海水浴場は人が来ないで困っている。神奈川の三浦海岸も今年はどうやら閉鎖という記事が新聞に載っていた。わたしが若い時、東京のドンクというパン屋で働いていたときは、工場の若い人たちで、三浦海岸に泳ぎに来た写真がある。それから近年一度だけ来てみたが、真夏でもがらがらで、かつての賑わいがない。海の家も採算が取れないと、店を出さないというから、そういう昔からの海水浴場が閉めるのは寂しい。

 どうも、コロナのせいだけでなく、年々、海水浴客は減ってきていて、若者たちもアウトドア派が減って、インドアなのだろうか。女性たちは日焼け大敵と、海で紫外線を浴びるなどとんでもないと思っているのか。日焼け止めクリームもあるから、昔から、それを塗って防御したり、日傘を浜辺でさしていた。

 

 コロナでは四年前は海水浴禁止で、ちょうど単身千葉の稲毛海岸に近いところにそのころに引っ越したときは、海の傍で暮らしたいと思ったからで、コロナが蔓延するときであった。海までワンルームマンションから自転車で走れば10分。さあ、泳ぐぞと7月の暑い日から行ったら、遊泳禁止の立札。それでも別に法に触れることでもないから泳いだ。8月になると、監視員さんがいて、泳げませんと追い返される。マイクでも海に入れませんと注意されていた。別に、海のように広いところでコロナが感染することはないだろう。人口密度を考えたら、ぱらぱらで街中のほうが危ない。映画館も図書館もスーパー銭湯も閉鎖していたときだ。どこにも行けなかった。

 それから一年して今度は湘南平塚に引っ越してきた。コロナ二年目の年だった。今度はどうかと、海まで自転車で10分のビーチで泳ごうとしたら、監視員の人たちから、「何をしに来られましたか?」と質問された。遊泳禁止の赤い旗が立てられて、マイクでも呼びかけていたので、「日光浴で寝そべりに来ました」と、シートを敷いて日焼けすることにした。ビーチもそういう日焼けで我慢する外人や若者たちがちらほらといた。翌年からはようやく海水浴解禁になり、わたしは何十回と泳ぎに来た。今年はどうか。ボードも買ったので、それもしたいが、コロナは5類に入ってから、騒がなくなり、あの騒動はなんであったのかと、振り返る。

 

 そのコロナのせいではなく、海水浴は下火になってきているというのはどうしたことだろうか。どこに行っても、去年はぱらぱらで、わたしが泳ぎに行ったのが、逗子と江の島、茅ヶ崎のサザンビーチと大磯などの近場の湘南の海ばかりだが、人が少ない。海の家も申し訳程度に開いていた。かつては砂浜はびっしりとパラソルとシートが敷き詰められ、海の家もずらりと並んでいた。プールはどうなのか。そっちのほうが繁盛しているのか。

 平塚の海でも何度も泳いだが、どうも海は汚くなる。藻屑や木くずなどが打ち寄せる。それを掻き分け泳ぐのはあまりいいものではない。雨が多く、川が増水し、上流から流れされてきた枝や木々が流れ着いたようで、それをブルドーザーで一か所に集めている。ビーチはそういう漂流物でいっぱいだ。透明度もないが、以前はどうであったのか、海はどうして汚染されてきたのか。近年の大雨のせいか。それが原因で海水浴客の足が遠のいたものか。去年の夏休みでも、平塚のビーチは数えたら20人も泳いでいなかった。

 

 今年は泳ごうと、息子とも話していた。孫に水泳を覚えさせる。水泳教室に通うよりは、海で実施訓練をさせるほうがいい。よく言われるのが、プールなら泳げるのに海では泳げないと。波があるからだろうが、泳げる人でも海では溺れる。海で泳げるようにしたほうが災害時には強い。まずは、水中眼鏡で孫に潜りを教える。それで小魚や海中散歩も教えたい。今年の夏は五歳になる孫の特訓だな。