株価が4万円台に届きそうだ。あのバプルのときと同じではないと、テレビで証券マンが話しているが、証券会社は本音は言えない。あたりまえだ。経済評論家も、あのときと中身が違うと、日本経済の底力を自画自賛。そうなのか、一般市民はどこの話だと、生活と経済がかけ離れていることに疑問を持つ。景気がいいのではない。株価という砂上の塔の話なのだ。それを恐々とみんなが積み上げている。いつ崩れるのか。それは天に届くバベルの塔のように、きっと神の逆鱗に降れる人間の欲の積み上げで思い上がり、資本ゲームなのだ。それが暗黒の木曜日に一気に崩壊する、バブルの塔になる。所詮、実態のない、遊びなのだ。
わたしは金もないが、あっても絶対にやらない。みんなも好景気でもあるまいし、まだお隣の国よりはましと思うぐらいで、日本はそんなにいいのかと信用していない。物価は上がり、所得は上がらず、目減りしている。政治は腐敗。政策は無策。街を見ていたら、それが実感としてよく判る。
わたしも買い物であちこち歩くが、ららぽーとのような大きなショッピングモールでも歯が抜けたようにテナントが撤退している。先日は、ラスカという駅ビルにATMがあるから、行ってみたら、そこのたまに買い物する輸入雑貨の店が閉店セールで全品半額とやっていた。おしゃれなものを売っているので、気に入っていて、前は新宿と池袋の店でもよく買っていた。イケヤのような日用雑貨から化粧小物、袋ものから一部食品まで面白いものを売っていた。半額で買ったのは、プラのスプンやフォークで、それが銀色と金色があり、20本で120円だから、大小それぞれセットを買った。子供たちはすぐにスプーンもなくす。どこに持ってゆくのか。ステンレスの高いのはいらない。使い捨てでもなく、洗って何度も使うプラ製品でも、見た目は高級そうに見える。一本が6円くらいだから、それをいまは使わせている。その店はひと月ぐらい閉店セールをしていたが、最後は販売台やディスプレイ器具まで、備品もすべて、値段をつけて売っていたので、売り場はがらがら。残っているのはレジくらいだ。その中でも売れ残りのTシャツが何枚かあった。子供用のように小さいが、プリント柄が可愛い。それがなんとハンガーがついて、たったの5円なのだ。これはお買い得だと、四歳児の孫に買って行こうと、三枚、柄の違うものを買い求めた。それで15円。
帰ってから、息子に見せた。どうだ、安いだろう。そうしたら、息子は爆笑する。よく見てと、タックシールにはなんと、犬用と書かれているではないか。道理で、何か形がおかしいと思ったが、半袖で横に広い。犬がこんなの着るのか。それは可笑しいと、息子は写メを兄貴や友人たちに送っていてた。わたしも身内に送る。
それからは、どこどこのスーパーで閉店セールで、チーズが安かったと息子に見せたら、「それも犬用ではないのか」と、言われる。横浜で買ってきた肉屋さんのハンバーグも、ドッグフードではないのかと、疑うようになる。確かに、前に、ドラッグストアで、肉の缶詰が安いと、買うところだったが、よく見たらワンちゃんの餌だった。それでも別に毒でもないし、食べられないこともないだろう。
わたしがよく行く八百屋さんも、何軒もこのひと月で閉めた。八百屋愛好者としては、それは悲しい現実で、街の八百屋さんが頑張っているのに、応援したい。スーパーより安い。それでレジでおやじさんが、茄子を買ったらおまけと大葉をくれてよこしたりする。今夜は茄子と大葉の味噌炒めだな。
商店街だけでも、あちこちが閉店しているし、大手のショッピングセンターでも閉店が目立つ。コロナ疲れもあるし、ゼロゼロ融資の返済で倒産も多いという。どこもここも人手不足で、てんてこまいで、業務が停滞していて、給与を上げろとはいうが、原料から光熱費、運賃といろいろと値上げしても売上は上がらない。それで労務倒産もこれからは続出する。そんな街から、株価の狂乱はあれはただのゲームだろうと幻想を追いかけているようにしか見えない。中国マネーが流れてきていて押し上げている。それがいつ一気に崩れるのか。アメリカもヨーロッパもよくない。ただ、ウクライナの戦争で、対岸の火として離れているから、漁夫の利ということもあるだろう。それでも国内だけ見ても、何もいい材料がない。少子高齢化はますます進み、労働力は減る。国債依存の世界一の負債国には変わりはない。
閉店の暗いニュースは関東でもそうで、ふるさと青森などの地方都市は前からで、帰省するたびに暗い話ばかりで、友人たちの店が閉めている。倒産夜逃げという話ばかりで嫌になる。再開発で、中心商店街に次々に大型商業施設を作ったが、そのテナントもまだ半分ぐらいしか決まっていないで、見切り発車するようだ。そうしてヨーカドーなどの撤退で、大型店も閉めてゆく。それとは関係がないように株価だけが上がってゆく。株価って何？
