人のことなんか心配しなくてもいいのだが、街歩く老人でも杖をついている人が多くなっているなと感ずる。杖をついても散歩に出るというのはまだいい。それもしなくなって、家から出ないと歩けなくなる。寝てばかりでも寝たきりで、そのまま終わってしまう。

 老人だけでなく、若者たちもそうで、うちの若者たちも昼間でも休みは部屋にいてごろごろとしている。部活はしていないで、帰宅部なのだが、塾には通っている。それまではごろごろ。運動をしろよと言いたいが、最近は孫娘たちも太ってきていた。年頃の娘がそれではもてない。パパまで、ころころと太ってと、陰で言う。わたしも冗談で、肉屋が売ってくれと言ってきたらどうしようかと。

 そのパパも運動なんかしないどころか、夜勤の仕事ばかりだが、帰ってきていつも寝ているのは仕方がない。日曜でも休みの日はベッドの中でごろごろと寝てばかり。その姿より見ない。朝飯はいらないというのは娘たちと同じで、ちゃんと三食食べろよと、親として心配になる。それでいて、夜中までiPhoneばかり見ていて、夜更かしするのも娘たちもだ。若い人たちのそれが生態だろうと見ている。不健康極まりない。若いうちから活性化していないと、機能が退化してくる。老人にならないと、それが判らない。そのうち、膝や腰、足にきて、可動範囲も狭くなり、わたしもそうだったが、あるときから、和式便所で座れない。足の爪が自分で切れないどころか、靴下も履けなくなる。老人たちのほうが深刻で生活に支障が出てくるから運動には前向きで、太極拳も平均年齢は65才くらいだろうか。山歩きをしていても、高齢者たちばかりだし、ウォーキングもそうだ。みなさん必死で生きるための運動をしているのは切実だ。

 それでもそれは一部の高齢者で、わたしが動く範囲では、ショッピングセンターでも見かけるのが、じっとただ何時間もソファに座ってばかりいるボケーと過ごしている老人だ。大丈夫かと目の前で手を振ってみたい。ボーとしているから、眼も虚ろ、歩き方も小股でのろい。運動機能もかなり後退しているのが判るし、頭も後退している。サルコペニアは大丈夫なのか。そのまま認知が進んで、帰れなくなる老人のようで、他人事ながら心配して見ている。

 

 そういうのを生活不活発病(以前は廃用症候群)というのだそうだ。活性化していないと、頭も肉体も動きが鈍くなり、戻らなくなる。息子を見ていたら、寝たきりパパで、そのまま10年もそういう生活をしていたら、ボケが始まるかもしれないと、本人には、本を読め、スポーツをしろと言ってやる。そのまま老けるぞと脅かす。

 一人暮らしの老人でも、知り合いや親戚はいるだろう。そういう人がなんとかアドバイスして、役所でもそういう人のための教室も開いて、簡単な運動もさせているところもあるから、連れて行ったらいい。運動嫌いな老人というのは、昔からで、わたしもそうだった。マリンスポーツは夏だけで、運動というよりレジャーだから、体を鍛えるというものじゃない。合気道に通っていたのは40才くらいまでで、それからは運動らしいものはしていない。どちらかというと、古本屋で仕事で体を動かしていたが、仕入れがなければ、デスクワークばかりで、パソコンでデータ入力を朝から晩までだから、それでおやつポリポリで太った。体重は90キロを超えて、百キロまでまっしぐらと思ったら、それは成人病まっしぐらだ。血圧も上が180で、下が120と高血圧で具合が悪くなり、眩暈までしていた。これでは命とりになると、心機一転、県営体育館にあるジムとプールに通うが、仕事が忙しいので、週一では運動にならない。どこに行くにも車で歩かない。足腰も弱くなる。それではいけないと、東京に出稼ぎに出たのは正解だった。好きなものを好きなだけ食べられず、ひもじい清貧の生活に入る。少ない年金38000円でひと月、25000円の四畳半で暮らした。一日食費は200円。それで10キロは減量した。それからとにかく歩く。自転車では埼玉、千葉まで走る。じっと部屋でごろごろとしていない。毎日、どこかに出かける。それが東京だからできた。珍しいものばかりで、見るところはいっぱい。東京の友達から、いろいろと都内の行ったらいいところを青森のわたしに聴くほど、わたしのほうが歩いて知っていたくらいだ。

 ぐるっとパスという、美術館と博物館、動物園に水族館が入れるチケットが70枚くらい綴られて2000円だったが、それを二回も購入して、都内のそういう施設を自転車で回った。いい運動になり、教養も身につく。どうせ老後の暇つぶしで、脳も活性化するためには旅もいいし、散歩もいい。見たり聴いたり試したり、何でも見てやろうというという小田実の体験小説を地でゆくようなものだ。

 昨日も、茅ヶ崎のスーパー銭湯に行ったら、たまたまバレンタインの日で、受付で無料券を一枚くれた。男性だけへのサービスと、次回はそれでまた無料で入れる。ゆっくりと4時間も入り、露天風呂では日焼けもした。寒くはない。若い人たちも多いが、みんなカラスの行水でさっさと出る。うちの息子もそうだ。汗を流すだけでなく、サウナも三回は入りたい。それで体重は75キロともう少し頑張れば標準体重になる。いままではやや肥満であったが、いまはBMIは124で普通になった。

 ぼんやりと過ごしていれば、頭の中も霞む。ボケ防止のように本も読み、ブログも書いてアウトプット。図書館からは脳の本と認知の本ばかりいまは借りてきて読んでいる。自分に常に刺激を与えてやらないと。体がなまるだけでなく、頭もなまる。若いときより、いまのほうが動いている。活発に生きている。そうしないと、自分がダメになるようで、脅迫されるように老後生活は忙しい。ボケている暇なんかない。