太極拳では、素手で戦うのと、剣も使うし刀も使う。他に棒や扇子もあり、いろんな武器を使用する形も覚える。わたしはまだ三年で、新人みたいなものだが、みなさん仲間たちは二十年三十年のベテランばかり。段位をとっている人も三人くらいいる。四段が二人いるのか。先生も女性だが、段位は当然とっているし、平均年齢は60代だろうが、男性が少なく、男性のほうが段位をとりたがる傾向はある。わたしはこの先どうなのかとまだ初心者のようにまずは形を覚えないといけないから、そこまでは考えないが、若いときは合気道で段位をとったから、稽古を重ねてゆくうちにそこまで到達できだろうかと、いまはみんなに必死でついてゆくだけだ。

 われわれの倶楽部がやっているのは、素手での二十四式と三十二式は毎回練習をしている。それと両刃の中国剣を使っての三十二式と四十二式をいまは時間をかけて練習している。別の講習会では扇子を貸してもらって、扇子を開いたり閉じたりと、それを剣のように使う練習もしたが、それはそれで見ていて綺麗だ。

 剣は持ち運びに便利な三段に伸びるやつがあり、わたしはそれを最初は練習用として買ったが、みなさんは長い剣を持ってきていて、正式な大会などではちゃんとした剣を使うと言われて、去年の神奈川県大会が、横浜の国際体育館で行われたときに、太極拳用品の業者がいっぱい出店していて、そこで買い求めた。自分の体に合わせて買わないといけないので、見て合わせて買わないと、身長と剣の長さがマッチしないといけない。

 その剣はぺらぺらではないが、柔らかくしなる。当然真剣ではないから、切れないが、持ち手に飾りがついて、剣房がついているが、その色とりどりの房も、倶楽部で統一しようと、大会のときにみんなが同じ色合いの房を買った。剣ケースもわたしのはただのキナリの布袋がついてきたのが、みなさんは立派な中国刺繍のついたものや織物でできたケースでいい。それを上海に行って、カンフーシューズなどと一緒に現地で買おうと行ったが、店を探せなかったのと、円安で高かったので、買わないで帰国したが、こちらの通販サイトで買った。剣の長さに合わせてケースも買わないといけないが、いいのが安くあったので注文した。

 

 中国人の蘭先生の刀の講習会があるというので、参加希望をうちの先生がとったら、半分以上の人たちが参加することになり、わたしもどんなかなと希望を出した。先月と先々月と前半後半で十三勢刀を教えてくれた。中国語では太木及刀決みたいな字を書く。形がいろいろとあり、七星跨虎交刀勢のような字を書いて、チイシンクワフウジャオダオシと読み、それがひとつの形。それを十三やってすべて二回の講習会で覚える。わたしなんか、剣の三十二式も三年やってもいまだ覚えていないで、一人でやってみろと言われたらできない。

 剣はつるぎと言い、両刃だが、刀はとうと言い、片刃で、日本刀と同じ。他に青龍刀みたいなのもある。仲間では刀を持っている人もいるが、わたしはどうしようかと悩む。そんな何万円もしないし、何千円で売っているものもあるから、倶楽部で大会にやるというと、買わないといけないか。いまのところは、仲間のおばさんが、わたしの剣の片刃に模様のついたテープを貼ってくれて、みなさんそうしているが、片刃の刀と同じように使えるようにした。でなければ、いままでの剣はどっちでも切れるから、そういう剣さばきをするが、片刃では、切れる側の反対に何かテープで目印をつけて切らないといけない。

 

 二日だけの講習で覚えられるはずがないから、これからはうちの先生が、いつもの練習の後に、十三勢刀もやるようになる。それと毎週の稽古と別で、刀の練習日も月末の金曜日に二時間やることになった。いまのところ、五つの素手と剣と刀とその形の練習だから、覚えることはいっぱいだ。しかも、それが魅力的なのは、形が綺麗で、見ていて、剣舞のように覚えたいと思うところだ。三国志の世界で、飛んだり跳ねたり、後ろの敵を切ったり刺したりと、その廻る動きもちゃんと四方八方の敵を捌く練習なのだ。剣道の小手もあるし、胴もある。中国剣も刀もちゃんと武道だから、理論があるので、それを細かい刀さばきと型で習得してゆく。これはボケてはいられない。頭も使うが、一番は、両手両足の動きがみんな別々なのがいいようだ。それが認知症予防になる。健康体操のつもりで太極拳を習いにきたが、きっと頭にもいいのだ。いい年をしたおじいちゃんが、刀を手に飛んだり跳ねたりと、足を上げたり、そういうトレーニングをするのは足腰も鍛えられ、体幹から呼吸法、身体にいいことばかりしているから、これはますます長生きしそうだ。