んでみた。

実際の所はどうなのかは不明だが、非専門家が一読した印象としては基本的には大学レベルの教科書という印象の書籍である。
幅広い観点からの基本的な学術的観点が網羅されている。非専門家にはやや難解な点も多く、100%理解しようとすると厳しい印象がある。発行が2019年であり情報として新しいのが素晴らしい。

「心理学」と銘打っているものの、非専門家からしてみると生理学的な内容が多く感じる。一般的なイメージの心理というより感覚の部分を多く扱っている。そのため、一般人のイメージする心理学というファジーなイメージと違って、数値や数式や図表などが多く扱われており、信頼性や客観性が相当に担保されている情報を扱っている。

オーディオに関連するような項目はあまり多くはない。実際にオーディオに直接活かせるような知識も少なかった。聴覚に関しての基礎的網羅的な知識を備えておくという意味では良い本であるとは思われる。
今回の疑問点に関しては専門家が答えを出しているかもしれないが、自分がその答えを見つけられているわけではないので、疑問だなというだけで答えはない。

音楽鑑賞において、部屋の響きがある程度存在することが望ましいとは常々言われている。
そして間接音というのは基本的には中低域よりも高域の方が減衰しやすい。
なので響きも含めて周波数特性を計測すればハイ下がりのデータが出てくるのは必然となる。

ただし、製作現場では果たしてそうなのかというとやや疑問である。
スタジオは割とデッドな環境が多いため、間接音が少ないと考えられ、ハイ下がりの間接音が少ない現場で音楽が作られやすい。
そもそもライブなスタジオであるにせよ、デッドなスタジオであるにせよ、イコライジングによってスタジオの周波数特性は平坦化されることが多い。
なのでリスニングルームのようなハイ下がりになっているとは想定しづらい。

また、ヘッドホンでのマスタリングにおいても、ほぼ直接音のため、これもリスニングルームのハイ下がりが反映されていない可能性が高い。

リスニングルームで高域がなまることを予測してハイ上がりにマスタリングしてくれている可能性もあるが、ヘッドホンリスナーのことも考えれば、そこの配慮をすることが絶対的な正解とは思えない。

つまりスタジオでのスピーカー、ヘッドホン、リスナーでのヘッドホンではハイ下がりにならず、リスナーのスピーカーでのリスニングにおいてのみハイ下がりになるということになる。
これは当然のことと受け入れるべきものであるのか?部屋の響きがある方が良いというのは高域がなまってまろやかな音になるからなのか?どちらかというと高域減衰は副作用であり、主作用は間接音による音の適度な厚みや音源の幅や音の広がりなどであろう。
 今までも音が良い、部屋がいい、システムがいいということについて考えたことが何度もあった。その際に1つの要素が良いだけでは良い訳ではないだろうという結論にいきつく事が何度もあった。

 どういう要素があれば良いのか、それだけではいけないのかについて整理できるのではないかと考えたのが今回の記事である。

 検討の結果、以下の5つの項目がどれだけ達成されているかがリスニング環境の評価項目になるのではないかと考えられる。

・物理的特性
・心理的効果
・室内環境
・愛着
・可変性


・物理的特性
 オーディオにとって特性は客観的評価として主要なものである。これを無視したシステムが良いというのは独りよがりな評価と言わざるを得ない。
ただ、特性の良さだけを追い求めたシステムを最上と評価する人が少ないのも事実である。
特性はオーディオ環境の一要素として重視すべきものと考えられる。

・心理的効果
 当該環境でオーディオリスニングを行った場合のエモーショナルな作用、感動させられる、心にしみる、おおっと思わせるなどの心理的作用がどの程度あるかという評価である。
物理的特性の項目によっては心理的効果と相関関係はあり、特性と心理的効果は明確に分離できるものではない。
ただ、音を歪ませることでもプラスの心理的効果が生じることがあるのはギターアンプなどにより実証されているのが事実である。そのため、ある程度の音源の忠実再現が求められる再生音楽にとっては、物理的特性と心理的作用はある程度分けて評価すべきもと考えられる。
 特性や他の項目が優れていたとしても心理的効果が低いものは「悪くはないシステム」という評価に落ち着いてしまうだろう。
 ただ心理的効果のみを追求したシステムは「個人の好み」だけに依存した独りよがりなシステムと言わざるを得ない。そしてその独りよがりなシステムのオーナーも人間である。人間は使っているうちに飽きてきたり好みが変わってきたりする。
 独りよがりなシステムでオーナーの好みが変わってしまった場合、それを好ましいと考える者が皆無になってしまうため心理的効果のみを追求したものは望ましくないと思われる。

・室内環境
 オーディオシステムとして特性が良く、出音の印象も素晴らしいと思えるものがあったとする。その特性や心理的効果を追求するあまり、その室内環境が悪くなってしまう場合がある。
 個人のオーディオリスニングは業務や修行でやっているわけではない。音が良いなら苦痛も受け入れなければならないという類いのものではない。なのでリスニング環境の居住性が良好でなければならない。
 そもそも居住性と物理的特性や心理的効果は完全に相反するものではない。物理的特性や心理的効果にわずかな妥協を行いつつ工夫を行えば室内環境と高いレベルで両立が可能なはずである。なので居住性を無視して音を追求すべきではないと考えられる。

・愛着
 理想とするオーディオ環境は人によって十人十色である。物理的特性が優れていて、心理的効果も高く、室内環境が良いというものを設計することは恐らく可能だろう。ただその条件を満たした1つの環境が万人にとっての至上の環境かというとそうではないだろう。
 それに一時はその人にとっての至上のシステムであったとしても未来永劫に至上のシステムという訳でもないだろう。
 結局のところ個人がその時点でどれだけその機器や部屋に愛着を持っているかという要素がその時点での良い環境かどうかに大きく関わってくる。どんなに良い機材でも所有者が使いたい所有したいと思わなくなったら本人にとっては至上のコンポーネントとは言えないのである。現に大抵の名機は中古に出ることを考えればその要素は無視して良いとは思えない。

・可変性
 上記でも述べたように個人の趣向は変わるので、過去での最高の解答と言える環境を揃えられたとしても、未来にそれが最高であり続けるとは限らない。
 そもそもオーディオ機器も技術の進歩により最高の機材は更新されるし、音響理論も新しくなっていくため、部屋の環境も未来の最高の環境が今と同じとは限らない。
 そういった意味でも機材の更新のしやすさや室内音響の調整のしやすさなどが必要であると考えられる。(一度搬入したら搬出できなくなる機材などほぼないので、基本的には部屋の話にはなる。)


今のシステムは自己採点100点満点で採点するなら
・物理的特性:50点
・心理的効果:45点
・室内環境:30点
・愛着:40点
・可変性:25点

くらいだろうか。あまり今の環境をよしと思っていないんだなと自覚している。
若い人がオーディオをやらない、先細りが著しいなどが定期的に言われているが正直なところ思うところは多くある。
基本的には時代の価値観に合っていない趣向だからというのが大きいのだと思う。
物を所有することに重点を置かない価値観が優位になりつつあること、音楽鑑賞を趣味とする人口が減少していること、都市部の人口集中により集合住宅に居住している人の割合が増加していることなど時代に合っていない点が多すぎる。

ただ最先端の価値観を持っている人達がケチだったり貧乏だったり酸っぱい葡萄の自己正当化をしたりしているわけではなく、むしろより正しい価値観を持っているとは思える。
一昔前の世代の人間が車や腕時計などでやっているような、よりグレードが高い物を競い合うように買い集める価値観の方が望ましいとは言えないのではないか。

ただし、オーディオ機器や音楽鑑賞に時間をかけて浸っていることで、人生における充実感や心の豊かさを感じる人がいるのはいるのは、どの世代でも自分を含めて一定数いるのは事実である。
そういう人種が自らの充実感や心の豊かさのためにオーディオ趣味を続けていくというのはどの時代の価値観であれ概ね肯定されるべきものである。

逆説的な例を挙げてみる。オーディオ機器を買い揃えることで充実感を感じ、他に特に趣味と言えるものがない人に対して、物を買い集める行為など悪趣味だと批判して抑止して、余裕資金を有効に使わせないまま一生を終えさせることが良いことなのかというと違うだろう。

ただ、オーディオ趣味であったとしても音質を追求すること、良い高価な機材を買うということは心の豊かさを得るための手段の一つでしかないということは留意せねばならない。
オーディオ趣味は機材を吟味することで音質を追求する過程に充実感を感じたり、音楽鑑賞による心理的な充足効果を高めることが目的であると考えている。
良好な音質や高価な機材はその目的を達成するために有効な物ではあるが、高価な機材で音質が良くなったからと言って必ずしも心理的な充足感を得られる訳では無い。
音質的にはプラスに働きそうではあるものの、心理的には豊かにならない方向のものは採用に慎重になった方が良いのではないか。
例を挙げるとするなら、機材の価格がオーナーにとって高価すぎるため購入することで生活に影響を及ぼす場合、機材が大きすぎるなどして部屋の居住性を損なう場合、デザインが個人的に好みでなかったり設置により室内の美観を損なう場合、オーナーにとって取るに足らない程度の音質向上効果しかない場合、オーナーにとって望んでいない方向に改善する場合などがそれに該当する。

そして割とやりがちになってしまうことではあるのだが、同じ趣味を持つ人達に対して優越感を持つことができるようにすることを目的に機器を買い進めること、マウンティングの道具に使うのは可及的に慎むべきではないだろうか。
副次的にそう言った効果が多少はついてきてしまうのは仕方ないにしても、メインとすべきではないと思われる。

理由としては、ある一面では優越感に浸ることで快感にはつながるが、それで人生として豊かになるかというと微妙な気はしている。
オーディオ趣味は上を見ればキリがないだけに優越感を感じるには効率が相当に良くないし、一般人にも理解されないから他者から承認される機会も限られる。
間違いない優越感を得るためには最新世代のウルトラハイエンドを買い換え続けなければならないがそれが現実的な人は相当に限られる。
また、同じ趣味を持つ他者をマウントすることで優越感という快感を得る行為は他者を踏み台にして自分を楽しませるため、他者から批判されやすく、批判されても仕方ない行為である。

そういった人生を充実させるためのオーディオという視点を大事にしていきたいものとは考えている。
しばらくブログの更新が止まってしまった。
理由はいくつかあるのだが、1つは現在の家族構成的に防音室に1人で籠もれる時間が取れないためあまりオーディオをやっていないことにある。
さらに言えばあまりオーディオ関連で注目するような新製品や新技術がなかったこと、日本音響学会のフリーアクセスで扱いたいと思える新しい論文が見つからなかったことなどもある。

それに加えて、仮想リスニングルームがある程度まとまったこともあるのだが、仮想ルームのコンセプトとして引っかかっていた部分が1つあったことに気付いた。

仮想リスニングルームは室内音響も重視しつつ、日常生活の中で自然と音楽鑑賞ができるようなアクセスの良さを重視すべきと考えている。防音や調音だけをひたすら突き詰めたリスニングルームは日常生活からは隔絶されたアクセスの悪い部屋になってしまうからだ。

真剣なリスニングを家族の迷惑をかけず、リスニング中は家族の干渉を受けないようにしようとするならリスニングルームは別棟にすべきだが、日常生活の中に良質な音楽と共にありたいと思うならリスニングルームでもある程度の生活ができる機能が必要だ。

なのでリスニングルームに隣接して一般住宅も備えているようなアメニティを設置した小部屋を以前に設計したのだが、そこで生活ができるように水回りなどを設置していくと12畳くらいになってしまった。24畳のリスニングルームに対して12畳ものスペースを用いて音響的に寄与しない部屋を追加しないといけないというのは、ややコストが大きすぎる気がする。





そのあたりをより合理化しようというのが今回の記事での試みである。
なるべく生活に寄り添ったリスニングルームを想定すると先述したが、まずどのような生活スタイルを想定しているのかというのを考え直してみた。
別棟になるので、自宅で家族と関わる用事がない上で1人でいたい時間でありかつ、仕事場にいく必要のない時間を愉しむという目的になる。

その時間をどのようにして音楽とともに生活したいのかということを考え直してみたが、結局のところ自分は大学生で一人暮らしをしていたときのように気ままに音楽鑑賞を追求したいというのが一番のようだ。
大学時代は狭い1Kの住宅で一人暮らしをしていたので、室内生活のすべては概ね1部屋内で完結していた。その部屋にオーディオシステムがあるので何をしながらでも音楽が聴けたし、気が向けば即時に真剣なリスニングができたのである。

今の戸建ての現在の住宅では食事スペースや生活スペースや寝室が分けられている上で、専用のリスニングルームが設定されている。しかも家族という同居人もいる。
そのため大学時代と比較すればオーディオシステムのグレードも防音も室内音響も向上したものの日常生活と音楽鑑賞が切り離されてしまった。その隔絶を解消したいけれども、大学時代に大きく妥協を余儀なくされていた音量とシステムのサイズと室内音響を気兼ねなく好きに出来るという部屋が個人的には理想的なのだと思う。

そのあたりを加味した結果、1Rの住居の間取りの居室部分をそのまま音響調整されたリスニングルームにするという発想で部屋を設計してみることにした。



間取りの下方はそれほど特殊ではない1Rとして(水回りが左右に分割されているのは一般的ではないが)、居室部分が上下に延長された形でリスニングルームが設置される。
リスニングルーム部分は高天井となっている。






居室部分とリスニングルームは緩い区分けはされているが同一空間となっているため、音響的に考えた場合の容積は両方の和となる。
居室部分とリスニングルームの区切りはある程度拡散効果がある仕切りを作ることで居室部分の左右対称性が完全でなくても音響効果の左右差が現れないようにする。
リスニングのみに集中する時はリスニングルーム内で鑑賞し、作業時や食事時や寝転がりながらなどの視聴の場合は居室スペースでの鑑賞を行うというコンセプトである。



マイホームクラウドというページで外観のシミュレーションもできるのでやってみた。
ただの箱になっていないいので外見もそこそこにはなっている印象







これによって、リスニングルームの容積と関係ない空間が12畳→7畳に減少した。リスニングルーム+居室の面積として24畳→27畳と増加した。
リスニングルーム+居室部分は高天井の部分16.5畳と一般的な天井高の部分10.5畳の領域ができることになり、高さ方向の定在波が分割されることになった。
後方のみ低天井のため天井が低いことによるデメリットはあまり多くなく定在波が分割されることの方がメリットが大きそうである。
そして1R型の居室部分は特に高コストを必要とする構造にはなっていないのでコスト低減になると思われる。
またリスニングルームと居室部分はどちらも単独でも成立する建造物となっており、それをつなげたものとなっている。
そのため見た目上は大部屋だが、設計上は中くらいの部屋が2つ連結しているだけなので設計的強度的に無理がなく、その分強固に作る分にも有利となる。