コロナで一時中断していた太極拳の神奈川県大会が再開したのは去年からで、去年は出場は少なかったという。今年はどうか。わたしは去年も出た。平塚の協会に属するクラブは16くらいあって、全員ではないが、百人は超える。今年もそれぐらいは来ているか。

 みんなはバスをチャーターして横浜の国際プールの体育館が会場で、そこまで向かうが、わたしは孫の保育園の迎えと、掃除の仕事もあったから、電車で行くことにした。仕事が終わると、平日なのに混んでいる電車で立って横浜まで。何かあるのかと思うくらい、朝の通勤時間を過ぎても満員。横浜駅から市営地下鉄ブルーラインで北のほうに向かうが、それも満員で、ずっと立ってゆく。その間も手すりに掴まらず、体幹をまっすぐに中腰の姿勢でパランスの訓練。

 グリーンラインに乗り換えて、北山田で降りる。そこが会場のある駅だった。その近くに激安のスーパーがあった。昨年は安いといっぱい買った。今年は食品値上げでどうか。それでも昼の弁当の助六などを買い、納豆と牛バラステーキというのと肉屋さんのハンバーグも安いと買う。野菜もどれでも四点で五百円とタイムサービスに乗った。それらを買って、会場へ。ぞろぞろとじじばばばかりが歩いている。コミケにビッグサイトに行ったときは、40代の男ばかりがぞろぞろとすごい人が向かっていたが、ここのは高齢者ばかりで、それも迫力はある。階段がずっと続く。数えたら上まで181段あった。会場の体育館のエントランスでは、スポーツ用品店が店を出す。それも中国製品専門の。それで去年は剣を買った。今年はどうかと見たら女性用が多く、大きなサイズがない。ようやく太極拳のマークがプリントしてあるXLのТシャツを千円と安いので買う。後はみんな小さい。ずらりと並ぶ店には午前中からみんな押しかけている。

 

 バスで来た仲間たちと合流して、二階の指定された観覧席に陣取る。上はオレンジ色のプリントのはいったシャツで、下は黒のだぶだぶパンツ。みんな統一している。各市の衣装も白の上下とか、派手な黄色とかピンクとか、女性が圧倒的に多いので、おじいさんたちも同じ服を着るよりない。会場にはBGMに懐かしいビートルズの歌が流れている。そうか、みなさんビートルズ世代なんだ。

 

 開会式が終わると、われわれは四番目の出場で、平塚の各クラブから全員ではないが、百人くらいが出た。フォーメーションで、端のほうでは三十二式の剣、後の大半は二十四式の演技を合わせてする。平塚の曲は中島美嘉の「雪の華」に合わせてやる。去年は平塚がバラの街なので、「ローズ」の歌に合わせてやった。曲の長さに合わせてきちんと終わる練習をずっとしてきた。われわれの前は横須賀の団体、その次に鎌倉、その後ろの廊下で待機する。

 入場行進の練習もした。平塚の各クラブとの合同練習も先週にした。バラバラでは恰好が悪い。ちゃんと縦横整列して、一糸乱れぬ演技を披露する。

 終わってから、二階の観客席で宴会が始まる。よその演技を見ながら、わいわいと遠足のように楽しい時間だ。おやつも飛び交う。去年もいろいろと集まって、それだけで腹いっぱいになる。また今年もよそのクラブの人たちからも、チョコレートだクッキーだキャンデーだとわたしにも回ってくる。こっちは何も上げるものがないので、納豆を出して、これ食べる?

 そのうち、何をどこで買ってきたのと、おばさんたちが覗く。ハンバーグが大きなのが五個で298円、牛バラが百グラム120円、シラスのふりかけ220円と見せたら、安い、それはどこのスーパー? と主婦たちの会話になる。

 

 最後に太極拳選手権で優勝したチームの男女二人の特別演技が披露されたりした。われわれ老人はゆっくりとできる範囲でやるが、若い人たちはアクロバットだ。足も頭まで上がり、飛んだり跳ねたりととてもできない。わたしなんか、足は腰までも上がらない。本来の太極拳は武道だからそうなのだが、そんなに速くもできない。健康体操のつもりでやっている。コロナでだいぶまた会員が減ったというし、若い人たちがもっと入ってくれたらいい。それはどのスポーツもそうで、少子化の波は仕方がない。

 

 終わってからはバタバタと帰る。帰りは座ってゆけた。どこにも寄り道はできない。孫を保育園に迎えにゆかないといけない。