小説、普通の暮らし~過去の話はここから見て下さい。
この作品はフィクションです。実在の人物、団体、事件などにはいっさい関係ありません。
ーー普通の暮らしを持続させるためには、相当の努力が必要である。
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お話会の出張先は、
9条の会
とか、
下関の何とか教会とか。
3月末から3日連続開催したお話会の参加者たちが、知り合いにも聞いて欲しいと、個人が知り合いを集めた会場だったり、
あと、古川康太という、前回のお話会を聞きに来た、無職(パートナーが心理学の大学講師)のパパさんが、元専門学校だった自宅を無償で、お話会のために解放してくれた。
最初のお話会より小規模だったが、2、30人ぐらいが集まり、そこに参加した人が、また知り合いに伝え、何度もお話会が開催された。
延べにしたら、100人以上だった。
最初のお話会も3日で100人ぐらいの参加者だったから、たった1ヶ月で200人以上の人達に、放射能汚染のある場所から九州に逃れてきた避難者達の話を聞いてもらえた。
それとは別に、
3日連続開催したお話会で真子の話を聞いた人から、直接友人にも話して欲しいと、予定していたお話会とは別に、真子だけのお話会も複数行った。
予定されていたお話会の話し手を取りまとめたのは、関東からの自主避難者外山さんと北九州在住の主婦町田さんだった。
(child of the future主宰の黒川は、お話会自体を余計な活動と言っていたので、ここには関わらなかった。)
真子はバイトもあり、全てに行くことは出来なかったが、バイト終了後やバイトの休日返上で話した。
本当に、
大成功に見えたお話会なのだが、
真子は焦っていた。
何故なら、真子は地元の町内会を動かしたかったので、署名を口実に参加者に町内会役員やそこに近しい人と繋がりがある人を探したが一人も捕まらなかったからだ。
Γ町内会を巻き込めないと、いくら人数が増えても烏合の衆でオワル」
そう思った理由は、
真子が福島で見た絶望があったからだった。
福島第一原発が爆発した後、たくさんのデモがあったが、何千人集まっても、何万人集まっても、
福島は変わらなかった。
避難の権利も得られなかったし、
原発もなくならなかった。
真子は、数じゃ変わらないことを知っていた。
今、お話会で100人、200人集まったことは嬉しい。
だって真子ががれき受け入れを止めようと思った時は、たった4人しかいなかったんだもん。
署名は集まるけど、
その先に行けない。
………………………あーどーしよう。
本当にわからない。
真子は、慣れないスマホで
またまたネット検索の毎日が始まった。