時代背景が作ってしまう定説への疑問を綿密な調査であばく。 | 不埒な病、不埒な趣味、そしてetc.

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2012年9月に下咽頭癌にかかり、以後、自宅で長い療養生活に入る。暮しの中心は読書。いきおい読んだ本の話が多いかも。
音楽と競馬の話も、僕には欠かせない日々の潤いです。

小谷野敦「間宮林蔵<隠密説>の虚実」は、間宮林蔵のいわゆるスパイ活動の、世間の評価のありようを、時代背景を残された文書を綿密に読み解き、解説した本である。
比較文化の研究というものの一端が垣間見え、更に大作に臨もうとするなら、その労たるやいかほどのものになるのであろう。誠実な研究に基づいた故の説得力を感じさせ、爽やかな一冊ではかなろうか。