デパートの衰退の次はそれと似ている業態だが、ビッグストアと言われる量販店でも総合的なヨーカドーなどだ。わたしはヨーカドーが青森に進出してくると騒いでいた昭和56年ころに、青森の商工会議所だったか、日専連だったかの毎月の会誌に頼まれてそれについて書いたことがある。二代目経営者の錯覚のようなことで、それはわたしもそうであったから、自戒の意味もこめて書いた。それには、大型店ばかり意識して、大店法廃止で、地方都市が巨大なショッピングセンター進出で潰されてしまうという危機感ではなく、それよりもロードサイドに次々に出店してくる全国チェーンの専門店が怖いと書いた。われわれの仲間はみんな地元の専門店の息子たちばかりで、大型店よりも、専門店に押しつぶされて次々に破産倒産した。眼鏡チェーンが格安価格でやってくる。友人の電機店も潰れた。ヤマダ電機やコジマが出てきたからだ。まだビッグカメラやヨドバシは出てこなかったが、それが出てきたらみんな小さな電機店は潰れると、そっちのほうが怖いことを警告した。商調協というものも、当時は売り場面積が引っかからない広さであれば関係がなく、その郊外型で駐車場のある専門店がどんどんと出てきていた。紳士服の地元の老舗もそれで潰れた。はるやまや青山が郊外に出てきたからだ。

 

 地元のデパートもジャスコゃヨーカドーが青森市に出てきてから、次々に閉店して、いまは一店だけがかろうじて青森駅前商店街でやられている。かつて五店あったデパートはみんな潰れた。デパートの時代は終わったように、全国的に大手でも閉店して、いまは西武もそごうもまとめて安く売られていても買わない。それはヨーカドーのような量販店が出てきてから、押されていた。いまそのヨーカドーもどんどんと閉めて、半分になり、東日本から撤退する。都内でも六店を閉めると昨日の新聞に出ていた。デパートが閉めた次は量販店だ。百貨店と読んだころは、百の商材を扱うといので、なんでもあるというのが売りであった。ワンストップショッピングという言葉も出た。そこで全部の生活用具と食料は買えるので、買い回りすることがなくなる。地元の商店街は全滅、シャッター通りになる。もはや、履物屋や八百屋、魚屋、袋もの屋さんといった商店には買いにゆかなくなる。わたしは、小学校と中学の学区が、青森駅から駅前商店街と古川市場も入る、いわば、商売の店の子が同級生に多く、旅館や料亭、玩具に薬屋といった同級生ばかりだった。それがいまはほとんど残っていない。つい先日も、驚いたが、幼稚園からずっと友達であった国道角の薬局が昼火事で全焼したと全国ニュースにあった。友人の奥さんが火傷したとか。大丈夫だろうかと心配している。その家にはよく遊びに子供のときから上がりこんでいた。彼とは高校まで一緒だった。この場からお見舞い申し上げます。

 

 そういう希少価値のある古い店もあるが、多くはすでに倒産したり閉店している。

 大型の総合店は、それからは全国チェーンの専門店に押されている。建物の上の衣料品は惨憺たる有様で、客がいないで、従業員のほうが多い。西松屋で子供服は買うし、ユニクロやGU、H&Mがどこの街にも出てきて、ちょっとおしゃれな服も専門店でいっぱいある。百円ショップも広く出てきて、それで足りるのは大型店やデパートには買いにゆかない。靴もチェーン店、コンビニからスーパーがあちこちにあれば、食品も大型店では買わなくなる。わたしも買わないが、やはりオーケーとかヤオコーとかのスーパーが安い。

 

 ファミレスも似たように衰退している。ガストやサイゼリア、ココス、デニーズ、ロイヤルホストなど、うちの近くにもあり、たまには利用しているのは、本を読む場で、別に食べたいものはない。ハンバーグやカレー、パスタやビザは食べたいとは思わない。和食党なので、和風の藍屋とか夢庵には行ったりするが、それとて、和洋中なんでもあるという総合的食のデパートみたいなところは衰退してくる。なんでもメニューにあれば、お好みで家族で好きに注文できるが、味はどうなのか。餅は餅屋で、専門店のほうが美味しかったりする。なんでもあるのは、なにもないのと同じなのだ。

 

 先日読んだ、高齢者の生き方の本の中に、ファミレスは高齢者は利用すべきと書かれていた。水分補給には、ドリンクバーがいい。安くランチが食べられて、居場所としては何時間いてもいい。わたしのように、本を読む場として使用しているので、モーニングもトーストにゆで卵とジャムなどよりついていないが、それにドリンクバーで400円くらいだ。ガストでは、それで午前中いる。コーヒー、野菜ジュース、紅茶にココアなど何杯もお替りして三時間くらいいて読書。ココスのランチも食べたくないビザが300円少しで、それにドリンクバーをつけても500円少しで、ポイントで只で食べてくる。

 いまは、外食もいっぱいあり、ラーメンはラーメン屋で、うどんはうどん屋が美味しく、イタリアンも専門店、インド料理からスペイン料理と、世界の味がどこの街でも食べられる。なんでもメニューにあると、どうも美味しそうには思えない。それなりという感じはする。

 人々の口も専門的になり、食べログなどで食べ歩き、味にはうるさくなってきた。グルマンばかりで、こだわりがあり、あの店、この店で探して行列。もはや、刺身定食、トンカツ定食、天ぷら定食など、どこにでもあるものでは戦い勝てない。まして、ステーキなど肉にうるさく、うちの孫たちでも黒毛和牛のA5ランクがどうのと、中学生のくせに贅沢。ネットの情報からテレビまで、毎日グルメグルメとうるさく洗脳されている。

 

 デパートが潰れ、大型量販店が潰れ、ファミレスが潰れ、そうして残ったのは、地元商店街の売り店舗や貸店舗の貼り紙だけ。街は死んでいる。