海外旅行にいつも一人でバックパッカーで行くから、みんなから英語はぺらぺらでしょうと誤解される。わたしは中学から英語は嫌いで苦手、通信簿は2のときもあり、テストは最悪、英語検定なんか受けたのか。そんなわたしでもなんとかなってきた。いまは翻訳機もあるが、それはまだ買っていない。そのうち買おうかと思う。随分と安くなった。1万円くらいであるが、気をつけないといけないのは、ワイファイに接続しないと使えないのはダメで、路上でも使えるものがいい。七か国ぐらいなら接続しなくてもいいものならいい。英語と中国語、韓国語、フランス語、スペイン語、ドイツ語だけ自由に会話できたらそれでたいていは会話ができる。

 翻訳機もよくなり、さらに最近では、スマホのギャラクシーの最新型であったか、翻訳アプリがインストールされていて、同時会話ができるのだとか。それなら通訳はいらない。スマホに向けて、日本語で話せば、相手の国の言葉で同時に流れる。相手も話した会話が即時日本語になって聞こえるというもの。それがあれば、どこに旅行しても外国語なんか話せなくてもいい。

 東欧を旅行したときは、タブレットのグーグル翻訳で、筆談した。アルバニアのホテルの奥さんとそれで互いに書き込んで、それが互いの国の言葉に変換されて出るから、言葉ではないが、トラブルが発生したときはそれで会話した。

 その前はパソコンやスマホもないときは、電子辞書を持って旅行した。カシオの百コンテンツが入った電子辞書には、海外の会話集があり、15カ国のホテルや税関も病院、ショッピングといった場面での会話文が入っていて、ホテルのフロントにその文例をクリックすれば、音声も流れる。それでイタリアに旅行したときは、イタリア語で、部屋は空いていますかと辞書が話してくれて、フロントの美人の受付が、おお、と笑っていた。

 

 そういう便利なグッズがどんどんと革新的によくなってきたので、外国語なんかできなくてもいい時代にはなった。それでもいちいち出して使うのがまどろっこしいので、翻訳しなくても、わたしの場合は中学レベルの英語片言と、ジェスチャー、時には津軽弁を交えて、身振り手振りでなんとか会話してきた。大学ではフランス語も専攻したが、不勉強で、英語よりさらに活用が難しく、アテネフランセにも少し通ったし、ラジオのフランス語会話も半年真面目にテキストを買ってやったのに、いやいやなのでうまくならない。

 

 外国では、日本人は英語がヘタというのが定説になっているとみえ、スペインでは、英語は話せますかと、観光地のガイドの女性がわたしに聴いた。A littleと言ったら、笑ってオーケーだ。アジアでも、イミグレで「仕事は?」と英語で聴かれて、首を傾げたら、女性の担当官が、怒って、「シゴト!」と日本語で叫んだ。なんだ、日本語が判るなら初めからそう言えよと、あちこちでバカにはされてきた。フィリピンでも、旅行会社のカウンターで、「セルラーナンバー?」と聴かれた。はっ? となんのことか。するとそこでも怒った口ぶりで、「ケータイ!」と日本語で叫んだ。

 別に英語が話せないことが恥でもない。なんとかなるものだ。それがまた楽しい。

 

 昨日の新聞で、英語能力を国別に調べた結果が載っていた。世界の113カ国のうち、日本は予想通り、下位のほうで、87位という。中国より下で、韓国なんか49位と上なのだ。語学はどうして日本人は苦手なのか。それは世界で一番難しい日本語という言語からの変換が難易だからではないのか。ベトナムなんか、すでに漢字圏から脱して、アルファベットを使っているから、英語に対するアレルギーもない。街中の看板はすべて横文字だ。フランスの植民地でもあったので、長い植民地時代から英語も自然と学校で習って、日常会話にも取り入れられる。フィリピンもスペインとアメリカの統治時代から、どちらの言語も使える人は多いのだろう。日本語の構文が、英語とは違って、主語・目的語・動詞の順が、中国では英語と同じ、SVOなので、同じ漢字圏でも違うのだ。われわれが漢文を習うときは、返り点で日本語に読み下すときは、ヲニニアッタラカエレと習う。鬼に会ったら返れ? 「を」と「に」に白文読み下しで会ったら返るというのは、読書なら、書ヲ読ムと日本語読みにすると教えられた。

 

 外国人がいま、日本に来て、この難しい日本語を仕事に就くために覚えるというのは大変な苦労と努力があると思う。われわれも、その逆で、ガラパゴスの日本から、外国語を習得する苦労はある。わたしなんか、いまだに津軽弁から標準語に変換できていない。それ以前の問題だ。

 TOEFLやTOEICなどサラリーマンでも取り組んで、英会話スクールは駅前留学と宣伝していたのも昔から。いまや幼稚園から英語を習い、小学校でも授業がある。われわれのときとは全然違う。これからの若い人たちは、違和感もなくすらすらと話せるようになるのか。ますます横文字氾濫で、われわれ老人はそのたびにグーグル検索で調べて、時代についてゆかないといけなくなる。