小説、普通の暮らし~過去の話はここから見て下さい。

http://ameblo.jp/kitakyu-mamoru/theme-10100828412.html

この作品はフィクションです。実在の人物、団体、事件などにはいっさい関係ありません。
ーー普通の暮らしを持続させるためには、相当の努力が必要である。

………………………………………………

お話会に来る人に、町内会の署名をお願いするまで、紹介を待っていては間に合わない……

自分でも動かないと…


そう思ったが、

既に真子の近所は、民生委員と話してさんざんな目にあったばかり。

やはり、紹介があると、スムーズだし、

話を聞いてくれる確率が上がる。


急がば回れ…か………


Γでも早くしないと、間に合わない……」

冷静に考えると

石巻市とがれき処理の契約を交わされる前に、広く放射能汚染の現実を遠く離れた北九州の人達に広めることは、絶望的だった。

でも、真子は背水の陣で福島から避難して来たので、

絶望的な状況でも怯まなかった。



黒川さんには止められたけど、


真子はバイトが終わった後、毎日近所でチラシを配布し、署名をお願いした。

でも、民生委員や町内会長の表札が出ている人達は、まるでシナリオでも読むように同じ台詞を真子に吐いた。

Γ福島から出てこれただけで、感謝しな!」

Γ人でなし!!」

Γ自分だけ助かればいいのか?!!」

Γ福島は自業自得!

私は宮城の人達を助けてあげたいよ。」

Γ福島の避難者はワガママだ!帰れ!」

Γあんたの子どものことなんか知らないよ!

死ぬなら勝手に死にな!」


○○教会の牧師が言った言葉を

真子は近所の町内会の役員から浴びせられた。


これは……おかしい……

こんなにみんなが同じ台詞って、

何だ???

普通、もう少し表現ぐらい変わるよね。

台詞……台詞だよ。これ。

ここまで同じだと、北九州中の町内会役員の中で示し合わせて同じ言葉を話しているとしか思えなかった。

やり方変えなきゃ!

んー、でもどうやって?

市民運動なんか興味もなかった真子は、やり方がわからなかった。


クタクタになった真子だったが、夜、いわきで一緒に放射能汚染と戦っていた長野由子に電話した。


Γ久しぶり!真子さん元気?」

Γ由子さん、久しぶり!

元気だよ。

北九州のがれき受け入れ止まらないや。

署名運動すら、誰の協力も得られない状況なの。

なんか、アドバイスが欲しいな。」

真子はいわきで市民派議員の片腕だった長野に、北九州の運動の様子を全て話した。

Γんー、議員回りも署名も協力者を得られないのか……厳しいね。

あのさ、真子さん、

私の知り合いで、沖縄の民主党議員の秘書がいるんだけど、その人なら、何かアドバイスできると思う。


沖縄に来るがれきを止めたって言ってたし。

携帯番号教えるから、

連絡してみ?」

Γえー、がれき止めた人がいるのか!

教えて、教えて!

連絡する。」

Γオッケー、

頑張れ!

でもあんまり頑張り過ぎないでね。

真子さんが心配だわー。

無理してるんじゃないかと思って。

私は何時でも真子さんの味方だからね。

何かあったら、また連絡してね」


Γうん、わかった!ありがとー!」

がれきの止め方がわかるかも!

がんばろー!!

目の前がパァーっと明るくなった真子は、沖縄の議員秘書に電話した。