遊戯王カード考察―《轟雷帝ザボルグ》の可能性 | 遊戯王のデッキ紹介や考察のアレコレ

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帝シリーズって何だ?



上級モンスター(レベル5,6)で統一されているカテゴリー。特徴として、アドバンス召喚に成功すると効果が発動し、リリース分のディスアドバンテージを取り戻せる事が挙げられる。そのほとんどが除去効果であり、相手の厄介なカードを除去し、そのまま攻めて行けるのが帝シリーズの強みである。特に、風帝ライザーカード一枚をデッキトップに戻すという効果は、破壊を介さずほぼ全てのカードに対処可能かつドローロックという非常に強力な効果で、一時期は制限カードにまで指定された。

代表デッキとしては、展開力に安定性のある【ガエル帝】や、墓地利用を封じる【次元帝】などが存在する。単独では様々なデッキに出張が可能であり、デッキ構成としても自由度が高く、とても柔軟性があるカテゴリーであると言える。

上位種の帝が登場



帝シリーズのモンスター名を継承した、最上級モンスター(レベル8)のカテゴリー。効果も関連したものが多く、やはりアドバンス召喚に成功した時に効果が発揮される。通常ならば2体のリリースが必要だが、アドバンス召喚したモンスター1体をリリースすればアドバンス召喚可能というリリース軽減効果を持ち、その上位帝と同属性のモンスターをリリースすると追加効果を得られる。文字通り、帝シリーズの進化形態である。

2013/07/20発売の「シャドウ・スペクターズ」で初の上位帝である剛地帝グランマーグが登場し、その後のパックで1体ずつ上位帝が解禁されていっている(もう1年前の話だってよ信じられない)。

今回は、その中の轟雷帝ザボルグ――つまり、今弾で登場した新上位帝についての考察です。

ザボルグって? あぁ!



シンプルイズベストを体現したかのような効果です。アドバンス召喚に成功したら、場のモンスター1体を破壊。強制効果なので注意が必要ですが、効果だけ見れば普通に使える効果に見えます。

しかし、他の帝と比べてしまうと、なんとも不遇な帝なのです。

上記のライザーはモンスターだけでなく魔法・罠にも対処でき、しかもドローロック。邪帝ガイウスは問答無用でカード1枚を除外し、それが闇属性ならば1000ダメージを与えられます。同じ場のカード1枚を除去する効果としては、既に他の帝に役目を奪われてしまっているのです。

というのも、無理のない話でもあります。実は、ザボルグは一番最初に登場した帝モンスターなのです。ゆえに唯一レベルが5であり、効果も幅の利かない強制効果となっています(このレベル5というステータスは、現在ではシンクロやエクシーズを扱うのに他の帝との差別化に繋がっています)。このモンスターから徐々に効果を調節していったという背景はあると思います。

しかも、光属性の帝で光帝クライスというこれまた便利な効果を持つ帝が登場してしまったせいで、ますますこのモンスターの意義が薄れていってしまったのです。

ですがとうとう、サボルグの進化態が登場。その効果は、やや癖があるものの大きな可能性を秘めています。

少年よ、これが轟雷帝ザボルグだ。



効果モンスター
星8/光属性/雷族/攻2800/守1000
このカードはアドバンス召喚したモンスター1体をリリースしてアドバンス召喚できる。
(1):このカードがアドバンス召喚に成功した場合、
フィールドのモンスター1体を対象として発動する。
そのモンスターを破壊する。
破壊したモンスターが光属性だった場合、
その元々のレベルまたはランクの数だけ、
お互いはそれぞれ自分のエクストラデッキからカードを選んで墓地へ送る。
このカードが光属性モンスターをリリースしてアドバンス召喚に成功した場合、
その時の効果に以下の効果を加える。
●墓地へ送る相手のカードは自分が選ぶ。

場のモンスター1体を強制破壊はそのままに、追加効果として「光属性を破壊した場合はエクストラデッキを破壊」するものがあります。相手のモンスターを破壊し、もしそれが光属性だったらラッキーという感覚なのでしょうが、寧ろこれは、

ザボルグ「俺を破壊して奴のエクストラデッキを破壊するんだ!!」

という気がしてなりません。いや、そうに違いない。今日から君はエクストラ絶対殺すマンだ。

エクストラデッキからの特殊召喚が最重要となっている現代の遊戯王において、この効果は中々脅威です。特に、最後の一行に注目。

●墓地へ送る相手のカードは自分が選ぶ。

選べるという事は、相手のエクストラデッキを見る事も出来ちゃいます。この時に捨てきれなかったカード名を禁止令サイキック・ブロッカーなどで宣言してしまえば、今後の相手の行動も抑制出来ます。

しかしその為には、光属性モンスターをリリースしなければなりません。と聞くとめんどくさっ、と思うかもしれませんが、光属性モンスター? 非常に恵まれているモンスター群ではありませんか!! こんな条件は、あっさり突破出来てしまいますね。

一番簡単な方法は、フォトン・サンクチュアリを使う事です。



元々はギャラクシーアイズのリリース要員としてのカードですが、偶然にもザボルグにもマッチする条件となっています。このカードを発動し、トークン2体をリリースしてザボルグをアドバンス召喚。たった2枚の消費でこれが実現出来ます。

ただし、この場合は(他に光属性が居なければ)エクストラデッキデスを発動する為にザボルグを破壊しなければならないので、必然的に自分の場が空いてしまいます。そこのリカバリー手段を講じる必要があるでしょう。

また、電池メンと非常に相性が良いです。電池メンは、充電器携帯型バッテリーなど特殊召喚手段が豊富であり、同じアドバンス召喚をメリットとするモンスターとして充電地メンが存在します。







特に、携帯型バッテリーは同時に2体の電池メンを展開出来るので、一瞬でリリース要員を確保出来ます。また、充電池メンはアドバンス召喚するのが前提の効果なので、その充電池メンをリリースしてしまえば1体のみでアドバンス召喚が可能です。アドバンス召喚を補助するカードとして非常に強力な帝王の烈旋も共有出来るので、電池メンデッキに投入すると良い働きが出来そうです。

他にも、トリッキーな動きが特徴のアーティファクトや、最近になって台頭してきた銀河など、光属性のデッキは強力なものばかりです。その中に混ざり込める能力を持っているので、ザボルグの活躍の場は今後も広がっていきそうですね。

さて、このカードとのコンボ対象として、意外なカードが名乗りを上げているのをご存知でしょうか。そのあまりの使い辛さから、はずレアという不名誉な評価を受けているカード。それは…。



コレクターズパックで登場したこのカード。中々の扱い辛さがあります。

・相手の墓地依存
・エクシーズ召喚扱いではないので蘇生制限を満たせない
・使用したらそのターン特殊召喚出来ない


と言った制約があるからです。特に、エクシーズ召喚扱いではないのが痛い。インチキランクアップじゃねーかと言われても仕方のない効果です。更に、相手の墓地にちょうどいいランクのエクシーズモンスターが落ちていなければ発動すら出来ないという欠点もあり、いよいよどうしようもありません。

ところが、こんなカードがザボルグのおかげで輝ける可能性があるのです。

まず、ザボルグの効果が珍しいエクストラデッキデスであるという点から、「相手の墓地依存」という制約をクリア出来ます。相手のエクストラデッキの内容にもよりますが、自分の出したいCXやCNo.のランクに合わせたエクシーズモンスターを墓地に送り、このカードで「ダイレクト・カオスエクシーズ・チェンジ!!」を決められます。



そのランクアップ先として最も有力なのが、こいつです。



糞望皇冀望皇バリアン。バリアンの最終兵器であり、最後の希望。その効果は、OCG化と共に劣化の一途を辿ったと言われています。ですが決して弱いわけではありません。特に千死蛮巧で出す場合、エクシーズモンスターを1体以上選択する事が出来るのです。

つまり、仮にザボルグの効果で相手から8枚のランク6のエクシーズモンスターを落とし、自分も8枚のランク6エクシーズモンスターを落とした場合、それら全てをエクシーズ素材とすれば、なんと攻撃力は16000になるのです。ワンターンスリーキルゥまでには届かずとも、鬼神の如き攻撃力です。

無論、これは机上の空論です。相手のエクストラデッキに8枚もランク6のエクシーズモンスターが揃っているなんてそうそうありません。せいぜい2~3枚でしょう。しかしそれでも、かなりの攻撃力を見込めます。

更に更に、ザボルグの効果でロンゴミアントを落としておくと、面白い事になっちゃいます。



バリアンは、墓地のナンバーズの効果をコピーする効果を持っています。ロンゴミアントの効果はそれぞれ条件下での発動となりますが、バリアンがコピーする場合それら全ての効果をコピー出来るのです。

●1つ以上:このカードは戦闘では破壊されない。
●2つ以上:このカードの攻撃力・守備力は1500アップする。
●3つ以上:このカードはこのカード以外の効果を受けない。
●4つ以上:相手はモンスターを召喚・特殊召喚できない。
●5つ以上:1ターンに1度、相手フィールドのカードを全て破壊できる。

これら全てを、無条件に使えるのです。

もしも、エクシーズ素材が8個でロンゴミアントをコピーしたら、相手の場を一掃した上で、完全無欠の耐性を持ってダイレクトアタック出来ます。ワンショットキル成立です。

このように、ザボルグは今後更に活躍出来る予感がします。

ただし、ザボルグを使用する場合にはちょっとした注意点があります。

お互いのエクストラデッキの内容を予め確定させておく事です。

友人同士のデュエルだと、エクストラデッキは決めずにファイルやエクストラモンスター群から15枚以内で適当に出していませんか? 公式デュエルではないし、双方の了解を得ているのならそれでまったく問題はありませんが、このカードはそれでは使用出来ません。かと言って、デュエル前に、

「ザボルグ使うからエクストラデッキ決めてよ」

なんて言ったら、対策を講じられてしまいます。難しいところです。これを機に、身内でのデュエルでも、エクストラデッキは前もって準備しておいた方がいいかもしれませんね。



今回の考察は以上となります。いつも長い記事を読んで頂きありがとうございます。更新は不定期ですが、その分内容は濃くしていきたいと思っているので、今後ともよろしくお願い致します。

ご一読、ありがとうございました。