十三回忌 | ~心のやすらぎ~

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高野山真言宗の僧侶による法話ブログです。
毎月1話掲載してまいります。

 仏さまの世界は、それぞれ如来、菩薩、明王、天と分かれており、その中で最も高い位にいらっしゃるのが如来さまです。 さらにその如来さまの中でも一番大切にされているのが大日如来さまです。観音さまや阿弥陀さま、お不動さまなど、すべての仏さまは大日如来さまの一部なのです。

 

 日本の仏教では亡くなられた方のために、一周忌や三回忌など節目ごとに御供養をいたします。各年忌法要にはそれぞれ本尊さまがいらっしゃいますが、大日如来さまは十三回忌の御本尊さまになります。

 

 今年は東日本大地震から十三回忌となります。先日、宮城県南三陸町旧防災庁舎前にて、十三回忌の法要を厳修すべく、道内の高野山真言宗青年教師会の有志にて、東北へと赴きました。

 途中、立ち寄った、名取市震災復興伝承館では、12年経った今でも震災当時の話をすることが出来無いと胸を詰まらせる男性や、津波で家やお隣さんを亡くされた女性に会い、当時の凄まじい話を聞かせて頂きました。

 何度かボランティアや追悼などで被災地を訪れておりましたが、その都度復興が進み、久々の訪問となった今回は、更に街の様子が変わっていました。

 

 辛い思いを抱えられた方々のお話をきき、時間の経過と共に変化した街を見て、胸が締め付けられる思いと、生かされている己の存在を再確認し、「自分自身のいのちを大切に生きていかなければ」と思いました。

 

 高野山真言宗の基調テーマに「生かせいのち」があります。 授かった大切な命。 この命をどう活かすか。 震災から十三回忌を迎える今年、亡くなられた方々に思いを寄せ、今一度、生かされている自分自身の存在を考える機会にしていただければと思います。

 

 南無大師遍照金剛

 

本別町 密厳寺 福家 立雄 僧正