また政治家の失言か。品格を疑われる不適切発言は、資質ではないのか。政治家はみんなとは言わないが、そういう無神経な人でないととても務まらないのかもしれない。

 最近はルッキズムというまた横文字が出てきて、容姿のことを口にしてはいけないと、戒めている。新聞の三面記事でも、女性が交通事故死と出ていて、90歳のおばあちゃんなら、女性?と違和感があるのは、わたしも古い無神経な老人でその部類なのだろうか。新聞ではご婦人と書いてもいけない。おばあちゃん、おばさんもNG。それはわたしがビッグストアで働いていた若いときの50年前からあったことだ。新入社員教育では、徹底的に敬語と業界用語を教えられる。そのテキストにも普段、学生時代に使っていた呼称は使えないと、言い換える文例が列挙されている。子供とはお客さんの子は言わない。お子様という。一緒の人とは言わない。お連れ様という。老人とは言わない。ご高齢の方とか、お年を召した方と習った。いまはどうなのか。

 最近でも警備会社に勤めた6年前でも、年に二回の現任教育が行われていた。全社員が対象で、支社ビルの会議室に各地から集まり、そこで教えられるのが、パワハラやセクハラだった。そんなものは昔はなかった。それが、ここのところは社会問題になってからは、会社としてはどこも取り組んで、上司が部下に言ってはならない用語集とか、女子社員に言ってはならない文例とかが紹介されて、徹底される。それによれば、女性に年を聴いてはならない。体の部位を話してはいけない。綺麗だとか美しいとか可愛いと言ってはならない。ましてブスだとかはとんでもない。デブやスレンダーもいけない。そうなら、どうやって表現したらいいのか。語彙が制限されると、それを言わないと、人の特徴が言えないときはどうしたらいいのか。事件があって、警官にどういうお客であったかと特徴を聴かれたときに、健康的でBMIが150は超えている方とか、お肥えになられている方とは言えない。年齢もだいたいで昔の娘さんぐらいにしよう。言い換え集も出ていたから、それを覚えて、つい、言ってしまいそうな場面では、それを思い出す。どうしても元首相のような発言をしてしまいそうなのは老人が多い。そういうふうなことが昔は普通で、ハラスメントという言葉もなかった。暴言は社員教育のためと思っている。褒め言葉も知らない。無骨な性格もあるが、なによりも知らないという罪の意識がない。いまは何気なく口にしても訴えられる。別に悪気があったわけでもなく、つい相手にバカと言っても、それが元でうつ病で自殺。人を死にまで追い詰める一言。逮捕されて、全国ニュース、慰謝料もしこたまとられて、バカの一言が人生をだいなしにする。

 政治家も昔はバカヤロー解散があった。昭和28年の吉田茂総理が野党の質問につい小さくバカヤローと言ったくらいで解散総選挙になる。一言で日本の政治も動かす。そういう事例は昔からあることで、現代に限ってのことではないが、日本人は実直で真面目でつい本当のことを言ってしまう。それが欧米のようなユーモアと皮肉をもっと学んだらよかった。すくに言葉尻をとらえて揚げ足をとる。政治家はどこにいても、さるぐつわをはめていなければならない。余計なことを言って、議員辞職したり、信用失墜したりと、たった一言のために大騒動になる。詭弁ということも新しく政治家は学び、スルーする会話を勉強しないといけない。言葉で逃げることもできるし、いかようにも解釈できることもある。言葉でごまかし、それで政策の中身がないのは、話術にたけた詐欺師にも近いが、あまりにも単刀直入で、考えがその後に及ばないのが幼稚だ。

 

 バーナード・ショーのユーモアはわたし好きだが、有名なところでは、さる大女優から結婚を迫られ、彼女から、「私の容姿とあなたの頭脳を備えた子供が生まれたら素晴らしいとお思いになりませんか」と来たとき、返事に「しかし、ぼくの容姿と君の頭脳を持った子供が生まれたらどうしますか」と答えた。それはすごい侮辱だが、そのエスプリに笑える。

 

 わたしもブログで女とは書かないようにしている。男はそのままでいいが、異性のことはなるべく女性と書く。だけどいちいち高齢の女性とは書くとまどろっこしいので、おばあちゃんと書くのだが、そこで考えることがある。女性はどこからおばさんで、どこからおばあちゃんなのか。人によっては見た目若い人もいるだろうと、個人差はあって当然、わたしの知る女性も60を過ぎて孫もいるのに、見た目は40代という人もいる。わたしも若く見られるから、いちいちマイナカードを出して生年月日を見せないとシニア割にならないときがある。少年たちから見たら、30からもうおばさんで、40過ぎたらもう化石と昔はよく言われていた。いまはもっと若くなり、50代でもギャルの人もいる。美魔女流行りだ。線引きはなかなかできない。人の年を当てるのはクイズでも難問で、聴いてはいけないが、あの気になる人は本当はいくつなんだろう。