今日は「ゲゲゲの謎」の安直な暴力描写について物申します。
〇安易な暴力
「ゲゲゲの謎」監督はやたら暴力描写を入れる傾向があります。
私の感想ですが、同監督のそれはアクションではなくただの暴力です。
5期映画「日本爆裂」で鬼太郎が鏡爺に一方的にやられるシーンも単なる暴行に見えて不快なだけでした。
このシーンも今見ると「ゲゲゲの謎」でゲゲ郎が僧侶たちに暴行されるシーンに似ています。
ただ不快なだけです。
〇個人的6期演出ワースト回「憎悪の連鎖 妖怪ほうこう」の回
監督のこの趣味嗜好とでもいうべきものが如実にあらわれているのが
6期第83話「憎悪の連鎖ほうこう」の回です。
この回のあらすじを簡単に説明しますと
①人気アーティストが心のよりどころにしていた故郷の大木の写真をSNSに上げる
②そのせいで大木に人が押し寄せDQNのたまり場になる
③迷惑した近隣住民の一人のおじさん、やむを得ず泣く泣く木を伐採
④木に住んでいた妖怪「ほうこう」が怒り狂う
⑤DQN騒ぎも木が伐採されたことも全然知らなかったアーティスト、現場にかけつけ木の切り株を見て絶望
⑥暴れるほうこうが出した炎が近隣に飛び火し町が炎上
⑦絶望で泣き伏せるアーティスト
だいたいこんな流れです。
私は、この話はまったくついていけませんでした。
私の中で6期ワースト回です。
ほうこうが妖怪として顕現できるなら木を切られる前にとっととDQNに祟ればいい。
最後に街を火の海にする理由がほんとうにわからない。
特にラストの街が大火に包まれるシーンは「ゲゲゲの謎」で村が燃えていくシーンに酷似しています。
別の日に後述しますが「ゲゲゲの謎」で村人が怨霊に襲われていくシーンも「はぁ?」と思いました。
この「ほうこう」回の脚本を担当したのは過去のアニメ鬼太郎などはもちろん、他のアニメや特撮ドラマで長年活躍している名うてのベテラン脚本家です。
なので、あんなすごい人がどうしてこんな雑な仕事を?どうもあの人の仕事にしては毛色が違うな…と、素人ながら生意気に感じました。
EDのラストで演出:「ゲゲゲの謎」監督の文字を見て(道理で…)と思いました。
監督はおそらく理不尽ホラーを描きたかったんでしょう。
特に途中、鬼太郎がほうこうに一方的に暴行されるシーン。
住処を失った怒りで暴れるほうこうに鬼太郎が「代わりに自分を」とサンドバック化を申し出て、ボコ殴りにされます。
ご覧になれば一目瞭然ですがこのリンチシーンが妙に長ったるい。
そもそもクールな6期鬼太郎とは思えない自己犠牲的な行動で違和感しかありませんでした。
5期「日本爆裂」の鏡爺暴行シーンや「ゲゲゲの謎」のゲゲ郎暴行シーンと同じ、安直なだけの単なるリンチです。
監督、嫌な女性だけじゃなく、メカクレリョナもお好きなんですか?
もしそういう性癖をお持ちなら後生だから別の仕事で発散してください。
私の勝手な勘でソースも何もないただの言いがかりですが、この安直で冗長なリンチシーンはもとの脚本には無かったんじゃないかと邪推しています。
もしかして、もとの脚本はぜんぜん違う話だったのではないでしょうか。
それを演出の「ゲゲゲの謎」監督に変えられてしまったのではないですか?
この回を担当したベテラン脚本家は重い話や鬱展開も得意な作家さんですが、ダークさを表現するのに安易な暴力やアダルト要素を出して横着するようなことは、私が知る限りありませんでした。
〇アクション
インド映画「RRR」のパクリと評判の裏鬼道との戦闘シーンですが、あの時
「あれ?作画がおかしくなった?」と思った人、いませんか?
なんか線がフニャフニャで変でしたよね?
どうもあの戦闘シーンを手掛けたのは監督いわく東映のベテランアニメーターだそうです。
嘘だろと思って調べたら本当でした。
あれはマニアが見たら「すごいアクション」になるようですが…
ごめんなさい、私のような素人には凄さが全然わかりませんでした。
私だけではありません。
あのシーンだけ作画が変だった、急に線がおかしくなった、外注でもしたのか?という感想の多い事。
もしかしてあれはああいう表現なのかもしれませんが一般視聴者にはわかりづらいだけでした。
そういう奇をてらった表現を入れるなら実験的アニメーションでやる方がいいんじゃないかと思います。
そもそもストーリー上、アクションが必要な話とは思いませんでした。
オカルトバトルなのに呪詛やお札ではなく暴力だけ。
最初にゲゲ郎が島に行った時も、なんかぴょんぴょん飛び回ってるだけで何してんだろ?と思いました。
子供だましの戦闘シーンを入れるより、ちゃんとしたドラマを見せてほしかったです。
〇ぜんぶ力づく
けっきょく「ゲゲゲの謎」って何もかもが力づくです。
ミステリ?
推理なんか一度もしてません。
頭なんかぜんぜん使ってません。
使ったのは暴力だけ。
最後だってラスボスステージで特定のコマンド発動で都合よく出現した
ちゃんちゃんこという最終アイテムでパワーアップして倒しただけ。
あえて本編ではストーリーを語らないタイプの、ただひたすら敵を倒していくだけのゲームならそれもいいでしょう。
しかしドラマで見せる映画でやる事じゃない。
私も最近の作品はあまり詳しくないんですが、昨今のバトルものだってここまで安直じゃないと思います。
若い頃の目玉親父ってどんなかっこいい活躍をしたんだろう、とワクワクしながら初日朝イチで劇場に足を運んだのに、妖怪がたかが人間に一方的にやられて暴行される様を見せられるとは思いませんでした。
無双したのはバトルの最初だけであれでは完全にかませ犬です。
しかもお経やお札でやられるならまだしも棒でタコ殴りとは芸がない。
「ゲゲゲの謎」制作陣は、水木先生の作品を、自分達のオリキャラつよいぞごっこのやられ役になってくれるパパかおじいちゃんだと思っておられるのでしょうか。
「ぼくちんのわたしのかんがえたオリキャラ超TUEEEEE」がしたいならオリジナルでやってください。
それと何度も言いますが、バトルならオカルトバトルを見たかったです。