自民党の裏金問題は、問題の本質に迫ることなく幕引きとなりそうです。事件が明るみになった時点では今度こそ「政治と金」の問題に根本的にメスが入れられると期待したのですが、昨今の動きをみると「派閥解散」に収束して終わりそうです。


 東京地検特捜部は19日、清和政策研究会(安倍派)と、志帥会(二階派)の会計責任者ら2人を政治資金規正法違反で在宅起訴し、宏池会(岸田派)の元会計責任者を略式起訴しました。裏金問題ではこのほか二人の議員が逮捕され、起訴の見通しで、問題の中心ともいうべき安倍派の幹部はみな不起訴です。

 

 会計責任者は「独断でやった」議員は「知らなかった」と口をそろえた結果のようですが、それを打ち破れなかったのか、それとも打ち破ろうとしなかったのかは分かりませんが、国民の納得を到底得られないでしょう。このままでは「大山鳴動して鼠一匹」の感を免れません。

 

 多くの方々が指摘するように、常識的に考えて派閥の会計責任者がパーティー券の売り上げの一部を裏金化するように派内に勝手に指示することが可能でしょうか。しかもそれを幹部議員が知らなかったというのです。また議員が知らないうちに処理されていたと主張する例もあるのです。もしそれが事実ならそんな組織が国を動かしているということに慄然とします。

 

 検察庁はこれまで告発された「桜を見る会」や「もり・かけ」問題などで立件しない例が多々あります。

 

 2014年に政治団体の不明朗な会計や政治資金収支報告書の虚偽記載が発覚した小渕優子氏のいわゆる「ドリル優子」事件では、元秘書2人が政治資金規正法違反で有罪とされただけで、本人は罪を問われていません。

 

 安倍政権の中枢の一人だった甘利明氏の例では「甘利大臣や秘書に賄賂1200万円を渡した」とする建設会社社員の証言があったにもかかわらず、結局うやむやに終わっています。どうも検察は議員本人の立件は得意ではないようなのです。


 もし検察が力を尽くしても立件できなかったというのならその法律をすぐに改めなければなりません。派閥など解散してもほとぼりが冷めたころゾンビのように生き返ってしまうのは過去の例からも明らかです。パーティー開催の自粛もしかりです。

 

 またパーティー券購入という手段で企業や経済団体が政治家に結び付き、自分たちに有利な政治をさせていた図式も示されたと思います。

 

 今回の事件をきっかけに法律改正などに漕ぎつけるのであればよしとできるのですが。

 

 検察頼みだけでは限界があるのは明らかで、国民自身が真っ当な政治が行われるように行動しなければならないでしょう。