隣の中国での不動産投資の失敗から、高層ビル群がそっくりとゴーストタウンになったり、未完成のタワマンが林立するなど、異常な状態が続いて、大手の不動産会社が次々に破産している。日本でも不動産の不良債権や売るに売れない買い手のつかない不動産の面積が九州ぐらいあるのだとか。それがここにきてまたさらに秋田県の面積ぐらい増えた。30年もしないうちに空き家は3軒に1軒になるとか。それを新聞で読んで、すごい広さだと思う。確かに、地方では五軒に一軒が空き家で、都心でもオフィスビルががら空きとか、本当かどうか、新橋というより汐留にばんばんと建っている新しいオフィスビルがゴースト化しているとYouTubeで見た。家賃が高いのと、コロナで疲弊して飲食店も大手でないと借りられない。デベロッパーも大変だ。それでも虎ノ門の次は東京駅周辺だと、競うように超高層タワーが造られている。大丈夫かと思う。

 青森市もこの前帰ったときに、駅ビルが大きな建物で出来上がっていた。春にオープンするようだ。上のホテルは夏のねぶた祭前にオープするとあった。それと中三デパートの跡にできたスリーというショッピングタウンにも入って見た。センスはよく、青森も次第に都会になったという感じはしたが、人が入っていない。駅ビルもテナントはまだ全部決まっていないでの見切り発車になるのか。がらがらと空いた状態でオープンも恰好悪いものだ。

 駅前の新町商店街も再開発が進んで、大きなビルに集約させるように中心商店街の没落に歯止めをかけようと、どんどんと建っているが、果たしてどうなのか。相変わらず、人は歩いていないし車は走っていない。流れは変わらない。

 

 これからは家は買うより借りろで、不動産は財産にはならない。長い目で見ても、人口がどんどんと減るのだから、地価は下がるし、空き家、空き店舗はますます増えてゆく。アパート経営などしても誰も入居しなくなる。それでも次々に新しいアパートが造られてゆくのは、口車に乗った哀れな大家だろう。

 リゾート地でもかつての別荘が暴落していて、一億のマンションも10万円で売りに出されても誰も買わない。固定資産税のほうが高いのと、共益費や積立金が半分も住人が住んでいないので、残された人たちにどっと負担がかかる。安いからと買っても後に負動産になるから手を出してはいけないと警告されている。

 自分の代はいいが、息子たちにも迷惑がかかる。そういう不動産を購入しても、自分が死んだ後に遺産相続も放棄して、宙に浮いた物件ばかりになってくる。廃屋もそうで、崩れかかり、火災も出して責任問題もうやむや。相続人が判然としないし、分筆されて多すぎる物件で処分もできないありさま。

 前に、わたしは小金を貯めていたが、それで伊豆の海辺にリゾートマンションを中古物件でいくらでもあるから買おうかと見に行ったことがある。貯金でも十分に買える、50年も経ったいささか古い2DK80万円とかで買えるので車より安い。それで天然温泉がついてプールもある。ただ、海と街までは遠い山の上で、見晴らしはいいが、老後に歩けなくなったら、病院もないし、買い物難民にもなる。車も乗れなくなったらどうしようもない。近い将来のことも考えないといけない。

 

 うちの両親は青森市の郊外の浅虫温泉にわたしが家を建てたとき、東京から呼んで、一緒に暮らしたが、そのときはおふくろは69歳で親父は73歳だった。いまのわたしと同じくらいで元気だった。それが15年もすれば、ボケで歩けなくなり、病院も遠いので、通えなくなり、それで市内の賃貸マンションに移り住んだ。家は売ってしまい、それからはずっと賃貸だ。気楽でいい。不動産などこの先も買うことはない。息子がいま青森の家を売りに出しているが、いまだに買い手がつかないで、ローンを払い続けている。誰も住んでいない空き家にローンの支払いと固定資産税も無駄だ。売れるまでに家も傷む。売値は下がり続ける。それはまさに不動産地獄だ。いま息子は古本屋の破産のときに個人破産もして家も差し押さえてもらえばよかったと悔やむが、そのときは義母さんが反対して、できなかったのだとか。その義母さんも死んで、まさかの家を手放すことになろうとは思いもしなかった。人生は何が先にあるか判らない。能登の地震でも新築の家も壊れて流されて、地震保険を掛けていなかったら、ローンの残だけが残る。被災者にはたまらない地獄が待っている。