暇ではないが、毎日の家事が少し減ったので時間ができた。孫三人が、母親のところで晩飯を食べて、弁当もそこから持ってゆくようになった。炊飯器は二つあり、ひとつはわたしと息子が食べる玄米を炊いているが、孫娘のための白米も二号炊けば二日はもつようになる。下の娘は母親のアパートで暮らしているから、ここのところは顔も見ない。それで洗濯物も減ったし、掃除も楽になる。食費も助かるというものだ。息子とわたしの分しか作らない。

 

 また一人暮らしのときのように、あれこれと作るようになる。孫たちは食べてくれないが、息子とわたしのために作る。息子はそれが楽しみになり、何か甘いものが食べたいと、わたしの作るおやつを子供のように期待するようになる。四十面下げても子は子で、親は親なのだ。小さいときから、母親が出ていって、わたしが幼稚園から育てた。シングルファザーで、古本屋のときは、おやつもいつも手作りで、袋菓子など食べさせなかったのは、高くつくからで、ぎりぎりの生活費で三人の息子を育てた。菓子屋であったことが救いになる。

 

 最近はYouTubeで、簡単にできるお菓子など、見ていて、これは美味しそうだと、材料があればすぐに作る。姉は、よく面倒くさがらないでと感心するが、もとより料理は好きなのだ。男子厨房に入りびたるほうかもしれない。ただ、凝ることはなく、いい材料で一流のコックが作る一品というのは作らない。できるだけ原料が安く、それでいて、その辺のもので簡単に作れるものがいい。また最近は料理が趣味になる。

 

 わたしの知り合いの映像作家さんは、世田谷にいるが、何度か家にお邪魔したら、手作りどころかプロ級の料理を作ってフルコースをいただいた。アイランドキッチンに調理器具も本格的、それでネットでも紹介していて、そのうち料理本も出すとか。彼は芸術家であり、絵も描くし、音楽も作曲して、CDも発売している。終いには映画に取り組むのは、寺山修司のように多才だ。わたしも負けていないと、彼のところにクリスマス前にシュトレーンを作って持って行った。対抗意識があるわけではなく、触発されたのだ。

 

 最近作ったのが、酒粕にレーズンを入れてさらに発酵させた単純なおやつ。それは舐めると体にはいい。パンにのせてもいい。前に、ラムレーズンを漬けて、バターに混ぜてレーズンバターにしたが、それでは飽き足らず、生チョコのガナッシュを生クリームも入れて、ラムレーズン入りを冷蔵庫で冷やして、密かに舐めっていた。それが老後の楽しみになる。

 黄な粉も体にはいいので、豆乳とハチミツとで練って冷蔵庫で固めてスライスして食べている。最近の動画で紹介されていた、豆腐をホイップしたのに黄な粉とハチミツを混ぜて、タッパーに流しこんで電子レンジで6分という、実に簡単な黄な粉菓子を作ったら、それはやみつきになりそうな、どっしりとしたケーキになった。材料はすべて太らない、健康にいいものだけ使う。

 年末に柚子湯に入ったが、それも洗ってジャムにした。砂糖は使わず、オリゴ糖かハチミツだ。お湯にとかして柚子茶にして飲んだ。咳止めにならないかと。柚子味噌も作る。ふろふき大根に載せてもいいし、おでんにもいい。

 正月の切り餅も余っていたし、お供えもあるので、秋田のバター餅を作る。それは好きなので、よくやる。バターはいまは高いから、安いときに見つけて買ってくる。餅にハチミツと練りこんで羽二重餅のように柔らかく仕上げる。

 アイスもよく作るのは、息子と四歳児が好きでリクエストがある。フルーツ缶を上にのせて、シロクマくんと小さなタッパーにいくつも作って冷凍している。それと、やはりYouTubeで見た、どこか外国からのものだろうが、チーズもどきの実に怪しいのを作った。牛乳にコンスターチで沸かしてねろねろとさせ、それに塩とヨーグルトも入れて、牛乳パックに戻して冷蔵庫で固める。レアチーズみたいな味にはなる。

 パンもよく焼くが、カンパーニュのような素朴な田舎パン。先日はスーパーで1キロで300円と実に安いオーツを二袋も買った。保存食、非常食としてもいいので、何か災害のときにはいいだろうと、おいてあるが、それも使わないといけない。ケーキやパンに練りこんで使う。りんごも少し傷んだものが八百屋の店頭で二個で100円で売っていたのを買ってきて、アップルケーキを作る。うちの炊飯器はケーキというボタンがあるが、どうも炊飯器で焼くともちもちとして美味しくはない。ふっくらと焼くにはオーブンがいい。今は百円ショップでも菓子やパンの材料から器具が売られている。暇に任せて、今度は何を作ろうかと、オリジナルにも挑戦してみたい。