なんとなく、オリンピックもやっているのかというくらいで、今年は盛り上がらないのはどうしたわけか。開会式もテレビでは見なかった。きっと閉会式も見ないのだろう。世紀の祭典ではないのか。みんなそれどころではないほど意気消沈していて、お祭り騒ぎではない人も多いとか。

 前の東京オリンピックがコロナで肩透かしをくい、一年延期になり、無観客とか不正もあって、オリンピックのイメージが悪くなる。それに群がる欲たかりばかりで、神聖なスポーツの大会が食い物にされた。どこの国でもそうだろう。それもあってか、なんとなくオリンピックは純粋に見られなくなる。ネットには、オリンピックの開催国に手を上げる国が少なくなったのだとか。それは膨大な金がかかる。不正でもしなければうまみがない。オリンピックはビジネスとしてはそんなに国の利益にはならなくなる。近い将来は簡素化した開催はするが、次第に派手さはなくなり、地味になるかもしれない。それより候補がなければ中止になるとか。

 

 三年前の東京オリンピックはわたしはずっとテレビで見ていた。それはちょうど宮古島にダイビングに行ったときだった。台風で飛行機が飛ばないで東京に帰れなくなる。その台風も宮古島辺りに留まって動かない。風速60mの暴風でホテルに缶詰になる。すぐ近くにスーパーはあったが、コンビニもどこも食料の買いだめで、棚はがらん。物資搬送の船も飛行機もストップしたまま四日間は部屋から出られないでいた。それでテレビで仕方なくオリンピックばかり見ていた。というわけで、あのときはテレビ番組の画面の脇に台風の進路と現在位置が常時映されて、被害と交通の情報も出ていたのでテレビが唯一の情報源だった。たまたま停電もしないエリアで助かった。その前に滞在していた来間島のホテルは橋が封鎖でもう島から本島に行けず、停電中と宿のおやじさんからメールが来ていた。本島に逃げてきてよかった。

 

 そんなことでないとオリンピックも見ない。わたしはスポーツ音痴で、見るのはあまり好まない。自分でやるのはいいが、応援するのがはらはらドキドキで精神的によくないのだ。野球も、サッカーも観ない。相撲も観ないし、新聞のスポーツ欄は飛ばす。目も通さないし、結果も興味がない。

 世の中にはわたしのようなスポーツ嫌いもいるだろうし、うちの両親は相撲だけは見ていたが、他の競技は全然見なかった。第一ルールを知らない。わたしもそうで、プロ野球の選手と監督の名前も知らない。近くに湘南ベルマーレのサッカースタジアムがあり、声援まで聴こえてくるが、一度も見たことがない。サポーターたちは土曜日の試合には、こぞって同じ青とグリーンの同じユニホームを着て詰めかける。そういう熱中する人は健全なのだ。ストレス発散ができて羨ましいとは思う。

 

 オリンピックでは、国別のメダル獲得数が新聞には出ているが、わたしはどうでもいいと見ない。それは人口50万人の小さな国では上位には来ないし、かといってインドのような世界一の人口を誇っても、スポーツは振興していないのか、上位にも来ないから、あまり人口とは関係はなさそうだが、毎度、中国とアメリカは上位争い。今回はロシアが入らないから、戦争という国際紛争もオリンピックには陰を落とす。政治的な駆け引きにも使われて、オリンピック精神とはなんぞやと思う。

 テロもあって、いつもながら、そういう警戒はしていても悲惨なことが起こる。閉会式まで何もなければいいがと願う。テロリストは世界が注目する舞台で起こすことが狙いなのだ。

 

 次第にオリンピックだけでなく、スポーツ熱は冷めてくるような気がする。スポーツ人口そのものが減少していて、運動する人が減っている。わが太極拳も以前と比べたら半減したと嘆いている。部活も減り、子供らが運動をしなくなり、子供ロコモが増えていて、このままでは老人だけでなく若者たちも機能障害になると危ぶまれている。

 生活にゆとりがあれば、娯楽としてのスポーツも楽しいだろうが、困窮する人が増えてくると、それはどこの世界のことと、競技を応援する気分もなくなる。勝った負けたとどうでもいい。スポーツ人口が減って一部の人のものになると、オリンピックは赤字で美味しくなくなる。開催国に手を挙げなくなるのは札幌の冬がそうであったように、万博も揺らいで、大阪はいまは後悔しているだろう。やらなきゃよかったと。税金の無駄遣いから、賄賂とまた逮捕者が出てくるかもしれない。

 息子は言う。万博もオリンピックももういらないのではないのか。スポーツは種目別に世界大会もあるし、それでいいのじゃないのか。これから世界の平和を願ってのオリンピックはどうなるのだろうか。スポーツそのものがどうなってゆくのか、汚れた世界になると問題ばかりで、スポーツマン精神も問われる。

 最近はテレビはあまり見ないが、NHKも朝から晩までオリンピックだから、すぐに消してしまう。テレビがつまらないから、本でも読もうと、読書量は夏でも増えている。