こんばんわ。北見尚之です。

コロナウィルスの蔓延によって日本でも求人数が大きく減少しました。
しかし、2020年6月に底を打ってから求人数は緩やかな回復基調にあり求人数は着実に増えてきてはいるものの、コロナ禍前の水準には戻っていません。
ただ、今後経済が回復するに伴い求人数も増加していくと考えられています。

一方で、日本の人口は減少の一途をたどっており、求職者の母数が減少していけば、
今後の労働市場は採用する会社側にとって厳しく、求職者側にとってはチャンスが広がることになります。

会社としては、これまで通りに採用を維持したい場合には求職者を今以上に引きつける工夫をしなければなりません。
例えば給与水準を上げたり、休暇を増やしたり、テレワーク推進やフレックス導入など働き方を柔軟にしたり教育や研修制度を充実させるなどです。

また、採用基準を見直して間口を広げることも必要し、学歴や職務経験などの条件を見直したり、
就業条件に制約がある人材層からも積極的に戦力化を進めたりと、間口を広げられる余地はまだまだ多くの会社の中に眠っているはずです。

会社が社内外の関係者から、紹介を受けて採用するいわゆる縁故採用は、厚生労働省の雇用動向調査によれば18年に転職した人の入職経路で、
縁故採用は2位となっており、それだけ多くの会社で用いられている手法なのです。

実際、縁故採用は会社にとってさまざまなメリットがありまずメリットの一つは、効率的な採用が可能になることです。
社内の事情に詳しい関係者からの紹介であれば、その時点で一定の信用性が担保され、社員など会社の関係者が紹介したいと思った人材は、
その時点で既に採用基準をある程度クリアしている可能性が高いといえます。
また、求人広告費用の節約ができ、求人広告に出稿する費用は不要になり、選考基準をクリアする確率の高さと費用の両面において効率的です。

2つ目のメリットは、高い定着率が期待でき紹介してくれた関係者の手前、縁故採用で入社した社員は安易に退職する心理が生じにくくなります。
そのため、採用する会社としては自社の戦力として長く働いてくれることが期待できます。

3つ目は、関係性の強化が期待でき縁故採用で入社した社員を紹介したのが自社の社員であれば、
入社した社員も紹介した社員も互いの関係性を大切にする気持ちがある分、会社への帰属意識もより強く感じられるようになることが期待されます。
また、取引先など外部の関係者からの紹介で入社したのであれば、これまでの関係性をさらに親密なものへと高められることが期待できます。

こうした採用する会社側のメリットに対し、縁故採用された社員の側は、個人的なつながり(コネ)を利用して入社したと見なされ、
見方によっては社内関係者から良い印象を受けない可能性があります。
厳しい選考を勝ち抜いて入社を勝ち取った同僚たちは、コネと言う名の「裏口」からズルをして入社したと受けとりかねません。
ところが、近頃は社員が友人や知人に声をかけるリファラル採用と呼ばれる採用手法が広がってきています。

リファラルも広義では縁故採用の一種ですが、今では「縁故採用」という言葉が使われる際、コネ採用だけを意味しているのか、
リファラルなどを含む広義の意味なのかが分かりづらくなってきています。

誰の紹介なのかや、採用フローのどこまでが免除になるかなどに応じてかなり印象が変わってきます。
リファラル採用でも採用フローは応募から始まり、書類選考や面接を経て採用へと至ります。
リファラル採用の場合、紹介する人は基本的に自社の社員で友人や知人に応募を勧めて本人が同意した後は、他の一般応募者たちと同様に採用フローに乗ることになります。
ただし、社員が勧誘した時点で一定の基準を満たしていると見なし、書類選考や一次面接などを免除して、いきなり人事や役員と面接するところからスタートするケースもあります。
スタート地点がどこになるかは、その人材の応募職種やポジション、会社方針などによって変わるため明確に定まっておりません。

一方、コネ採用の場合は基本的に採用前提です。紹介する人は自社内の重役であったり得意先であったりと採用する会社より基本的には立場的に高い存在になります。
形式的に面接をすることもありますが、よほどのことがない限り不合格になることはありません。つまり、コネ採用の場合は実質的に選考は行われないということです。

このように、縁故採用でもリファラルとコネではかなり実態が異なります。
コネならほぼ採用確定なので大変な思いをして就職活動する必要がありませんが、リファラルの場合は面接などの選考を経るため不合格になることもあり得ます。
会社側はリファラルでもコネでも、3つのメリット「効率的な採用」「高い定着率」「関係性の強化」はいずれも当てはまります。

ただし、コネ採用の場合、時に実力が伴わない人材も採用しなければならないことがあります。
求人広告費などの金銭面でコストがかからない変わりに、実力不足の社員を押しつけられるという人的コストがかかる可能性があります。
また、コネという特別待遇で採用された社員へのやっかみや周囲の視線など、入社後も何かと気を遣わなければならない事象も発生するかもしれません。
しかし、得意先などとの関係性を深める政略的な効果は高い可能性もあります。

リファラルはコネに比べ、縁故採用が有する3つのメリットをバランスよく享受できる手法だといえ近頃リファラル採用が広がりつつある理由の一つです。

どんな採用手法にもメリットとデメリットがあり縁故採用もしかりです。
うまく運用すればさまざまなメリットを享受できる手法ですが、透明性が低く第三者の眼から遮断された状態で運用されれば悪意に利用されてしまう可能性は高くなります。
ただし、縁故採用自体が組織をダメにするわけではありません。誤った運用と悪用する者こそが諸悪の根源となるのです。

北見尚之