今朝は「命!」
このお決まりのギャグポーズで知られる、お笑い芸人・ゴルゴ松本さんのお話です。
彼は芸人の仕事のかたわら、およそ3年前から少年院での講演活動を行っている。
キッカケは「興味本位」だった。
今回、ゴルゴが講演依頼を受けたのは、群馬県赤城少年院。
赤城少年院は、全国52ヶ所ある少年院の中で唯一、小中学生が収容される特別な初等少年院で、現在、13~15歳の少年40数名が収容されているという。
収容されている少年たちについて赤城少年院長・中島学氏は
「簡単に言えば、子供の時から親に育てられた経験がないような子がいます。
そういう子がどういう行動に出るかと言うと、例えば暴力でしか自己表現が出来ない、感情表現が出来ない」
中には、どうやって笑っていいのかさえもわからない子や、
帰るところがない子も1割くらいいて、親が受刑中の子もいるという。
そんな少年院でゴルゴ松本の「命の授業」が始まった。
教室を訪れたゴルゴは驚いていた。
少年たちはみな、笑顔でゴルゴを迎え、授業の最後までずっと話に耳を傾け、笑顔だったのだ。
ゴルゴ松本先生はまず、彼らに「夢」を尋ねていった。
その授業に参加した少年たちのほぼすべてが主体的に手を挙げる。
ゴルゴ先生も驚きながらも、一人ひとり丁寧に耳を傾け、
彼ら一人ひとりの夢をホワイトボードへ記していった。
全てを聞き終って言った。
「これからその夢を叶える方法を教えるぞ!
成功する人としない人。成功は失敗のもとだ!」
そう語りながらと、「夢」をいう字を記していく。
「夢」
辛いことがあったとき、どんな言葉が出てくる?
一人の少年が答える。
「うっぜぇなぁ!」
ゴルゴ先生は続けて言う。
そうだよな!
「なんで俺ばっかり・・・」
「あいつは良いよなぁ・・・」
そういう愚痴をこぼすようになるんだ。
マイナスなことを言うんだ、弱音を吐くんだよ。
「吐く」という字は、+-って書く。
これは、良いことも悪いことも言葉に出せ!ということ。
嫌なことなんて、吐き出しちゃっていい。
でも、成功する人、夢を実現させる人は、少しずつ変化していく。
弱音は吐かなくなっていく。
プラスのこと、自分の夢だけを言うようになっていく。
良いことも悪いことも、言葉にして吐いてもいいけど、
少しずつ、マイナスなことは取っていくんだ。
「吐」から、マイナスを少しずつ取っていくと、
「叶」という字になる・・・。
そんなゴルゴ先生の言葉に、教室中が動きだした。
集まった少年たち一人ひとりがおもむろに、机の上にノートと筆記具を取出し、
言葉を丁寧に、ノートへ書き残し始めたのだ。
そして、ゴルゴ先生の授業が続いていった。
「自分が到達するまでに、ちょっとまだ足りないと思ったら、
軌道修正しながら、最終的な目標は変えない。
紆余曲折しながらも、最終的に辿り着けばいい。
そして、途中で、これは危険だ!と思ったら、そこから逃げるんだ!
危険だと思ったら逃げていい。」
そういって書き始めたのが、「逃」という漢字だった。
「危険だと思ったら逃げていい。
逃げるは、「兆」に「シンニョウ」
そして、また時間を置いて、
「逃」のシンニョウを、「手へん」に変えて、
「兆」に「手へん」で、「挑」
挑戦、挑むの「挑」になる。
辛かったら、逃げてもいい。
また挑戦すればいいんだ。」
こうして、次々と夢を叶えるための「漢字の授業」の進み、講演の最後を飾ったのは、
自身の持ちネタでもある、「命」という漢字だった・・・。
少年たちは、笑顔を見せたり、声をだし、答えながら、ノートもびっしりに埋め、ゴルゴ先生の話に聞き入っていた。
ゴルゴ先生はいう。
「感動させようなんてないですよ。そんなのおこがましい。
なんかね…芸人の後輩たちにしゃべってるような感じでしゃべってますからね。
芸人の後輩たちも、ちょっとテレビに出た後に出なくなると、落ち込むんすよ。
『最近出てないね』とか言われると、その言葉、傷つくんですよね。
でも、そんなの傷ついてるヒマがあるんだったら、ネタ作ったり、前に行くしかないんですけど。
いくらでもやり直せるよと僕は思わせたいですね。チャンスはあるよって」
初めて少年院で講演をしたとき、150人の前で90分のところを2時間、話し続けた。
集まった少年たちは今回と同じように、笑顔でうなずき、一生懸命に授業に参加していた。
それ以来、ボランティアでずっと、各地の少年院を廻り続ける。
ゴルゴ松本さん
あなたにすべての善きことが雪崩のごとく起きます