こんにちわ。北見尚之です。

ダイソーが新業態として始めた300円ショップ「Standard Products」の店舗数が伸びているようです。
1号店のオープンは2021年3月で、23年は月平均5店舗以上のペースで増やし、現在は100店舗を達成しました。
各店舗にはダイソーの面影はなく、シックな雑貨店といった印象を与える店舗になっています。

21年3月に1号店を渋谷マークシティでオープンした際は話題となり
「無印良品に似ている」といった意見もありました。

商品のラインナップは、食器類やキッチン用品、収納用品や文房具など多彩な雑貨類が陳列され、
そのどれにも一定の品質を感じさせる品揃えです。
少なくとも一般的な100円ショップで見られるような、「機能はあるけど安っぽい」ような商品はあまり見かけられず、
皿の場合、一部の100円ショップでは白色のみの商品しか扱っていないこともあるが、
Standard Productsでは白の他、青や灰色など色のレパートリーもある程度豊富で、
商品の7割が300円(税別)でアイテム数は約2000で、そのほとんどがオリジナル商品です。

21年3月に1号店をオープンした後、22年末時点では約30店舗しかなかったが、
23年は月平均5店舗のペースで拡大し、年末時点で約100店舗となりました。
新業態はたいてい数店舗を展開し、見込みがなければ撤退するのが通常のやり方ですが、
これだけ伸びていることから、この300円ショップにある程度の手応えがあったのでしょう。

ちなみに同社は300円均一業態として他にも「THREEPPY(スリーピー)」を展開していて、
THREEPPYは30~40代の女性をターゲットにしたもので、食器や洗濯用品、バッグ類など「かわいい」柄のものが多い。
こちらは約9割がオリジナル商品であり、18年に1号店をオープンし23年9月時点で店舗数は400を超えています。

ダイソーが300円業態に進出した背景には、300円ショップの先導役ともいえる「3COINS」の成功があるのかもしれません。
3COINSはアパレル事業を主力とするパルグループホールディングス(大阪市)が1994年に始めた業態で、
生活雑貨やインテリア雑貨を扱い、Standard Productsと同じくほとんどがオリジナル商品です。

21年2月期に200店舗を突破した後、23年9月には300店舗を達成しました。
3COINS事業の売上高は20年2月期は257億円だったのが、23年2月期には489億円とコロナ禍の中でも成長が著しい。
コロナ禍における300円ショップ業態の成功を見たダイソーが、同業態の拡大を急いだと推測されます。

同じく3COINSに触発されたのか、無印良品も同業態に進出しています。
無印は22年9月に500円以下の商品をメインとする「無印良品 500」を展開し始め、
駅ナカなど日常的に来店しやすい場所をターゲットに出店しています。
500円以下の日用品・消耗品が多くを占め、その他化粧水など女性向けの商品も取り扱います。
厳密には300円ショップではないが、100~200円台の商品も多く、
全体的な価格帯を考えれば300円ショップと似た業態です。

3COINSに引き続き、各社が300円ショップ業態に進出した背景には100円均一の限界もあると考えられます。
非上場のため大創産業の業績は確認できないですが、競合の業績を見る限り状況は厳しいことが分かります。

巣ごもり需要などで売上高こそ伸びているが、利益は著しく目減りしていて、
原材料費や燃料費が上がり続けている中、売価を100円に固定していることが大きな理由でしょう。
ちなみにキャンドゥも同じく売り上げが伸びたものの、利益は圧迫されています。
こうした中で、伸び続ける300円ショップ業態に勝機を見出したと考えられます。

Standard Productsは現在、全国的に出店を進めており、地方モールでの出店が目立ちます。
現状ではStandard Productsの競合は、同じく全国に出店する3COINSといえますが、
同業態での成功が見込まれれば無印良品 500も地方への出店を進め、他業態からの参入も起きるかもしれません。

今後は伸びている300円ショップ業態でシェア獲得競争が激化していくのかもしれませんね。

北見尚之