私が住む地域に隣接した地域に「日本環境株式会社」という民間業者による産業廃棄物最終処分場の建設計画が持ち上がり、地元や周辺の町内会などが反対期成会を結成して建設反対の運動を始めました。

 

 処分場は千歳市から安平町追分へ通じる道道226号に隣接する山林約77ヘクタールに建設され、6か所の埋め立て場を設置する計画です。2027年に事業開始、60年間にわたって使われるということです。

 

 持ち込まれる廃棄物は廃プラスティック類、瓦礫、金属やゴム、ガラス等のくず、汚泥、廃油、木くず、鉱さい、動植物性残さ(どんなもでしょうか)など多種類にわたります。

 

「日本環境」という会社はどんな企業なのかネットで検索してみたら同名の会社は東京都や大阪府、札幌市など全国に18あります。

 

 千歳市に産廃処分場を計画しているのは札幌市清田区の会社のようで、ホームページなどはないので詳しい企業内容は分かりませんでした。ただ「国立研究開発法人科学技術振興機構」が運営するJ-GLOBALというサイトにはこの会社の事業内容は「特別管理産業廃棄物収集運搬業」となっています。

 

 廃棄物処理法によると「特別管理産業廃棄物」というのは、「爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有する廃棄物」のことで、通常の廃棄物よりも厳しい規制が行われています。例えば廃油、廃酸、廃アルカリ、感染性産業廃棄物、廃PCB、PCB汚染物、廃水銀などを指しています。実際にこれらが計画されている処分場に埋め立てらるかどうか不明ながら、一般的に言う産業廃棄物とは異なります。

 

 処分場予定地は山林で、周辺は千歳市有数の農業地帯です。周辺に与える影響が懸念されます。

 

 まずこの場所は嶮淵川の上流にあり、排水は嶮淵川に流されます。嶮淵川は千歳川の支流で、千歳川は石狩川の支流でもあります。ですから心配されるのが下流地域の水の汚染です。下流の長沼町などは稲作地帯だし、長沼町や南幌町、江別市は飲料水に利用しています。

 

 もちろん垂れ流しにするようなことはせず、きちんと汚染水対策をしなければ認可されないでしょうが、事業者が倒産したり事業を中止されたりしたらどうなるでしょうか。世間にはそのような事例はたくさんあります。そうした事態にならなくとも60年たった以降も汚染水対策がきちんと行われる保証があるのでしょうか。対策継続には費用が掛かるのです。「あとは野となれ山となれ」ではたまったものではありません。

 

 廃棄物が増えるに従って悪臭やごみの散乱、鳥獣による食害による環境の悪化も心配されます。廃棄物を運搬するトラックの騒音問題も沿線住民には不安です。自然災害による廃棄物の予期せぬ流出も考えられます。地域で生産する農産物の風評被害も懸念されます。

 

 公設の処分場なら監視の目も届くし長期的にきちんとした対策が期待できます。しかし民間の会社では、計画では十分な対策をうたっていても、営利が目的ですから採算優先です。どこまで約束が守られるのかも分かりません。

 

 用地の買収はすでに終わっていますけれど、一つ大きな問題があります。北海道のルールでは処分場から半径500㍍以内に居住している人の同意が必要とされていますが、事業者は範囲内の3軒の合意を得ないまま手続きを進めています。

 

 道は産廃処分は10年間は困らないとしているようですが、千歳市では半導体製造企業のラピダスを皮切りに関連企業の進出が相次ぐとみられていて、事業者は新たな産廃処分場が必要だと考えているといいます。事業展開のチャンスということでしょうか。

 

しかし強引な手続きの進め方から見ても、懸念材料が多すぎます。将来に禍根を残さないようにしなければなりません。

 

 

処分場が計画されている協和地区の山林(期成会のホームページから)

 

 

処分場周辺の航空写真