〇はじめに

たとえばあなたが映像の仕事をしていたとして、ある有名な作品の過去エピソードの制作を請け負う事になったと考えてください。


その作品は日本人なら誰もが知る超有名作品で、主人公は誰もが知るヒーローです。


そんな主人公の誕生にまつわるエピソードを制作する事になりました。


非常に名誉ある仕事です。


さて、そんなとき。

 

あなたは原作に影も形もないオリジナルキャラを作り

オリキャラで主人公のルーツを上書きするでしょうか?


挑発的な書き出しになってしまい申し訳ありませんが

このブログで言いたいことはこれです。

 

 

私は子供の頃から先生の作品に慣れ親しんで育った1人のファンです。


水木先生にゆかりある境港にも家族で何度も足を運びました。


2023年に公開された「ゲゲゲの謎」も情報が公開されてからずっと

応援アプリで応援してきました。

 

公開初日、朝一で見に行きました。


なにせ「ゲゲゲの謎」はあの目玉親父の過去の物語です。


ゲゲゲ忌のイベントで、水木先生のご息女である現水木プロ社長が考えたお話と

おっしゃっていたと記憶しています。

 

先生のご家族が考えたお話なら絶対安心できるはずです。

 

非常に期待していました。

 

 


実際に映画を見るまでは。



映画館から出たあと、すぐに応援アプリを削除しました。

 

食欲もわかなかったのですぐ帰宅しました。
 

あまりの失望で、冗談抜きで何日か寝込みました。
 

「ゲゲゲの謎」が原作のみならず、今までのアニメ鬼太郎を否定し

かつ踏みにじった、あんまりな内容だと感じたからです。
 


「ゲゲゲの謎」は私の生涯で一番見たことを後悔した映画でした。

 

抑えきれないほどの、本当に耐え難い不満に失望しました。


タイトルが「鬼太郎誕生」なのにも関わらず鬼太郎も妖怪もそっちのけで

作品のほとんどが知らない人達の犬神家ごっこばかり。


それでも我慢して見て最後に待っていた真相は、国民的ヒーローの鬼太郎の先祖が

その犬神家もどきに滅ぼされたというめちゃくちゃな後付け。


水木先生に対しても横溝先生に対しても、また半世紀ものあいだ妖怪と人間の

共存のために戦ってきた鬼太郎に対しても、あまりに失礼な後付けです。


こんなものを作者の死後に、しかも原作者のご息女が作るなんて本当に信じられませんでした。


「ゲゲゲの女房」や水木先生のエッセイでしっかりしたご家族の方々だと

思っていましたが、現水木プロには心底失望しました。


ここからは私がなぜそう感じたのか、お気持ち表明をしていきます。
読み返すと我ながら長くなってしまいましたが、

自分は文章のプロではないので許してください。

 


かなり批判的な内容なので「ゲゲゲの謎」を好意的に評価している方は読まない事をおすすめします。

 

 

 

〇こんな話は原作のどこにもない

 

まずゲゲゲの謎のエンディングロールの最後に「原作 水木しげる」と出ますが
原作はもちろん、今までのアニメ鬼太郎にもこんな話はまったくありません。


犬神家もどきの変な人たちは原作にもアニメにも影も形もありません。


同様に、幽霊族が薬にされていたなんて話もどこにもありませんし

幽霊族の血にそんな特殊効果もありません。


鬼道衆も原作に登場したのはただの1回きり、ただのチョイ役に過ぎません。


ましてやそれが幽霊族を滅ぼしたなんて設定はどこにもありません。


そんな設定があったら1~6期のアニメや原作はまったく違った話になっていたはずです。


もちろん、目玉親父の過去も同様です。


原作および今までのアニメに、ミイラになる前の目玉親父の過去の姿や昔の名前設定などは一切ありません。


そして言うまでもないことですが、水木先生は6期放送前に亡くなっておられます。


「ゲゲゲの謎」は作者の死後に勝手に後付けされた捏造です。


水木先生のご息女である現水木プロ社長が考えた話ならば信用できるという意見もあります。

 

私も映画を見る前はそう思っていました。

しかしいまの思いはこうです。

「子供は子供、親は親、別人だ」

 


「ゲゲゲの謎」スタッフは「水木青年が村に行けばアニメ6期の前日譚になり

行かなければ墓場鬼太郎の前日譚になる」などとあやふやな発言をしていますが

どちらもありえません。

 

 

公式応援アプリの話によると、アニメ6期は水木プロにある水木先生の著書が揃った部屋で多くのスタッフ達が何時間も話し合って1話1話を考えているそうです。

だからいつもあんなに多種多様な話が毎週放送できたのでしょう。

タノモシイ事です。

 

しかし「ゲゲゲの謎」は6期に何回か関わった程度のいわば末端スタッフが3人だけで考えた話だそうです。

この時点でお話になりません。


(最初は「私達スタッフが席を立つか立たないかでどっちのルートになるか決まる」とガチで意味不明な事を言っていました。)


〇ゲゲゲの謎と原作アニメ両方の矛盾点

 

「ゲゲゲの謎」の矛盾はたくさんありますが、大きな矛盾は3つあります。




 

〇「鬼太郎」という名前

これこそ最大の矛盾です。

 

本当に「ゲゲゲの謎」が前日譚ならば

一族唯一の生き残りである我が子の名付けに

一族を虐殺した怨敵の名前と同じ漢字を入れた事になってしまいます。


普通ならあの村で起きた事を連想させるような名付けは絶対避けます。

 

〇70年も村を放置

2番目の大きな矛盾です。

先祖が虐殺され、いまも怨霊となって苦しんでいる忌み地を

なぜ70年以上放置していたのでしょう?

 

6期第91話「アンコールワットの霧の夜」を見ればわかりますが
「ゲゲゲの謎」事件からたった10年後の1966年

(2018年の52年前なので単純計算して1966年)には
鬼太郎親子とねこ娘、ねずみ男メンバーは海外に招かれて悪霊事件の

依頼を受けています。


しかもその際に鬼太郎は、海外の何百年級の大怨霊から

「敵う相手ではない」と言われています。


6期鬼太郎が生まれたのがあの村から脱出した昭和31年(1956年)だとすれば

たった10年で息子がそこまでの猛者に成長した事になります。
 

6期では「アンコールワット」や「妖怪アパート」「泥田坊」「タイタンボウ」など
鬼太郎が何十年単位のアフターケアをしているシーンが丁寧に描かれています。


またそんな中でも鬼太郎はちょくちょく温泉に行ったり

時には恋愛ゲームを楽しんだり(?)していました。

 

国内の先祖の苦しみを70年以上放置する理由がありません。

 

「あれは時間をかけて村や怨霊を浄化していたんだ」という意見もあるようですが

浄化の基本は掃除です。
あんな瓦礫も遺留品もそのまま放置して浄化してましたは通りません。

 

妖怪側が何もせずとも実際にあんな事があれば国が村ごと焼き払っているはずです。

なにせ人間側にも多くの犠牲者を出した国家犯罪です。

情報漏洩の危険もありますし、死体も遺留品もそのままで70年も放置するわけがありません。

 

 

〇ポスト活動

 
 

「ゲゲゲの謎」が前日譚なら妖怪ポストを作るはずがありません。

1968年(昭和43年)には既に鬼太郎は妖怪ポストで有名人になっていたのです。

(※6期23話「妖怪アパート秘話」参照)

昭和30年にM生産工場が壊滅してから、たった13年しか経っていないのに

大規模な国家犯罪の生存者がおおっぴらに活動しているのはなんとも不自然です。

 

 

ねずみ男がこんな大きな恐喝のネタを放っておいたのもおかしいです。

6期で総理を脅迫する事すらあったのに。

 


原作では幽霊族は人類の繁栄で衰退に追いやられた事になっています。

しかし「ゲゲゲの謎」では明らかな悪意でごく一部の田舎DQNに民族浄化された事になっています。

 

あれが事実なら、鬼太郎は10年も実母を傷つけられ侮辱されたのです。

両親との時間を10年も奪われたのです。

あの死体の中には鬼太郎の祖父母もいたかもしれません。


ここまでの目に遭っては「人間みな悪人ばかりじゃない」では済まないでしょう。

 


鬼太郎親子が人間からされた事が、あまりに釣り合っていません。

これで人助け稼業などできるわけがありません。

 

 

「それは水木青年に愛されて育ったからだ!水木青年が人間愛を教えたのだ」と言うなら

それを映像と物語で見せてほしかったです。
あんなチープな入場特典だけで「あとは自由に空想してくださいね」は

手抜きが過ぎる。

 

 

本当にあんな事があったのなら、目玉親父は息子を連れて日本政府の手の届かない海外に逃亡しているはずです。

日本にいてはまた狙われる危険もあります。

 

しかしそれもせず日本に住み続けて何十年も有名人として人助け稼業をしているのですから、やはり「ゲゲゲの謎」が前日譚であるはずがありません。


ほか、細かい矛盾点を挙げます。



・M事業は国家プロジェクトなのになぜ幽霊族の繁殖を考えなかったのか?


長女の「夫婦なら子を作らせろ」という台詞はアホすぎて思わず劇場でため息が出ました。
こういうことをしていたらそういうことは普通真っ先に考えるもんです。
原材料を使い潰して残るは死にかけの女性一人。
予想外に妊婦でしたが、赤ん坊一人増えたぐらいでどうするのでしょうか?


そもそもMを作る上で幽霊族をここまで苦しめる意味がありません。
甘言でだまして一族を村に囲い、衣食住の見返りに定期的に献血でもさせれば済んだ話です。


自分達とそっくり同じ姿で言葉も通じる異種族を虐殺するのだって抵抗があるのに

物の怪を素材にして人の体内に入れる薬にするのは日本人のケガレ思想、メンタリティ的にも抵抗があります。

 

・赤いネクタイ


遺言状の場で水木青年がつけていた赤ネクタイ。


言うまでもなく、葬儀マナーで赤はレッドカード中のレッドカードです。


「あれは葬儀の場ではないから構わないんだ」

「葬儀の場において平服はマナー違反ではない」などの擁護がされていますが
住所を教えてすらいない知らない人が故人の死を悼む場に赤ネクタイ着用で来る方がホラーです。


仮にも霊や妖怪で名を売った水木プロの作品で葬儀の場で赤ネクタイとは

本当に情けないです。
ただでさえああいった田舎には多くの場合、独自の厳しいドレスコードがあるのが普通です。


擁護するファンがいるのはいいことです。


しかし、問題はファンが擁護しなければいけないような粗があることなんです。

 

 

・電線、アイスケース


どちらもあの時代の山奥の村にあるはずがないものです。

 

うちの70代の祖父母に
「最近見た漫画で、昭和30年ぐらいの山奥の山村に電線やアイスケースがあったり、遺言の場で赤ネクタイで来た描写があったんだけどどう思う?」
と聞いてみたら「ありえない」と笑われました。
嘘だと思うなら周囲の年配の方に、私と同じ質問をしてみてください。


一応、当時アイスケースは発明はされていたようです。
しかし都会ならともかく、田舎の山村に電線やアイスケースが普及していたかは疑問です。
「そこが一族の経済力を表しているんだ!」と言う意見もありますが

あの一族、村に貢献するような殊勝な人たちには見えませんでした。
そもそも、一族と村との関係が全然わかりません。


「電線などはあの村が異様だという描写だ」という意見もあります。
異様さを伝えるのであれば、村人の様子がおかしいとか、村人の家に謎の幽霊除けのまじないがあるとか、オカルト的な描写で見せてほしかったです。

バトルシーンもただの暴力じゃなくてお札や呪詛を使うなどオカルトバトルで見せてほしかったですね。

 

・アンプル


「ゲゲゲの謎」で出たガラス製のワンタッチアンプルは昭和30年代には存在していないこともSNSで指摘されています。
昭和の注射器アンプルは丸っこい浣腸みたいな形状です。

電線やアイスケース同様、不自然な描写です。



ほかにも


・M事業は国家犯罪なのに水木青年一行が脱出してからその後国や会社から何の沙汰もない。


・本物の妖怪であるゲゲ郎と僧侶達になぜサヨの悪霊が見えていなかったのか。


・ラスボスは地下でビー玉化したのになぜ冒頭で地上の実験室にいたのか。


・目玉親父の好物は公式設定で「さくらんぼ」。桜にあんな目に遭わされたのに?


・やせ型のゲゲ郎が一族の怨念を浴びて逆にガタイが良くなったのはなぜか。

 

・ラストで水木青年は白髪になっているが、6期1話に出た水木青年は白髪ではないし、目の傷も無い。

 

・枕返し回で砂かけ婆が「若い頃の親父殿はそりゃあ男前だった」と証言しているが
 この映画では「美形ではない」と設定資料集に書かれている。

 そもそもゲゲ郎が男前なら銭ゲバ家の次女が放っておかない。

(美形と男前は違うかもしれませんが見た目がいいという意味では同じだと思います。)

・「ゲゲゲの謎」では「鬼太郎は水木青年に愛されて育てられた」事になっているが
6期の初期の鬼太郎は「人間が何万人失踪しようとどうでもいい」とすら言っていた。
水木青年に愛を教えられて育ったなら初期でそんな状態なのはおかしい。

・アニメ雑誌のピンナップで鬼太郎親子と妖怪達が川下りしながら夜桜見物をしているイラストがある。あんなことがあれば水と桜の組み合わせなどトラウマになるはず。

・6期で名無し戦で落命した猫娘を生き返らせるために地獄に行ったとき、なぜ閻魔大王にトキヤ少年の魂の処遇を聞かなかったのか。トキヤ少年が地獄に堕ちた事はラスボスに聞いてわかりきっているはずなのに。


・流派が違うとはいえ、鬼道衆の子孫と敵対しても特に何もしないどころか助けて仲間になったこと。


※6期の「地獄の四将」編で目玉親父が鬼道衆の話をしたとき「彼らも時代の流れで滅んでいった」と話していましたが、それにはどこか寂しそうなニュアンスが入っていたように思います。流派が違うとはいえ一族の仇なのに。
恨みや復讐は別にしても一族を滅ぼした敵にする対応としてはおかしいでしょう。


・名無しやぬらりひょんなど、人間の悪意を利用していた6期の強敵達がなぜMやあんな怨念まみれの村を利用しなかったのか。
ぬらりひょんや吸血鬼エリートともあろう猛者たちがなぜMを放置していたのか。



など、多くの矛盾があります。

なお、これはネットで見つけた指摘ですが

『幽霊族が人間界で働いて社会に溶け込んで生きていけるならそもそも絶滅してない。』

これはなるほどと思いました。
たしかに人間界に溶け込み働いて生きて行けるなら

文化としてはともかく、種としての絶滅はありません。


 

〇墓場鬼太郎との矛盾

 

「ゲゲゲの謎」スタッフは「“ゲゲゲの謎”は“墓場鬼太郎”の前日譚でもある」と

調子に乗った発言をしてファンのひんしゅくをかいました。

 

「ゲゲゲの謎」スタッフが生まれる前に描かれた昭和の貸本の前日譚を騙るなど

身の程知らずもたいがいです。

 

こんな出過ぎた発言をするのでてっきりアニメ「墓場鬼太郎」に関わっていたスタッフなのかなと思ったら全然関わっていなくて呆れてしまいました。

 

さて「墓場鬼太郎」では鬼太郎の母は血液銀行に血を売って生計を立てていました。


「ゲゲゲの謎」が「墓場鬼太郎」の前日譚ならば、鬼太郎の母が10年も血を吸われ続けていたのにそのあとまた懲りずに血液銀行に血を売っていることになります。


そんなことをしたらせっかく逃げてきたのにまた実験動物として捕獲され、今度こそ我が子を奪われてしまいます。


また、あんな目に遭ったなら鬼太郎は「人間て面白い生き物ですね」と言えるのでしょうか?
 

結論として「ゲゲゲの謎」は6期とも墓場鬼太郎とも、あまりにも辻褄が合わないのです。

 

〇パクリのネタ元


「ゲゲゲの謎」はあの作品をパクったのではないか?という指摘が

多く挙げられています。
もちろん、モチーフなど過去の作品をリスペクトした演出もあるのは

承知しています。
ただあまりにも似過ぎているもの、リスペクトを感じないものも多い作品だったので、気が付いたもの、SNSで見かけたものを紹介します。

 

・「犬神家の一族」

もしかして、本当は犬神家の一族50周年企画だったのか?と感じるほどそのまんま「犬神家の一族」です。

一族の家族構成や湖が見える旅館、ボート、遺言状のシーンなどそっくりです。


「犬神家の一族」はミステリであるとともに子を思う親の深い愛を描いた名作でもあります。
あの有名なBGMのタイトルが「愛のバラード」なことを思えば一目瞭然です。
そんな犬神家を安易な変態銭ゲバ家にするのは横溝先生への冒涜でもあります。


特に「犬神家の一族」を原作、映画、両方見た身として一番憤慨しているのが

「ゲゲゲの謎」の長女のキャラクターです。

あの安易な毒親化には怒りしかありません。


ラスボスのモデルが犬神佐兵衛翁、サヨが野々村珠代嬢なら佐兵衛翁が珠代嬢に手を出す訳がありません。
犬神家に対しても、失礼です。

 

・「君の名は」

水木作品で組紐なんて自分が知る限り一度も見た事なかったので違和感がありました。
祠といい、おそらく元ネタは「君の名は」でしょうか。
過去のエピソードとして構成するなら本編とリンクしたような小物をキーアイテムにしてほしかったです。

 


・名探偵コナン「旗本家の一族」


鬼太郎の作者である水木先生と同じく鳥取県が誇る国民的人気作品

「名探偵コナン」
名探偵コナンにも「犬神家の一族」をオマージュした「旗本家の一族」というエピソードがあります。

資産家の旗本家の旗本一郎は親戚の旗本夏江に思いを寄せており

いつもスケッチブックに彼女の絵を描いています。

 

鬼太郎母の絵を描いていた次男の元ネタは旗本一郎でしょうか。

なにせ原作犬神家には絵を描くキャラクターなんて一切出てこないので

間違いなくコナンのオリジナルです。

 

そして旗本一郎のスケッチが事件解決のきっかけになったこともそっくりです。

ネクストコナンズヒントがスケッチブックでした。

 

もちろん、こっちの話の方が「ゲゲゲの謎」なんかよりずーーっと前です。

よりによって5期で鬼太郎を演じられた高山みなみさんのコナンからパクるとは情けなくてなりません。

 

 

・「ニンジャシャーク」

ニンジャシャークは不老不死の秘薬が採れる漁村をモンスターを操る邪教集団が占領する話です。


邪教集団の頭目の老人が妖術で若者の体を乗っ取って若返ったり、またヒロインの名がサヨで村では忌み嫌われ男達の慰み者になっていたり共通項が多く見られます。

 

・「RRR」

アクションの見事さで話題になったインド映画。
戦闘シーンで手すりを折る描写がそっくりとの指摘あり。

 

・「Fate/stay night  ~Heaven's Feel」

 

ラスボスの老人が子供の姿になるなど酷似点が多いとの指摘あり。


またヒロインの名前が“桜”で髪型やしとやかな性格に加え

幼少期から虐待(性的含む)され続けているなどサヨとの共通点が多いです。


元は成人向ゲームなのでヒロインの桜は男性の精気を吸っていましたが、PS2版や劇場版では彼女は人間の血を吸う設定に変えられています。

血を吸う桜の元ネタはそのままヒロインの桜でしょうか。
血を吸う桜自体はよくある演出です。

ネタを他所から引っ張ったような表現が多いせいで、元ネタとパクリのように見えてしまいます。


それにしても「(血)」に「」る「(桜)」が鬼太郎の先祖をいじめるとはどういう意図でしょうか。

正直、悪意しか感じません。

 

そもそもあの幽霊族の血を吸っても何ともない恐るべき桜は

いったい何の特級呪物だったんでしょう。

狂骨よりそっちの方が気になりますが説明がないので

たぶん何も考えてないんでしょうね。

雑すぎます。

 


他にも「エルフェンリート」「バイオハザードヴィレッジ」に似ているという指摘もありますが

こちらはパクリと言うより世界観を真似た感じに見えました。


どのみち水木作品に無関係な話ばっかりで一体誰の、何の為の作品なのかわかりません。

これは水木先生生誕100周年記念作品ではないのですか?


1~6期本編は原作や今までのアニメシリーズ、また鬼太郎以外の水木先生の短編や水木先生に関する小ネタ等が元ネタになっている話も多くあり、原作ファンとしてとても楽しめました。

 

しかしこの映画は「あ、これは水木原作のあのエピソードが元になっているな」とニヤリとするような要素は、下敷きになっている血液銀行の話を除いて一切ありませんでした。

 

 

〇楽しく怪しい作品に戻ってほしい

 

私だけでなく、昔からの水木ファンが危惧していることがあります。


それは「ゲゲゲの謎」が既成事実となり、これからの作品の軸となってしまうことです。


もう、あの茶碗風呂のお茶目で博識で家族思いな目玉親父には、会えないのでしょうか。


今後の鬼太郎は全て後出しジャンケン「ゲゲゲの謎」が基本になっていってしまうのでしょうか。


あんなに長い間、死者の魂や妖怪に真摯に向き合ってきた水木御大の魂が

生誕100周年という記念すべき年にこんな形で踏みにじられるとは思ってもみませんでした。


6期世代の子供達や今後鬼太郎ファンになる子供達はこの映画を信じて


「鬼太郎の先祖って、子供にいやらしい事をしていた人間の一家に滅ぼされて薬の材料にされてたんだって」

 

 「目玉親父は奥さんが10年も行方不明なのに、呑気に知らない人と酒盛りしたり

のんびりお風呂入ったりしてたんだって」

 


「それなのに、鬼太郎とお母さんは敵に捕まって10年も苦しんでたんだって」

 


と、思っていくのでしょうか…

 

私が何より怖いのは子供達が

「ゲゲゲの謎って水木先生が考えた話なんだ」と誤解してしまう事です。


何度も何度も言いますが原作にも今までのアニメにもこんな話は一切ありません。
関係ない人たちが勝手に考えた後出しジャンケンです。


私は「ゲゲゲの謎」の内容とスタッフさんたちの発言からは

水木先生へのリスペクトは一切感じませんでした。
有名作品をオリキャラの踏み台にして名を売るぞ!金儲けするぞ!

という気持ちしか伝わってきませんでした。


「国民的ヒーローの先祖を自分のオリキャラが叩きのめした事にしよう!」

「うぇーい俺のオリキャラ超つえー鬼太郎の先祖よりつえー」
こんな恥知らずな後付け、前代未聞です。



アニメ6期の終盤で描かれた、妖怪と人間が憎み合い鬼太郎が殺される鬱展開は

現水木プロ社長が脚本協力していると聞きました。


どこまで脚本協力されたかはわかりませんが「ゲゲゲの謎」といい

現水木プロは本当は鬼太郎が嫌いとしか見えません。


現水木プロ社長は「次の100年に繋げる」と仰いましたが

これでどうやって次に繋ぐというのでしょうか。


また「ゲゲゲの謎」のような愚行を繰り返すなら

いっそどこか別の真っ当な会社に作品の権利を売却してほしいです。

 

 


少子化の時代、子供向けは難しいのはわかります。
それでも家族や、かつて子供だった妖怪ファン達で楽しく見られて

そんな人たちで水木ロードや境港、調布を楽しめる作品に戻ってくれることを願ってやみません。

 


1ファンとして「ゲゲゲの鬼太郎」と言う作品がもとの楽しく怪しい作品に戻り

また鬼太郎以外の水木先生の珠玉の作品が

もっともっと多くの人達に読まれる事を切に願っています。