キャバ嬢ができるまで~歌舞伎町24時の昔話~
よもやま昔話などなど
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昔話⑬初めての指名

ピエールに入り4日が経った。
私は相変わらずヘルプとしても役立たずでお客さんにも「君やる気あるの?向いてないんじゃない?」と言われ、女の子にも「席についてるんだから何かお話しないとダメでしょ」と言われる始末汗私やっぱりこの仕事無理だわダウン時給いいけど辞めて昼職に戻ろう...。

「瑞樹、香織とあのお客さんの席について。あの人雪絵のお客さんなんだけど今日雪絵休みでフリーで来てるからもし名刺ちょうだいって言われたら渡してもいいから(※基本的に他の子の指名席にヘルプでついた時はお客さんに名刺は渡してはいけない)」
メガネの30代半ばくらいのスーツの人が座ってる席に香織さんとついた。
ひと通りの挨拶と会話をして乾杯。

「君いいね~。ごめん、多分あなた(香織さん)の方が美人なんだけど僕この子気に入ったわ!瑞樹だっけ?」この3日間ずっと役立たずの脇役だった私。そんな事言われたのは初めてだったしびっくりした。誰が見ても香織さんの方がずっと綺麗だしあせる

しばらくして別の席のヘルプに回された。だが、すぐに「瑞樹さん場内指名です」と言われた。さっきの雪絵さんのお客さんが場内指名をしてくれたのだ。
嬉しかった。たかが場内指名。でもどの席についても邪魔で使えない存在だった私を気に入ってくれるお客さんがいるなんて。

2日後、そのお客さんは雪絵さん指名で来てまた私を場内指名してくれた。しかも「これからは雪絵が本指の時は瑞樹が場内、瑞樹が本指の時は雪絵が場内って交代交代にするからね」と。嬉しいけど元々雪絵さんのお客さんなのに申し訳ない気持ちにもなった。雪絵さんは大人ないい人で「そうしよう。3人で話す方が楽しいしニコニコ」と言ってくれた。

そのお客さんの名前は鈴木さん。15年経った今でもはっきり覚えている。

昔話⑫ヘルプ回り

新人で指名客もいない私は当然他の女の子の指名客がかぶった時のヘルプとして席に付くことが多かった。
指名客と指名の女の子の会話中どのタイミングで会話に入ったらいいのか、指名の女の子が他のお客さんの席に行ってしまってる間どういう会話をしていいのかわからず、ただ戸惑って「よく来るんですか?」「お酒強いんですね」などお決まりの言葉を言うものの会話はすぐに途絶えてしまう。
中にはまだ慣れない私に気を遣って色々話しかけてくれる優しいお客さんもいたけど、大抵は『あ~こいつつまんねー早く○○ちゃん戻って来ないかな』という態度と表情で益々私はどうしたらいいのかわからず、その場から逃げ出したくなった。

とりあえずあまり飲めない酒を飲んだ。飲むと緊張感が溶けて少しだけおしゃべりになった。

真希さんはヘルプとして私がつくといつも「今ね、髪型の話してたんだけど...」などと私が入り易い雰囲気を作ってくれたし、「この子瑞樹っていうの。入ってまだ3日目で水商売ここが初めてだって。面白いんだよ、2畳一間に住んでるんだって」などと自分が他の指名客の席に移動して私とお客さんが2人きりになってもなるべく会話が続くように上手く繋いでくれた。
私もいつか指名客がつくようになったらお客さんだけでなく女の子にもこういう気配りができるようになりたいと思った。

昔話⑪恐怖!リカさんのヘルプ

ピエールに入って「私って場違い?」と思いながらも先輩やボーイさんに助けられながらなんとか1日1日が過ぎていった。
当時私はお酒がほとんど飲めなかったがピエールは売上制の店なので先輩の席にヘルプでつくとボトル空けさせられるのがきつかった。
特にリカさんの席では飲めないのにブランデーをなみなみと入れたグラスを目の前にドンと置かれ「瑞樹の一気がみた~い音符」と飲まされる事が多かった。
場の雰囲気もあるし、ボトルが空けばリカさんの売上になるからやらなければいけないのだが元々お酒飲めない私が一晩に5回も6回も一気するのは正直苦しかったダウン第一お客さんは別に私の一気なんて見たがってない。

お客さんがトイレに立った時リカさんが言った。
「瑞樹、あんたビール飲めないんだからボトル空けくらいやりな!これが水商売なんだよ(注:ビールの小瓶が2000円だったのでビール飲める子はそれで売上が上がった)」

リカさんは28歳で美保純に似ていた。水商売長くて非常にはっきりした明るい性格の人だった。ヤクザの一人娘だと聞いたのもあって私の中では怖い先輩だった。

リカさんの席でもう1つ嫌だったのは客と王様ゲームを始めて自分の客なのに私を含め負けたヘルプの女の子とキスさせようとするのが嫌だった

リカさんの席は怖くてヘルプでつきたくなかったガーン汗
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