小説、普通の暮らし~過去の話はここから見て下さい。

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この作品はフィクションです。実在の人物、団体、事件などにはいっさい関係ありません。
ーー普通の暮らしを持続させるためには、相当の努力が必要である。

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北九州市は市議会の全会派一致(社民党、共産党までも)で石巻のがれきを受け入れに賛成した。

完全にΓ全会派一致」ってのに騙されたのだが、この時の真子には何の知識もなかったから、反対署名ぐらいしか思いつかなかった。

ただ、闇雲に署名を集めても署名は紙屑になることは知っていたので、地区や自治会を通して署名を集めたかった。

そのためなら、何度も各町内会に足を運び、真子が福島で見たことを伝えたいと思った。


しかし、頼りにしていた浅田さんから協力を断られ、北九州中の○○教会の協力も絶望的になり、

いよいよ、自分で一軒一軒飛び込んむしかないと思い、チラシを作り近所に配布した。

そんな中、3月末に開催したΓひなん者お話会」を聞きに来た人の中から、お話会の出張の問い合わせがあるという事で、child of the futureの外山から連絡があり、今後の事を話し合った。

集まったのは、child of the future主宰の黒川(旦那は東芝の社員で東京と北九州で新婚なのに別居中)、

地元北九州の主婦(旦那は某放送局のプロデューサー)町田、

関東からの自主避難者の外山、

そして真子は初めて会った地元北九州の植木さんという女性も来ていた。

真子は被災者支援団体の協力が絶望的であることを伝えた。

Γ署名って、言ってたんだけど、浅田さんから断られたので、やり方を仕切り直しましょう。

出来れば町内会を通して、地区に広げて、区をあげての署名運動にして、市に提出したいの。」

Γハードル高いですね。町内会に知り合いないし。」

Γネット署名は?」

Γいや、ネット署名いわき市でもやったし、やたらめったら広く募った署名は紙屑になった。やはり町内会とか、何か団体を通した署名にしないと、話し合いにすらならなかったよ。」

Γいわき市でも、学校の除染を有志で出来たのは、PTAが動いた所は実現したし、地区の除染も町内会が動いた所は有志での除染を認められたし。」

Γ私の子どもたちが通っている学校のPTAには既に働きかけたんだけど、友達もいないし玉砕しちゃった。

でも、地元の人なら横の繋がりあるし、お話会開催してもらえるように働きかければ、もう少し何とかなると思うけど、どう?」

Γそうだねー先ずはお話会を広げよう!」

Γあと、チラシ作って近所に撒いてるんだ。やらない?こんな感じでやってる。」

黒川が、

Γチラシはダメですよ。北九州市民はそういう過激な表現は反発しますから。」

Γでも事実しか書いてないですよ。」

でも黒川はチラシ配布に反対した。

Γ兎に角、市民にこんなの撒いては反感もたれますから、ダメです。私が議員回ってますから。市役所に要望書提出するとか、議会に陳情するとかにしましょう。」

Γじぁあ、黒川さん、私も黒川さんと一緒に議員回って、福島でみたこと話します。行くとき連絡下さい。

実際にガイガーカウンターで測った記録や写真もありますし、文部科学省のホームページに載っていた土壌汚染の地図もあります。」

Γ真子さん、そんなこととっくに私が議員に伝えてます。

それに、私と議員の間には今までの信頼関係もあるので、真子さんを同行させることは出来ません。行くなら一人で行って下さい。」

署名もチラシ配布も同行も反対されてしまった。

関東からの自主避難者外山が

Γ署名ぐらいやろうよ。お話会に来てくれた人にお願いするぐらい大丈夫じゃない?」

Γまあ、そのくらいなら」

と、黒川さんの了解を得たので、

私の素人チラシではなく、

外山(自宅で印刷業)の作ったチラシになった。

お話会の問い合わせがたくさん来ていたので、避難者に連絡して日程を組んだ。

こうやって、真子達は手探りで、がれきを止める運動を動かしていった。

最初に集まった4人から、今日は5人に増えていた。

浅田がいなくても、何とか北九州市民に福島の現実を広げようと、真子の拙い市民運動が始まった。