ついていないときはついていない。何をしてもうまくゆかないときがある。厄日ではないのかと思うとき。

 春一番が吹き荒れた。風速8メートルを超える南風のときをそう呼ぶのだとか。それが関西では、風速が違うのが面白い。土地によっては基準が違うのはどうして? で、暴風雨では、孫の保育園の迎えもできない。と、息子が夜勤なので、昼間は家で寝ている。おれが送り迎えを車ですると言ってくれて助かった。風だけでも自転車は進まない。それも暴風だから、自転車置き場で、みんな倒れていたくらいだ。それに大雨が入ると自転車では濡れる。仕事もあって、どうしても行かないと。合羽を着て、リュックはゴミ袋で覆う。人も歩いていないし、自転車通勤通学も少ない。みんなバスにしたものか。

 雨風を避けるように、アーケード商店街の歩道を走る。そうしてようやく平塚駅まで辿り着く。自転車をマンションに置いて清掃の仕事に入るが、廊下階段は雨で濡れていて、掃くことがかなわない。外も濡れているから、モップで拭くのはできないで、ゴミステーションの整理だけして、エントランス前はフロアースクイジーというかっぱぎで水溜まりを排水溝に流してやる。仕事は半分しかできないで楽。後は休憩。

 いつもの駅裏のマックでコーヒー飲んで、ブログを書いたり、読書というパターンは変わらない。それが終わると、自転車で近くのスーパーのイートインで本の続きと昼飯だなと、マンションに止めている自転車を取りにゆく。と、自転車の前輪の空気が抜けてぺっしゃんこ。これはパンクか。先月は後輪がパンクして、自転車屋まで引いて行った。見てもらったら、中古で買ったママチャリで、チュープも古くなり、タイヤも割れてすり減っているからと、どちらも取り替えたら、中古で買った本体の半分もとられた。それなら新品を買ったらよかった。あのときは引っ越しのときで金がかかったから。

 大雨で合羽を着て、自転車を引いてゆく。街のどこに自転車屋があるか知っている。一番近い店まで行ってみたら、閉めていた。定休日か。それで次の店まで、また雨風をしのぐようにして引いてゆくが、そこもシャッターが降りて、水曜日は定休日と書かれている。三軒目、四軒目も閉めていた。五軒目まで行く前に、これはひょっとして、水曜日はどこも申し合わせたように業界で休みではないのかと電話をしてみたら、案の定、自動音声で、定休日のお知らせが流れる。そうか、そういえば、八百屋もみんな休みが水曜日で、日曜はやるから、週の中日が定休日にしているのが多い。それじゃ、諦めて、家まで引いてゆくのか。空気の入っていない自転車は回りにくく重い。雨とパンクと定休日とよくないことが続くときは続く。

 

 疲れて、どこかで休憩しようかと、国道1号線の交差点まで来たら、そこにデニーズがある。前に何度かランチに来ていたが、ファミレスで読書もいいなと、足元が濡れて気持ちが悪いから、乾かしてゆこうと、自転車を建物の下の駐輪場に止めて、店内へ。昼でもそんなに混んでいない。で、メニューはランチもあるが、どうもハンバーグやチキンはいらないし、パスタにヒザもいらない。ファミレスのメニューは食べたくないものばかり。和食もあるから、一番安い肉味噌丼にする。それも別に食べたいものではなく、雨宿りのためなのだ。

 

 普通に歩いても駅から自宅までは30分はかかるのに、重い自転車を引いて、自転車屋を探してふられて、あちこち寄ったので、疲れ果てた。それもトレーニングだと思えばいい。

 

 雨は何日も降った。秋の長雨とは言うが、春の長雨もあるのだろうか。暴風も二度吹いた。春二番と言うのだろうか。息子は、春の風は何番まであるのかとわたしに聴く。そうさな、九番まであるかな。だったら、四番は強いんだね。そうだ、ホームラン級の暴風だろうと、息子も冗談では乗ってくる。

 

 翌朝はさらに土砂降りの雨に暴風。掃除の仕事に出かけるに、自転車は置いていって、滅多に使わないバスで駅まで向かう。バス停には人が並んでいる。来たバスは超満員。大丈夫か、乗れるか、と心配することなく、後続のバスがすぐ来た。それはがらがらで、座ってゆけた。平塚はどこのバスに乗っても、平塚駅行きなので、迷わず乗れる。バスも朝は20分かかる。自転車でも同じくらいで、バス通勤は無駄なのだ。みんなバスばかり使うが、健康のために歩いたらいいし、自転車もいい。定期も高いし、なんでも楽はよくない。

 それにしてもよく降る。これは季節の変わり目。不安定な天候。空も泣くだけ泣いたら、すっきりとして、ほんとうの春になれるんだろうか。