わたしは毎日チョコレートは欠かさない。昔から好きだということと、ポリフェノールが体にいいという老後の食生活で、またそれが最近の流行語でカカオ生活という菓子メーカーのコマーシャルにも乗せられて、健康オタクのわたしはそのチョコレートを毎日チリホリと食べている。それも孫たちにはやらず、見せないように隠して、いつもリュックに潜ませて、何か甘いものがあればと欲しがる年寄りになってきた。

 

 チョコレート菓子はいけない。あれは、ただのお菓子で、よくよく見て買わないと騙される。中にクランチはビスケットのようなものが入り、ポップコーンや小麦生地をチョコで隠しているだけのもの。ピーナッツはまだいいが、混ぜ物で増量、コーチングしたものは、チョコレートの成分が少ないから、栄養価値は下がる。純粋なチョコレートでないのは、準チョコレートと裏に表示がしてあるから、それも確認して買う。安いチョコレートはみんな準で、本物ではないのだ。準チョコレートの基準は、カカオ分が15%以上か、カカオ分7%以上に乳固形分12.5%以上の生地を全重量の60%以上使用したものと細かい。それ以下の60%未満のものはチョコレート菓子と表示されている。

 だから、いっぱいあるチョコレート菓子には騙されないように、成分も見て買っている。外国製品はどうなのか。それも信じていいのかどうか、安いと輸入食品店や業務スーパーから買ってきて食べている。

 

 このチョコレートがいまは品不足で、本物が少なくなっている。またあっても、値段が高騰しているのは、わたしにとっては由々しき事態だ。いつも買いにゆくドラッグストアでは、チョコレートの棚が空になっていた。混ぜ物はいっぱい売っているが、わたしは買わない。

 その理由が、日経新聞に出ていた。世界の産出の半分以上を輸出しているカカオ豆生産国のコートジボワールとガーナが異常気象と病害で、不作が続いているためとある。取引高は昨年の3倍高というから、これではわたしの口に入らない。板チョコもそのうちどんどんと値上げしてくる。あるいは、どんどんと混ぜ物でごまかして、食べても栄養にならないただのスナック菓子になってしまう。

 

 ここのところは、毎日のように、あちこちのスーパーやドラッグストア、お菓子専門の店など覗いて探している。まるで、ないとなると、どうしても食べたいと求めたがる人間の心境だ。

 以前、このブログでチョコレート大好きと書いたら、文学同人仲間の女史が、なんと1キロはないが、大きな板チョコをどこからか見つけてきて、わたしに届けた。それがあまりにも大きいので笑ってしまった。それも丸齧りしていた。

 よく、子どものときは、チョコレートを食べ過ぎると鼻血が出ると注意された。あれはどうなのか。迷信なのか。カカオ成分の多いビタチョコは体にはいいかもしれないが、甘いだけのミルクチョコは砂糖もいっぱい入っていて。逆に体にはよくないかもしれない。苦味ばしった男の味でブラックがいい。ここのところは、バレンタインも無縁の年になったが、もらえるのであれば、毎月バレンタインがあったらいいなと若いときは思った。

 

 わたしは菓子屋の倅であったから、工場では、よく子どものときから無給で手伝わされた。家業を手伝うのは当然だと、工場の職人さんから呼び出しがかかる。それでよくやらされたのが、大きなどっしりとしたチョコレートのブロックを削る作業だった。それはコポといい、ケーキのサイドにまぶしたり、上から仕上げでかけたりする。綺麗に薄いチョコがカールしていれば、飾りとしては綺麗だ。あの、巨大な何キロかあったブロックを丸齧りしてみたい。製菓原料問屋に行ったら、安く売っていないだろうかと、バカなことを考えているほど好きなのだ。

 安く売っていたら、溶かして生クリームと混ぜて、ラムレーズンを入れて固めたり、アーモンドを一杯入れたガナッシュを作り、一人冷蔵庫から出しては舐めてふふふと笑う。

 そういうチョコレート生活よもう一度!