先日の金曜日夕6時からの講演会は愛すべき叔母の葬儀のあった日で、私は盛岡から帰宅後、アレン教会へ。
    2011.3.11あの日私は小学校の支援員をしており、その日は普段の日とは違い少し早く仕事が終わって、スーパーの駐車場に着き、ATMでお金を1万か2万引き出してさて給油してこようか、買い物してこようか、考えていた。
   
   アレン教会の記念講演会は福島第一原発
から2キロという近さにある福島第一聖書バプテスト教会の牧師をしていた佐藤牧師によるもので、震災後何を思い考え感じたか、神が与えてくれた全容だった。奇しくもあの日は佐藤牧師の誕生日と重なってしまった。

   ゆっくり車の中で考えていた時だった。突然、目の前の駐車場に並ぶ車の揺れる場面と同様に自分も揺れていた。揺れはこれまで感じたことのない悪い予感を伴っていたが、取り急ぎガソリンを給油しなければまずいだろうと思い、いつもの駅前のスタンドへ向かった。今考えれば、スーパーにすぐ近いスタンドに行くべきだった。
駅前のスタンドは電気が切れ、給油できない状態だった。もはやスーパーに近いスタンドでも無理だったかも知れない。
国道を戻り家路を急ぐ。誰もいない。車の1台も走っていなかった。いつもの地震ならすぐに通行止めの赤いコーンが立っている場所には何もなく、異様だった。

    その地震は福島で震度7、1000年前の貞観地震の再来となった。福島第一聖書バプテスト教会の信者さんたちは、他の福島県民同様に流浪の民となった。最後に辿り着いた避難所は奥多摩のドイツ人牧師の経営していたキャンプ場だった。最初避難所となっていた体育館には食糧がなく1家族に食パン1枚が一日の割り当てだった。この日本でそんな状況が生まれることなど誰が想像しただろう。初めの避難先では、放射能が来たと言わんばかりの差別を受けることになる。国の命令で避難してきたと避難先の役所に行っても、何も聞いていないからと、何しに来たのか、金が欲しくて来たのかと言われる無情さだった。最後の避難所となった奥多摩のドイツ人牧師はすぐに帰国するよう勧告を受けていたが、帰る気持ちになどならず、出来るだけ被災者を助けたいと考えていた。その気持ちが佐藤牧師率いる50名の信者さんたちを救ってくれた。

      私は震災後、10日程お風呂に入れなかった。久々にお湯に浸かったときは本当に有難かった。全てが当たり前ではないことを身に沁みて感じた。震災はそういう意味を全ての一人一人に与えるものだった。

      奥多摩の避難所生活から 、今年やっと福島県いわき市まで帰ってこれた。本当の故郷の双葉郡大熊町にはまだ許可を貰わないと入れず、入ったら罰金を取られるという現実なのだ。そのような惨状だというのに、何故みんな平和そうにしているのだろうか。原発事故はまだ渦中にある。そんな思いに苦しむ若者もいる。

     震災後TVが見られるようになっても暫くは涙が消えなかった。段々苦しくなって鬱になりそうだった。そんな時、お笑いをみて少し肩の力が抜けて、悲しんでばかりもいられないと思った。不謹慎かも知れないが、ふっと別世界に行くことで、心のバランスが保たれた。でもそれは、本当に被災して親しい方や家を亡くしたときは、どうなのだろう?想像しただけで辛いし怖いとおもう。だから特別な被害の無かった自分たちは何か出来ることをしなくちゃと思った。そして、高校時代の恩師熊さんに再会することになった。

    牧師夫人のデジャヴはそんな避難所生活が続いて暫く経ってからだった。急に世界は白黒になってしまったのだ。「あなた、世界から色が消えてしまいました。でも、結婚する前にもこれと同じ夢をみたことがあります。」ついに妻も限界がきたと
佐藤牧師は感じた。それにしても、そんな予知夢をみながらも、何も言わず結婚してついて来てくれたのだと改めて感謝で胸がいっぱいになった。当たり前ではないことをひとつひとつ確認して有難いとわかるように導かれた。だから、全て失い神に嫌われたと沢山の人達が思ったが、実はそうではなくて、大切な家族の絆を誰もが一番感じることになった。それは私達が忘れかけていた一番大切なものだった。それを神がもう一度思い出させて下さった。失いかけた大切なものを新たに得させて頂いたのだ。それは心であるということ。そして人類はそのような大切なものを無惨にも破壊することすら平気で利便性を選択している。そんな風に私の心には響いてきた。

    津波で泥だらけになった熊さん宅にボランティアで行くことになった。学校は春休みだから、都合がついたのだ。

   けれど人は、あたまでわかっていても心身でわかっていないことがある。原発は嫌だが、充分な灯りの元でハイテク機器の電気も充分使用して生活したい。今までそうやってきたのだから、変えることは出来ないと言う。その性能如何では替えることができるなら、はやく開発して欲しいな…