出生率の低下と世界で騒ぐ。日本だけではなく、優等生であったフランスも低下して、中国と韓国も低下が激しい。日本以下になった国が続出する。そんな耳タコの話は聴きたくないと、背ける人もいるくらい、毎日どこかで書かれている。先日の新聞でも、日本の県別の出生率がランク付けされていた。それによれば、日本列島は完全に南高北低傾向が歴然としている。

 不景気で大変なのに、沖縄が出生率がトップの1.6。以下九州勢が続き、長崎、鹿児島、宮崎、熊本とベストテン入りだ。東京もついに0.99と1を割った。次に低いのが北海道で1.06と、東北も低い推移だが、それより驚くのが関東だ。東京が最低と信じられなかったが、その傾向が関東各県にもある。どうしてなのかと考えてみたら、暮らしにくいということだろうか。首都の家賃が最近はまた高騰していて、物価も上がるが、ガソリン代も光熱費となんでも上がると、子供なんか作れないとなる。そんな余裕もない。首都圏がその意味では生活費がかかるランクの上位なので、その分、子育てが大変だと生まないようにする。田舎は逆に、じじばばと同居か近くにいると、子育てはしやすい。家賃も安いし物価もまだ安い。だけど、不景気ではどうにもならない。まして人口減少が東北はベストテンに五県も入り、地方消滅と叫ばれるところだ。生鮮食品と家賃が安くても、光熱費と被服費、教育費は変わらないだろう。

 九州が暮らしやすいとも思われないが、沖縄など、所得も低く、失業率など、いい数字がないのに、貧乏人の子だくさんと言えば怒られるが、まだ雪国の青森よりは子育てにいいのか。豪雪の東北よりは冬の暖房費がかからないから、その分、生活費は抑えられる。一年中温暖だというのはいい。

 

 息子一家が平塚に越してきて、青森とは違うのが、医療費が中学まで無料ということだった。それと保育料が片親ということもあり、無料になっていた。そのほか、水道料も補助して、福祉が手厚い。それは子育てには助かる。ただ、待機児童もあって、そういう保育園が少なく誰でも入れないところは地方と比べたら悪いところだ。

 わたしも都心で暮らしていて、それから千葉と神奈川に引っ越してきたが、それは年金暮らしでは家賃が安いほうがいいだろうと、老後の安定生活のために移ってきた。東京に次いで全国二位の神奈川県だが、赤字財政の地方よりは裕福なのだろう。青森ではどうか分からないが、いま平塚では、70歳過ぎた老人は医療費負担が、どんなにかかっても月に18000円が上限だ。それで入院してもかからないから、わたしは高額医療制度もあるから、生命保険はいらないと、掛けていない。保険屋さんからセールスの電話が来て、話したのだが、生保の意味がないと言ったら、通院の交通費も出るとか、個室の差額ベッドも出るのがあるとか、そういうことを言う。うちの隣が大病院で、歩いて1分だからタクシーなんかいらないと、それから相部屋でいいと、入院してもいつもそうだ。それでは生保はいらないとなる。300万円近くかかった手術と入院も二回したが、払った費用は全部で7万円だった。医療補助などのほかに老人のため子育てのための補助は自治体によって違うだろうが、神奈川は息子にとっては引っ越してきてよかったと言う。

 

 それと、家賃だが、青森のみんなは高いだろうと言うが、青森と変わらないか、逆に安い。都心で暮らしていたときは目黒区とか千代田区の番町という一等地であったので、古いワンルームマンションに二人で暮らしていたが、一番安いところを探したがそれでも8万円だった。それが千葉の稲毛に越したときは、同じ広さで駅まで歩いて10分のマンションが39000円の家賃だったし、平塚ではワンルームマンションで29000円とさらに安くなる。息子たちと同居するからと、いま住んでいる平塚駅まで自転車では15分、バスでは10分の3LDKのマンションだが、綺麗な部屋と建物で、55000円で借りている。最初は親子五人で暮らしていた。小学校は向かいだし、中学も歩いて10分くらいか。

 青森では、メゾネットタイプのアパートに息子夫婦が最初は暮らしていたが、青森市の南の郊外で家賃は65000円だった。2DKぐらいであったか。住みやすさでは平塚が上だ。息子も暮らしていて、買い物便利と物価の安さには満足していた。

 都心で暮らしていたときは、さすがスーパーでも高く、わたしらは休みのたびに、電車で埼玉の川口や川崎まで買い出しに行っていた。電車賃をかけても安かった。平塚も郊外は農業で、漁港もあるから、海産物と野菜果実は確かに安く、わたしも漬物から保存食を安くいっぱい来るから瓶詰にしたりしている。いつも行く八百屋では、先日は三つ葉が10束、ダンボール箱に入って、なんとたったの百円。おひたしにしてもいいが、食べるのはわたしだけだから量が多い。キャベツ二玉で百円は、買ってきたが、酢漬けのシュークルートにしたりごま油をぶっかけてバリバリと齧る。ネギは息子が好きだが、8本でついに百円。これも焼いて焼肉のたれにつけて食べよう。何か草食動物になったように、毎日毎日野菜のてんこもりでご飯抜き、それだけで腹いっぱいになる。と、台所事情は平塚でもそんなものだ。

 

 いま、子育て支援で、各自治体は、子育てしやすい町作りと、必死に若い人たちを呼び込もうとしている。わたしはそこで、書店がなくなるのを防ぐためのいろんな努力に似ているのではないのかと思うときがある。本が売れないのは、読まないからだ。だからいくら書店が入りやすいように工夫しても客は入らない。それと同じで、いくら子育てしやすい環境を作っても、シングルばかりではどうにもならない。まずは結婚させて子供をつくらせないといけない。結婚が先だろう。そのために、お見合いツアーをしたりと、合コンを市町村で企画するなど、そういう努力のほうが卵が先でいい。

 

 いま、孫のお守りもしていて思うのが、子育ては仕事をしながらでは大変だということを身を持って実感している。じじが傍にいるから助かると、息子の会社の女性社長も共稼ぎで経営しているが、わたしに家に来て子育てを手伝ってくれまいかと冗談で息子と話していた。それもいいなと、レンタルじじというのも悪くはない。これからの新しい仕事になりそうだ。じじばばが遠いと、身近にいるじじばばが子育て支援のベビーシッターもすると家事もやる。その社長は、託児所に一日8000円で預けているというから、それは大変だ。わたしならそれだけもらえたら、炊事洗濯掃除と子守もするがな。

 社会の仕組みもこれからは考えてゆかないといけない。出生率を上げるためには目先の小手先ではどうにもならない。