今朝はお坊さんのお話です。
人は生れてから死ぬまで、誰にも迷惑をかけずに生きることはできません。どのような形であれ、人は誰かに迷惑をかけて生きています。
「私は誰にも迷惑をかけずに生きている、一人でがんばっている」と思われるかもしれませんが、たとえば毎日食べるごはんについて考えてみて下さい。
ごはんの元、稲は長い時間をかけて育てられ、収穫され、精米され、お店に運ばれます。お店で買ったお米は炊かれてはじめて、ごはんになります。
そこには、自然の恵みと植物の命、そして数知れない人の労力がこめられています。どれひとつ欠けてもあなたのところには届きません。
人は誰かの迷惑をかけずには、ごはんを食べることができないのです。
この迷惑は「影響」と言い換えてもいいでしょう。
私たちは様々なものごとのはかりしれないほどの影響を受け、その恩恵の中で生かされています。
「影響」という字の「影」に「お」と「様」をつけていくと、「おかげさま」になります。迷惑をかけて生きる私たちは、見方を変えれば「おかげさま」で生かされているのです。
また迷惑を「お世話」と言い換えてみましょう。
誰かのお世話になることも、お世話をすることも、生きている限り当たり前のことです。あなたがいるのはお世話をかけるだけではない。あなたがお世話し、支えている存在もあるのです。
お世話をかけるときも、かけられるときも、「お互いさま」で「おかげさま」です。
木原健さん(神谷町光明寺)
彼岸寺「お坊さんの1日分説話」
永岡書店より。
あなたにすべての善きことが雪崩のごとく起きます