三大秘法抄に注目すべき文がある。
「此の戒法立ちて後、延暦寺の戒壇は迹門の理戒なれば益あるまじき」である。
事の戒壇の建立の後に「益(やく)」がなくなるとする。ここでの益は「成仏の益」と考えられる。
浅井氏の考えによると、延暦寺の戒壇にまだ利益があることになる。
参考 三大秘法抄1595
「戒壇とは、王法仏法に冥じ、仏法王法に合して、王臣一同に本門の三秘密の法を持ちて、有徳王・覚徳比丘の其の乃往を末法濁悪の未来に移さん時、勅宣並びに御教書を申し下して、霊山浄土に似たらん最勝の地を尋ねて戒壇を建立すべき者か。時を待つべきのみ。事の戒法と申すは是なり。三国並びに一閻浮提の人懺悔滅罪の戒法のみならず、大梵天王・帝釈等の来下して踏み給ふべき戒壇なり。此の戒法立ちて後、延暦寺の戒壇は迹門の理戒なれば益あるまじき」