うちの孫娘たちの生態を見ていても、部活はしないし、中学生という、いまが一番基礎体力をつけないといけないときに運動をしないで、日がなごろごろと部屋でネットばかり見ている。不健康な生活には違いないが、じじはどうのこうのと言わないようにしている。

 それが、テレビの特番で、子供ロコモだというのが、現代は社会問題になっているというのだ。ロコモなんか老人の話と思っていたら、なんと子供たちからそうだというのだ。それはそうかと思う。体力測定というのはわたしの子供のときからあったが、それはいまも学校ではしていると思うが、昔の子供と比較して、やはり現代の子供たちは体力が落ちているから、そういうロコモという言葉も出てくる。そのまま大人になると大変なことになる。いまからロコモティブシンドロームと言われたらお終いだ。それは老人たちには生活が普通に送れない大問題なのだ。年とともに運動機能が低下してくる。それを防ごうと、健康のために運動をする。あちこちで自治体もやっているが、公園で老人体操を教えていたり、コミセンでもよく見かけるが、運動療法士さんやトレーナーの先生たちが、老人を集めて、指先ぐーぱーをやらせたり、椅子から立ち上がる訓練をさせる。寝た切りにならないために、歩行困難にならないために、身体機能を維持するためのあれこれをさせる。

 

 わたしの通っている太極拳も、仲間は高齢者ばかりだが、健康体操のつもりで通っている。先生もそのために、最初の一時間はびっしりと体操をさせる。壁に手をついて足を上げたり、スクワット、床に座って開脚前屈、猫が伸びをする恰好や、アザラシが首をもたげる恰好をさせる。膝を抱えて横に倒し、両手は大の字のように広げて床につける。それは腰痛にいいとか。鉛筆のようにつま先から頭の先まで伸びる。かかと落としも十回。それは骨粗しょう症予防になるとか。

 週に一回か二回のそういうトレーニングだけでも全然違う。ストレッチしないと、体が固まって、可動範囲が狭くなり、立てない歩けない起き上がれないとなる。しゃがむこともできないと、和式トイレでは用を足せない。わたしも固いので、トレーニングでほぐすが、いまだに自分で靴下を履くのに難儀する。どうしてか、いつも右足なのだ。ズボンも右足が上がらないから、足を通せない。右の股関節の手術をしてから、それが一番大変で、普通の生活に支障がある。

 

 老人たちは日々のロコモとの戦いなのだが、それがこれからは子供たち、若者たちに起こっているというのだ。それは由々しき事態だ。

 わたしは小学生のときまで肥満児で、運動神経はゼロに近く、走らせてもふうふうと遅く、運動会ではいつもビりで、鉄棒の逆上がりもクラスでひとりだけ出来なかった。跳び箱も飛べない。体育はいつも通信簿が2か3だった。それではいけないと、中学に入ったら、背丈だけはクラスで一番で170cmあったから、姉がキャプテンもしていたバスケットボール部に入った。名門の部で、男女共に県大会で毎年ずっと優勝してきた。そこでは朝練があり、7時から1時間毎朝、放課後は8時まで毎日の練習で、一日4時間はしていたか。くたくたで、鍛えられた。のたのたと走っていたのが早くなる。肥満もスマートになり、筋力体力もついた。校内マラソン大会ではクラスの二番に入り、担任の先生も驚いた。その三年間で、わたしの基礎体力と根性が鍛えられた。いまも頑張りがきくのはそのときの体験だろう。

 若い人たちにはスポーツはやらせるべきだ。それが健康な下地を作るし、なによりへこたれない根性を作る。厳しい部活の先生についたらいい。

 

 それがどうだ、いまは帰宅部で、勉強するのでもなく、ぶぐぶくと肥満で太り、やたらと食べて寝て、ぐうたらな青春を送り、根性もなく、社会に出て、入社したらすぐに辞めるのが三割もいて、辞めるときは親に頼むか退職代行サービスだと? そういう子供たち若者たちはどうなるのだ。きっとそのうち運動不足で成人病。糖尿病に運動障害と、歩行困難で怪我ばかりする。車ばかりで歩かないから歩けなくなる。手足も動かない。なにをしても続かない。すぐに辞めて転職ばかり。ジャンクフードに外食、コンビニ弁当に偏食、栄養不足で顔色悪く、大丈夫か、生きてゆけるのか。うちの孫たちもそれが心配だ。気合だ気合だ、根性だ、立て、立つんだと、じじはそう叫びたい。