孫のお守りを一日頼まれることがある。両親共に仕事で手が離せない。四歳児が傍にいると邪魔で仕方がない。そんなときは、じじの出番なのだ。子供が好きだから、よく遊んでやるし、なついている。孫たちは小さいうちはじじ人気がすごかった。遊んでやるから、べったりだ。四歳児も、友達のように、ママのところに行くに姉が迎えにくると、また遊ぼぼうなとバイバイする。

 遊び方も男の子だから、少し乱暴でいい。枕投げをしたり、布団で埋める。ロボットの合体もやる。お話もするが、タブレットでスボンジボブを見たり、トムとジュリーを見たり、本当は怖いミッキーマウスを見たりする。都市伝説が好きなのはわたしもだ。

 

 一日どうするかと、土曜日に預けられる。まずは、自転車で海に行こうか。まだ泳げないが、ワンタッチテントも籠に積んで、浜辺でやる砂遊びセットも持った。百円ショップで売っている。途中のスーパーで弁当も買い、おやつとドリンクも買う。ここのところは毎日が梅雨入り前だが、関東は各地で猛暑日。平塚も真夏日と暑い。わたしはズボンの下に海水パンツを穿いていた。平塚の砂丘までは自転車で20分もかからない。途中に、南図書館があるが、その筋向いに、土日になるとガレージセールのようにどうぞご自由にお持ち帰りくださいと、普通の民家の前に衣服や本やなんだかんだと並べている。わたしもよくそこは覗く。本はあまりない。風車の手作りしたのがいくつもあってくるくると廻ると綺麗だ。それをおばさんたちが群がっていたが、孫によこした。いいのもらったねと、みんな無料なので、いつも何をしている家なのかと思う。きっと廃品回収をなりわいにしていて、処分するのが勿体ないのを軒先に並べて差し上げているのだろう。

 

 海は風が強い。ベンチがあり、そこでまずは弁当を広げる。寿司を買ったが、卵しか食べないと、みんなわたしに来た。あとはおやつばかり。それから砂遊びだ。いろんな型に入れて砂浜の上に並べる。石とか貝殻とかも拾わせた。波打ち際で遊ぶが、二人して上も脱いで裸足になり、ズボンを膝までまくりあげ、波と鬼ごっこだと、怖がる孫の手を繋いで、それっとジャンプ。波が来るたびにジャンプするのが面白い。その光景をスマホのビデオと写真に撮って、パパのLINEに送ってやる。普段はあまりこうした自然と遊ばない孫は夢中で遊ぶ。

 足が砂だらけになったのが気持ち悪いと騒ぐので、草の上に移動して拭いてやる。海で泳がせるのはもう少し先か。

 

 そこから通りがかりの公園で、ぶらんこに乗せたり、シーソーをしたりと遊ぶ。蝶々や虫も出てくるが、網がないから、それはまたこの次。百円ショップでいろいろと売っている孫の遊ぶ道具を買った。近くの川に連れて行って、小魚をすくおうと。それもまたこの次だな。釣りも教えたい。まだしたことのないことがいっぱいある。湘南は砂浜ばかりだから、岩場がない。それは自転車ではゆけないので、パパの車で真鶴まで行ったりしたとき、磯遊びをさせよう。本物のいそぎんちゃくや生きている貝や蟹などを見せたい。

 

 孫のリクスエトで、博物館に行きたいというから、前に連れて行った平塚市博物館に行ったら、工事でお休み。残念。それで向かいの図書館に行く。児童書の一階のコーナーで、靴を脱いで上がり、絵本の読み聞かせ。図鑑など喜ぶ。動物とか宇宙とか不思議なものは好きなのだ。

 何か食べようと、スーパーのイートインにも連れてゆく。わたしがいつも本を読みに寄るところで、アイスを食べさせ、チーズハンバーガーが好きなので、食べさせる。孫とは初めて入る。八百屋も隣で安いので、レタス三個で百円、みず菜三束で百円など買う。そこは安いとわたしのお気に入りなのだ。三つ葉が10束の箱入りでたったの百円はさすが買わなかった。余す。それと前の籠はもういっぱいで入らない。

 

 総合公園も通りかかったので、動物園に行こうかと、寄ってゆく。無料の動物園で、前に何度か連れてきた。カピパラが前に来たときは放浪のカッピーが死んだ後で、孫はそれを知っていた。花が捧げられていたときに来た。いま、新しいカピパラが一頭入った。小さなウサギやモルモット、鶏などと触れあえるコーナーもあり、それは人数制限があるとかで、整理券をもらう。一時間待ちなので、滑り台やジャングルジムなどがある遊園地で遊ばせた。時間になり、そのコーナーに戻るが、整理券は子供と親の分も取らないと入れないと言われて、がっかり。孫は泣く。ちゃんと教えてくれたらよかったのに。また今度だね。家から歩いてもこれるところで近いから、いつでもまた動物たちと触れ合えるさ。

 

 そうして夕方、孫とゆうゆうと帰ってくる。別にお守りも苦ではない。買い物したり、食べたり、遊んだりするのはじじの暇つぶしでもある。両親には言ってある。日曜が忙しかったら、孫を連れてどこかに出かけるからと。今度は電車で遠くに連れてゆこう。プール開きは七月だが、あちこちにあるから、そこで泳ぎも教えたい。孫はもうすぐ五歳になる。

 子供は夏に成長するのは植物と同じだ。ひと夏ごとに大きくなる。思えば、わたしも祖父によく連れられた。幼稚園のときまで、あちこちに連れて行ってもらい、祖父べったりであった。いま、同じことをしている。わたしが五歳のときは祖父は七十であった。同じ年恰好になり、同じ孫の相手をしている自分がいた。家の歴史は繰り返す。

 孫はよほど面白かったのか、家でも何日かしても、楽しかったとそればかり話していた。