小説、普通の暮らし~過去の話はここから見て下さい。
この作品はフィクションです。実在の人物、団体、事件などにはいっさい関係ありません。
ーー普通の暮らしを持続させるためには、相当の努力が必要である。
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真子は、長野由子に紹介してもらった沖縄に住む議員秘書に電話した。
Γあ、石田さんですか?
私、長野由子さんから石田さんを紹介して頂いた本田真子といいます。
早速ですが、石田さんが沖縄でがれき受け入れを止めたと聞きまして、方法を教えて頂きたくて連絡しました。」
Γあー、本田さんね。
長野さんから大体の状況は聞いてます。
大変ですね。
共産、社民まで賛成とは、
北九州、腐ってるねー。
オレらのやり方で、そっちのがれきが止まるかどうか分かんないけど、
とりあえず、出来そうなこと言ってみるから、メモして~いい?」
Γあ、(メモの準備)オッケーです。
お願いします!」
Γ先ずは、今回のがれき受け入れは、首長が止めるって言えば止まるし、やる!って言ったら受け入れちゃうの。
だから、
議員…北九州市議会はダメだけど、
福岡県会議員や、衆参議員にアプローチして、首長に考え直してもらうような世論を作るの。
要望書とか声明文の提出する時は、新聞社やテレビ局に一応(要望書や声明文を)投げ入れて、あわよくば記者会見するといいんだ。
そうすれば、
多くの人に知れ渡ることになる。世論を動かすってこういうことよ~いい?できる?」
Γな、なるほど。議員はどのあたり~というか、何党がいいんですか?
私、まったく、政治や政党を知らなくて…
というか………
単純に原発反対って共産党か社民党カナ?って思ってたんだけど、
なんか、北九州だけが特殊なのか、わかんないけど、
原発を止めるとか、
放射能汚染を食い止めるとか、
興味も情熱もないように感じて、
わからなくなってしまったんです。
何かアドバイス下さい。」
Γ分からないと言ってるけど、
本田さんは、ちゃんと感じているじゃない?
本質的なことにかなり近いよ。
共産党や社民党は本気で原発反対してないっていうのは、当たらずとも遠からずかも知れないよ。
やはり、今は民主党議員に当たっていくしかない。人によっては、ちゃんと聞いてくれる議員もいるし。九州中の議員にあたってみな!
一人でも応援してくれる議員が見つかったら、その先のこともできるし。
あと、行き詰まったら、何時でも連絡して~」
Γあ、わかりました。
やってみます!
本当にありがとうございました!
頑張ります!」
真子は、石田さんのアドバイス通り、
次の日からバイト終了後、
議員の事務所が開いていると思われる夕方まで毎日毎日九州中の議員という議員に、片っ端に電話した。
結果…
散々でした。
議員の中には、
牧師や町内会役員と同じ言葉を真子に浴びせた議員もたくさんいた。
民主党が今回のがれき広域処理を進めてるんだもん、説得なんか無理だよね。
共産党と社民党は既に電話した。
原発には反対だけど、放射能汚染の拡散は反対しなかった。
全員駄目…
真子が電話した民主党議員の中には、
福島第一原発の事故ってことすら分かってなくて、福島第二原発の事故って言っていた人もいた。
議員の中には、
Γあのねー、議員にはあんまり出来ることないの。」
と、頼りない言葉があった。
また、一人だけ、
Γたとえ、私ががれき広域処理に反対しても、市長の権限は絶対だから、議員には何の権限もないし、ましてや止めることなんか出来ないです。」
って言ったのを聞いて
真子は、議員に権限がない?
北九州の全会派一致で広域処理の賛成で、広域処理をするというのが、どういうことかわからなくなった。
真子は、自民党以外の全ての議員に電話して、
全滅だったことに暫く茫然とした。
真子が避難場所を探しているとき、偶然見たテレビの国会中継を思い出した。
がれき広域処理を言い出したのは、
自民党の谷垣だ。
谷垣が質問しているのをぼーっと聞いていた。がれき広域処理って、福島の近くじゃなかった。遠く九州まで運ぶことだった。
もう、電話してないのは自民党議員ぐらいだ。
原発を推進してきた自民党しか残ってない。
何だ…
マトモな議員はやっぱり
一人もいなかったのか。
一人ぐらいマトモな議員がいるって思った自分を反省した。
あーあー。
避難生活で大変なのに、
携帯電話で長電話してしまった。
来月の携帯料金のことを考えてると、
頭が痛い。
あー、ホントお金も時間も損した!
議員はダメだ。
バカばっかりだ!