小説、普通の暮らし~過去の話はここから見て下さい。
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この作品はフィクションです。実在の人物、団体、事件などにはいっさい関係ありません。
ーー普通の暮らしを持続させるためには、相当の努力が必要である。
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北九州市との公開討論会。
Γがれき受け入れ反対」という市民運動を引っ張る中心人物の交代劇が、この頃から始まっていることに誰も気づいていなかった。
真子もがれき受け入れ反対運動の真っ只中にいて、今まで見たこともない光景ばかり見せられて言葉が出なかった。
北九州市役所と
荒れに荒れた公開討論会の翌朝、深田からメーリングリストにこんな投稿があった。
昨日の交渉、お疲れ様でした。
最大の成果は、北九州市が回答を文書にして配付したことでしょうか。
どこを崩せば、がれき焼却が止められるか?
ポイントは2つです。
1つは、広域処理しなくても現地で処理できることを証明すること。
2つめは、バグフィルターでは放射能を100%除去できないことを明らかにすることです。
この2つさえクリアーできれば勝てます。(がれきは止まる)
残念ながら、バグフィルター、放射能・線の健康への影響、放射性廃棄物についての取り扱いは、時間切れで議論できなかったので、2つ目は次回の討論会で議論します。
ただ、昨日の(討論会の)終わり方が非常に拙かったので、市役所側が次回の公開討論会をすぐに開いてくれるかどうか心配です。
さて、昨日の討論会終了間際に要望書を20分近く読み上げ、結果的に紛糾させた町田さんと外山さんは、何がしたかったのですか?
要望書を読み上げただけですか?
私には、町田さんと外山さんが何をしたいのかが分かりません。
あなた方が20分も読み上げたので、討論会の最後が紛糾し、私が討論会終了時に読み上げ用に用意した文書は、あの騒然とした中での読み上げになり、誰も聞いてませんでした。そして公開討論会の目的の中で一番大切な北九州市との次回交渉の約束も出来ずに終わってしまいました。
昨日お二人で20分近く読み上げた要望書ですが、私と黒川さんが時間をかけて交渉の場を作った討論会ではなく、別個に提出すべきだと思いませんか?
私は、あの騒動が原因となり、二度と公開討論会が開かれないかも知れないことを心配してます。
お二人には、昨日読み上げた要望書の内容、今後の方針に対する説明をお願いします。
1、市民検討会を開いて何をするつもりですか?何がどう明らかになれば、がれきの受け入れが止められますか?
2、昨日読み上げた要望書の中にあった、北九州市の検討会が無効であるという訴訟を起こして、何がどう変わりますか?
まず、この2点についてお答えください。
試験焼却を止めるなら、仮処分申請でしょうが、その場合も、試験焼却がどう北九州市民の命を脅かすかを証明しなければなりません。
裁判でその作業をするよりも、あまり詳しくない北九州市を相手にした方が、勝算ははるかに大きいでしょう。
誤解のないように言っておきますが、私は、市民検討会をやることにも、裁判をやることにも反対ではありません。
誰が何をやろうと自由です。
しかし会で議論して決定したことでない場合、少なくとも、その前後のいきさつなり、説明をするのは必要でしょう。
それは方針を提起する上での責任です。そこのところは理解してください。
深田
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まあ、深田の言う事は、もっともだ。
裁判は少なくとも一年以上かかる。Γ判決が出る頃、既にがれきは燃やされてがれきはない。」という笑い話になってしまう。
深田が言うように、裁判よりも、北九州市を相手にした方が、勝算ははるかに大きい。
あと、真子も昨日の討論会の終わり方は拙いと感じた。
深田の言う通り、昨日の討論会終了間際の紛糾は、市役所側に次の交渉をしない口実を与えてしまった。
……
でもね、討論会を開かせた深田と黒川の言動もなんかはっきりしなかったのも事実で、普段雄弁な黒川は昨日の討論会で殆ど発言しなかった。
公開討論会の前後に言っていた深田の話を振り返ってみる。
色々ツッコミどころ満載だ。
深田さんの言い分は、この話し合いが住民の側で納得できなければ、試験焼却は進まない、
ということだった。
何度も公開討論会を開かせて、がれきがなくなるのを待つんだとさ。
だから町内会の反対や反対署名がなくても、あまり反対運動には関係ない。説明が終わらないうちは、試験焼却出来ないと。
んー、、そんなに簡単に試験焼却が止まれば苦労しない。
やはり、深田、寝ぼけてます。
北九州市との討論会終了後、内輪の話し合いがお開きになりそうなところで
Γそこのところ(説明が終わらないうちは試験焼却しない)ちゃんと北九州市から確約とったんですか?」って聞いたんです。
Γさっき、ちゃんとやらない(試験焼却)って言ってたやん」だって。
北九州市環境局課長梶原は、机バンバン叩きつけながら、Γ試験焼却する!がれきは燃やします!」って言ってたやん。
私、直ぐ電話で梶原課長に、Γ深田さんと試験焼却しない話になったんですか?」って聞いたら、
Γそんな話してない」と。
結局やるんですよ。試験焼却。
深田、何言ってんの?って感じ。
住民側を丸め込んでるのは、北九州市役所だけじゃなくて、深田もだ。
こんな深田の燻し銀のような働き(おかしな言動)もあり、
討論会終了時の不自然な要望書(鈴木弁護士作成)読み上げや、要望書の内容についての検証を誰一人しなかった。
それどころか、深田への不信感が膨らんだせいで、漁協に働きかけたり、訴訟をちらつかせる町田のアクションに期待する人が増え、新しいヒロインを支持する流れになっていった。