とうとうというか、いつか何か起こるとは思っていたが、健康食品やサプリメントのブームに警鐘を鳴らすように、被害が出た。あの製薬会社は、飛ぶ鳥を落とす勢いで宣伝しまくり、かなり常勝軍のようなところがあった。大丈夫なのかといつも心配していた。あまり荒っぽい経営をしていれば、いつか穴が空く。

 わたしも心配になる。毎日、飲んでいる大手メーカーのサプリメントがある。それは医者もいいでしょうと言っていた、テレビでも宣伝しているし、どこのスーパーやドラッグストアでも売っているもので、ひとつはミネラル10種で、鉄、マンガン、銅、亜鉛、マグネシウムとまるで、おれはロボットかというような中身だが、それと総合ビタミン剤を一粒毎朝一緒に飲んでいる。息子はそんなものはいらないと飲まないが、疲れて帰ってきているので、朝の出勤時にエナジードリンクは飲ませている。わたしもビタミン剤を飲む前は栄養ドリンクを毎日一本飲んでいた。いまはそれは息子のために買ってきている。

 飲んでいるサプリメントはそのほかに、スピルリナもずっと毎日飲んでいる。バクテリアのバイオマスとか、前に友人から勧められて飲んでいたEM菌と同じようなものか。それは相方が一緒に飲ませてくれたのが習慣になって、何年も続けている。青汁もテレビで宣伝しているからというわけではないが、青森にいたときからだ。おふくろが健康オタクで、青汁やなた豆茶がいいというと、何かの雑誌やテレビで洗脳されて、わたしにも飲めと毎日飲ませ、養蜂場からはプロポリスの錠剤を取り寄せて、わたしにも飲めと続ける。東京の姉からは、アリナミンを送ってきて、それも飲む。

 おふくろは、祖母の影響も受けていた。明治生まれの祖母も健康オタクで、わたしが子供のときから、木箱に炭素棒を突っ込んで、二層に分かれた箱の片方に水を入れて電極の棒を入れると、不思議と片方の側に水が浸透してきて、それがイオン水となるのだとか。その水をいつも飲ませられていた。いまなら、イオン水は普通なのだが、昭和33年くらいにそういう家庭用の健康機器が売られていたのは驚く。それと、やたらと漢方薬やお茶も煎じて飲ませられ、わたしは寝小便が治らなかったので、松の根みたいなものを煎じた甘いがどことなく嫌な味のお茶を毎日飲ませられた。八甲田山から拾ってきたとか、ゲルマニウムの石も土瓶で沸かしてお茶にして飲んでいた。その石は癌にも利くという秋田県の玉川温泉にもある石のようで、わたしも古本屋のお客からもらって、いつもポットに入れていた。

 そういう祖母から教えられて、おふくろもいろいろとやっていた。それがわたしにも遺伝する。いまも、体にいいものといえば、すぐに飛びついて、毎日飲んでいるが、それが自然の食品なら問題はないが、サプリメントなど、何が入っているのか怪しい。いつか医者の書いた本を読んだら、サプリの半分以上が怪しいと書かれていた。効果測定は国ではやらない栄養食品であれば、体に害がなければただの食べ物だから、ノーチェックなのだろう。いちいち調べていたら、海外からも来るので、きりがない。鼻くそまるめて萬金丹というのは昔から言われていて、そんな粗悪な偽薬もあった。

 テレビで宣伝し、ネットや新聞雑誌でも氾濫している健康と栄養補助のサプリだが、加熱して、いまは食品メーカーはこぞって出しているが、全然関係のない家電メーカーやエプソンみたいなところまで儲かると思えば参入してきて、猫も杓子もサプリサプリなのだ。わたしのように踊らされ、すぐに飛びつくのもいるから、その中にはいい加減な粗悪品もあるだろう。

 

 今回のことで、加熱が冷めて、厚労省が見直してチェックするというが、どこまでできるのか。そうなると、次々にいかさまが発覚して、第二第三の被害が出てくるに違いない。いままで原因不明で死んだ人もいるかもしれない。

 わたしも青森にいたときは、具合が悪くて倒れそうになり、息子に病院へ連れて行ってもらい、血液検査などしたら、肝臓の数値が正常の五倍も跳ね上がり、これでは立ってもいられないでしょうと、女医さんが、何を飲んでいましたかと、サプリメントのことを聞いた。ノコギリヤシエキスを排尿のために飲んでいると言ったら、即刻やめなさいと、注意された。飲んでいるといえばそれだけなので、原因はそれにありそうだ。

 ヘタすれば死ぬ。薬も毒なのだ。われわれは知らないうちに蝕まれているのかもしれない。