日曜に孫の相手をするのはじじの役目になった。近くに住んでいた母親が突然青森に戻されたので、また前のように誰かが面倒を見ないといけなくなる。息子は仕事で休みのない週もある。母親のところにいた孫娘の下がまたわが家に戻ってきて、五人の生活がまた再開する。

 五歳になったばかりの孫は連れてゆくところはいっぱいあるが、なにせ、毎日の猛暑日で、外に出るのも勇気がいるくらいだ。

 八月最後の日曜日。保育園は夏休みもなく、土日だけが休みなので、土曜日はパパが相手をしていて、日曜はわたしが見ることになった。いままではママのところに夜は寝るに連れて行ったり、日曜も見てくれていたが、それができなくなるとまた片親の生活なので、わたしの出番になる。

 さて、どこに行こうかと、孫がまだ行ったことのない小田原は電車で近いから、そこなら買い物がてら行けると、バスで駅までそこから東海道線で五つ目の小田原まで出かける。わたしの暇つぶしと気分転換にもなる。

 

 小田原ではミナカという駅の隣の江戸風の飲食店の並ぶテラスに入る。外は35度の猛暑続きで、とても歩いてうろうろとはできない。エレベーターで屋上にある展望足湯に連れてゆく。それは孫は気に入ったとみえ、人でいっぱいだが、空いているスペースに座って二人仲良く足湯。そのためのタオルも持ってきていた。城は近くに見えている。真鶴岬と伊豆半島も見えるが、大島は見えない。雲もかかっている。富士山は見えないで箱根だけが見えている。

 

 そこから歩いてすぐの小田原城に行く。その手前で、孫はバテて、もう暑くて歩けないと泣く。大人でもそう思うくらい、とても散歩というものではない。城は資料館になっていて、涼みに入る。ビデオなどで歴史を見てもまだ早い。全然興味はないようだ。侍にしても忍者にしても好きではないと言う。そうか、小学生にならないと無理か。

 

 本丸公園でアイスを食べる。暑いから冷たいものしか口に入れたくない。鳩が集まってきて、その相手をしていたら孫のアイスが溶けて、それ、早く舐めて、落ちているだろうと、気になる。Tシャツもアイスでだらだら。まだどこか赤ちゃんで、暑いと泣く、疲れたら抱っこだ。

 城の裏にちぴっこ遊園地があるが、電車などいまは走らせていないようだ。バッテリーカーはやっていたので乗せたら、五歳児は早いのか、あちこちぶつかる。係員が、わたしについて歩いてと言っていた。二人乗りはないのだ。それしか乗り物がなく、孫はもっと遊びたいと泣く。暑いので外で子供を遊ばせない。せいぜいがプールや海なのだ。

 

 二宮尊徳の神社を抜けて蓮の花咲くお濠に出る。そこのベンチで休憩。休み休み歩かないと孫はすっかりと憔悴しきった様子。どうしてこんなに歩かせるのと怒る。自転車ならいいのにと。自転車で平塚から小田原まで来るともっと大変だよと言うと、また泣く。

 腹が減った、喉が渇いた、暑くてもう歩けないと、座り込む。騙し騙し、もうすぐだからと、ようやく商店街に入り、ラーメン屋を見つける。ラーメンが好きなのでいつもそればかり。わたしは冷やし中華にしたが、不味い。テーブルに置いていた氷水ばかり何杯も飲んで、空にしてお替り。水分補給は半端ない。汗で顔もだらだら。ようやく汗が引く。

 動画と写真をいっぱい撮ったので、いとこたちと息子にLINEで送信する。どこかに行けば必ず玩具を買ってもらえるものと思っている。小さいものならいいだろうと、近くのドンキーで買い物して、ガシャポンをやらせる。あんな小さなプラの玩具で何百円と儲かるだろう。

 

 帰りの電車とバスでは孫は疲れて寝ていた。秋になれば、郊外もいいだろう。残暑もあるうちはどこにも連れてゆけない。明日からは台風10号も近づく。ママチャリでは嵐のときは保育園の送迎はできないだろう。どうするのかと、猛暑も大雨も送り迎えとどこに行くにも車はいるなと思うのだ。