キャバ嬢ができるまで~歌舞伎町24時の昔話~ -3ページ目

昔話⑦初めての席

「いらっしゃ~いアップニコニコ今日から?名前なんていうの?」「瑞樹です」「瑞樹ね。私、真希。よろしくね~。いくつ?」「ハタチです」「きゃーハタチだってよアップ若いね音符あ、でも真希が水商売やりだしたのもハタチだったニコニコ○○さんてハタチの頃って何やってた?」

...そんな感じでお客さんを交えつつ会話。私はどんなタイミングで会話に入ったらいいのかわからずただ真希さんに聞かれたことに答えたり相槌を打つしかできなかったダウン

そうこうしてるうちにボーイさんがやってきて「真希さんご指名です」と真希さんが抜かれてしまったあせるあせる(ちなみに私は色んな店で働いたけど指名がかぶった時指名客の前で「ご指名です」とはっきり言って抜く店はここだけだった)
何話していいか不安だったけど真希さんが私に対して色々聞いたりいじってくれたおかげで真希さんが他の席に行った後も真希さんのお客さんと会話が弾んだ。最初についた席がいいお客さん、いい女の子でほっとしたし嬉しかった。

しばらくして真希さんが戻ってきて再び話していると「目もう大丈夫かなぁ」と眼帯を取ってお客さんに見せた。紫色にすごく腫れ上がっていた。「それどうしたんですか?」

「ん?男に殴られたの~」

昔話⑥初出勤

キャバ嬢・瑞樹になって初めての出勤。初めての水商売カクテルグラスドキドキドキドキ...

面接で「どんな格好をしたらいいですか?」と聞いたら「今日みたいな格好でいいよ。貸し服もあるけど正直変なのしかないし」と言われた。その時着てたのは黒いジャケットに黄色のタイトミニ。でも初出勤の時どんな格好だったかは思い出せない。

面接したピアス男は中島さんという人でマネージャーだった。マネージャーは2人いて私は自動的に中島班になった。
私は水・日休みで0時~8時の出勤にした。30分前に行き水割りの作り方や吸い殻が2本たまったら新しい灰皿に替えるとか、お客様がトイレに立ったらトイレの前でおしぼりを持って待って出てきたら渡すとか、ボーイさんにサインの出し方、見送りはお客様が振り返る可能性もあるから姿が見えなくなるまでとか色々教わる。

教わりながら薄暗い店内を見渡すといくつかのソファーにお客さんと女の子の姿が見えた。女の子がみんな私よりずっとずっと綺麗に見えてやっぱり私場違い?と思えてきたショック!汗

「あの席にヘルプでつけるから。大丈夫だよ。リラックスして明るくね」
「本日入店の瑞樹さんです」と案内された席にはロングヘアのなぜか片目に眼帯をした綺麗な人が大柄のおじさんの横に座っていた。それが真希さんだった。

昔話⑤面接

夕方5時頃「○○さんですか?」20代半ばくらいのスーツの男性が現れた。茶髪にピアス。あぁ水商売の人だわあせる
開店前のお店に連れて行かれ面接。店はコマ劇の近くのビルの地下にあった。
中に入るときらびやかなシャンデリアにソファーキラキラ精一杯おしゃれして来たけどなんだか自分がものすごく場違いな所に来てしまった気がしたダウンエロい店じゃなくてホッとしたけどやっぱり私には無理な世界...

そんな私の気持ちとは裏腹にテキパキ説明していくピアスの男。「水商売初めて?見えないね」「...」お酒も飲めないし水割りの作り方すら知らないんですけどしょぼん

給料は時給の他に自分の指名客の売上が月に100万超えると10%バックだから頑張ってねとピアス男が淡々と説明。は?指名?何それ?てか月に自分の指名客が100万て何!?そんな世界なの?無理無理無理で~す!と席を立って帰りたくなったけどどんどん話は進めらる。
「源氏名どうする?この中から好きなの選んでいいよ」と言われ大量の名刺ケースを出された。まどか、まなみ、あみ、なぎさ...

源氏名のことなんてまったく考えてなかった。てか採用ですか?

「瑞樹(みずき)」 これが初めての源氏名になった。